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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第158話:久々のダンジョン、待ちかねて

明日から午前8時の投稿のみになっていきます。

 今日は久しぶりにダンジョン探索だ。中間テストから期末テストまでの一ヶ月半の間には、潜れる回数が多く取れるわけでもないため、しっかりと食費を稼ぎ、いつダンジョン禁止になってもいいようにしておくことにした。


 今日は自宅ダンジョンではなく駅前ダンジョンで、隆介も含めて三人で探索する。今日の目標は十層から十二層に向けての初めての探索ということになる。流石に今日一日で十二層よりも更に奥まで潜り込むことは難しいだろうし、この先も卒業までの短い付き合いとはいえ、隆介と共にいい感じにダンジョンの奥まで進んで、俺達ここまで頑張れました、みたいな足跡を残したいところはある。そのためにももうちょっと先まで進んでみたいな。


 いつも通り九時に駅前ダンジョン集合なので、その前に食事の用意と着替えを済ませて出かけることになる。そんでもって彩花が俺の家で着替えていくため、彩花はさらに早いペースでこっちに来る必要がある。俺が昼食の用意をしている間に俺の家に来て、着替え終わってちょっと昼食づくりを手伝ってもらう程度の時間の余裕をもって、家から出かけた。ちなみに今日の昼食はパスタではなく、オーク肉の生姜焼きだ。


 パスタよりもこっちのほうがパワーが出るからな。実際に昼過ぎまで探索をしているかどうかはわからないが、できるところまで頑張って金を稼ぐという目標に達するためには色々と後の心配が無いようにしておくのも大事だよな。


 アカネに行ってきますの挨拶とお供えの神力を供えると、駅前ダンジョンへ向けて出発する。涼しくなった道のり、道中で汗をかくこともなくそこそこ涼しい風を感じつつも、ダンジョンまでの十数分間を気持ちよく準備運動代わりに自転車を漕いで済ませておく。


 到着すると、隆介はもう準備万端、かなり待たせてしまったかもしれない、という様子にみえた。


「待たせたか?」


「いや、今きたところだ。結城がお前の家で着替えてくることも考えて少し遅めに出てきたぐらいだな」


「それは良かった。長々と待たせたんじゃ申し訳ないところだったからな」


「あんまり早くきても時間を決めた意味がないからな。さ、早速入ろうぜ。揃ったんだし今から駄弁って時間を浪費するよりきっちり稼いで帰ろう」


 おっしゃる通りなのでそのまま受付を通り、ダンジョンの中に入る。そして少し行列になっている、ワープポータルの列に並び、十層まで移動すると改めて探索開始だ。


「なんだかんだ久しぶりのような気がするな」


「かもしれないな。腕は鈍ってないな? 」


「十層でそれを確かめつつ、十一層のモンスターで本気で戦ってみてどのぐらい負荷がかかるかテストってところだな。ホブゴブリンの強さはどのぐらいだ? 」


 ホブゴブリンと戦ったことがない隆介が俺に確認を取ってくる。戦ったことがあると断定されても困るが、戦ったことがあるのは確かなので素直に答えておくことにしよう。


「結構しんどいかな。十一層から一段階モンスターの強さが上がる感じだ。二人で戦ってやっと倒せる……とまでは言い過ぎかもしれないが、同時に二体ホブゴブリンが現れたらちょっと対処を考えなきゃいけないかもしれないな」


「幹也がそこまで言うのか。だとしたら慎重に戦っていかないといけないな。地図はあるから迷う可能性がないのがありがたいところではあるな」


 隆介が地図を取り出して方向を確認する。まずは十一層までシャドウウルフの相手をしながら体のコリをほぐしながら準備運動を始める。


 どうやら隆介は問題なく体の動きが出来ているようで、鈍ってる様子はない。シャドウウルフ相手にも怖気づくこともなく、ちゃんと対処できているようだ。俺もシャドウウルフにこっそり威圧をかけつつ、動きを鈍らせてからしっかりと刃を立てシャドウウルフを一刀の下に斬り伏せる。


「さすがの幹也だな。俺より慣れてる。二人で潜った分の経験差って奴かな? 」


「そういう意味では彩花も同じだぞ。一応二人で十一層には潜ったことがあるからな。その分十層も通り抜けてるからまだ戦い慣れてる部分が残ってると言った方が正しいかな」


「なるほど。もうちょっとリハビリが必要かもしれないな」


「次の階層に出てくるホブゴブリンは隆介にピッタリのモンスターだから活躍のし甲斐はあると思うぞ」


「名前からしてかなりごつい攻撃をしてきそうだな。俺が受け止めてる間に二人で好きなように攻撃するってか。そのほうが効率よく戦えるならそうしようじゃないか」


 シャドウウルフを倒すのは問題ないらしい隆介と、一人でも一匹相手なら戦えている彩花と共に、十一層方面へ向かう。あまり曲がりくねった道でもないし、シャドウウルフも人数分以上には現れてこないので一人一殺を確実に実行できるし、一匹を隆介が抑え込んでいる間に二匹倒して、きっちりお互いの役目を分担して戦ってみたりといろんなパターンを試しながら十一層へ向かう。


 到着した十一層に久しぶりさを感じる。自宅でも最近はあまり潜ってなかったので俺もここからはリハビリ期間だ。しっかり戦ってホブゴブリンに対する攻撃方法を思い出しながら行こう。


 十一層に潜り始めて早速一匹目のホブゴブリンが出てくる。相変わらず威圧感のあるボディに殴り殺す気満々の太いこん棒を持ち、のっしのっしとこちらへ向いて歩いてくる。


「こいつは中々ごついな。持ってるこん棒も太いし、俺の盾で持つかな? 」


「その時は新しいのに買い替えるしかないな。できるだけ盾術の補助も受けつつ、攻撃を正面から受け止めるんじゃなくて受け流すようにすれば盾もチビらなくて済むんじゃないか? 」


「なるほどな……それを意識して頑張ってみるか……っと! 」


 隆介が一歩踏み出し、ホブゴブリンに盾を叩いて威嚇する。こちらにはっきり気づいて意思を向けてきたホブゴブリンが隆介に殴り掛かる。隆介はホブゴブリンのこん棒の一撃を盾で受け止める瞬間、攻撃の流れと同じ方向に自らをうまく回転させ、盾で受け止めてそのまま力を受け流す。その間に俺と彩花が横からそれぞれ攻撃を加え、ホブゴブリンの勢いを殺そうとする。


 ホブゴブリンは左右からそれぞれ体に刺し傷を受けて隆介に向かっていたこん棒が止まり、こっちに向かおうとホブゴブリンがこっちに向き直そうとしてくるので、さらにグリグリと山賊刀を差し込み、こっちへ向かせないようにダメージを与え続ける。


 ホブゴブリンはそれ以上の痛みを嫌がり俺の山賊刀を体から抜いて握りしめながら、こちらに集中しているが、その間に彩花と隆介が引き続き攻撃を加える。


 やはり、囲んで棒で殴って倒す、という戦闘の基本は偉大らしい。順番にブスブスと刺していたらその内黒い粒子に変わっていった。もうちょっとなんか形にして、定石を作りたいところではあるな。もうちょっと何体か戦ってみて方法を探そう。


 彩花と二人の時はどちらか一方が攻撃を集中して行って、目線を奪ってる間にもう一人が急所を狙う、という方法でもうまくいくんだが、三人で一人が盾役する場合は盾役がいかに引き付けるかが大事になるからな。この場合隆介がどう動くか、ということだろう。


 考えながら次のホブゴブリンを探して、次のホブゴブリンでも隆介をまず盾役として待機させて、力を分散させたり体の動きを阻害させている間に彩花と俺でホブゴブリンの首を刎ねたり腕を切り飛ばしたりして徐々にホブゴブリンの戦力を削りながら徐々に倒すが、やはり十一層からのモンスターでは形を作って倒す、というのもなかなか難しいらしい。


 複数回戦い、ようやく形のようなものが見え始めたところで、十一層の終わりが近づいてきた。もうちょっと、ホブゴブリンで戦って慣れたいという気持ちもあるし、どうせならもうちょっと現金になるものを稼ぎたいというのも確か。


 話によると、十二層よりも十一層のほうが統計的に見ると現金化するための稼ぎとしては良いらしい。それぞれの魔法のスクロールが出る分次の十二層のスケルトンメイジのほうが金になりそうな雰囲気があるが、そういうわけでもないらしい。それよりも銀貨が出やすい分、ホブゴブリンのほうが換金しやすいそうだ。


「もうちょっとホブゴブリンと戦って、戦訓を積んでおこうか。金にもなるらしいし、効率で言えばホブゴブリンをひたすら倒すほうが金になるらしい」


「なるほど、現金優先だとそうなるわけか……だとすると、十一層と十二層の間ぐらいで昼食を取って、午後からは十二層という形のほうがいいかな? 」


「そうね。貴重な時間だしできるだけドロップ品は拾っておきたいし、お金になるのが目的なんだからもう少し……いえ、できるだけ稼げるところで稼ぐ方がいいわね」


「俺も異論はない、幹也の言うとおりにしておこう。俺ももうちょっと頑張ってホブゴブリンの気を引けるように努力してみるつもりだ」


 三人とも、やはり稼げる場所、というのは大事らしい。俺と彩花にとっては自宅ダンジョンでひたすら戦った方が金になるのはわかっているんだが、隆介がいる分負担が小さく戦えるのは頼もしいところだと俺は思っている。彩花の実情はわからんが、素直に頷いているあたり俺と同じことを考えているのかもしれない。


 これがもし、二人で稼ぐときのほうが大きく稼げるから問題ないと考えているなら、とっとと次の十二層に進んで、換金効率には触れないか、二人で稼げるからどうせ大して変わらないので新しい階層で戦い方を学んで俺専用ダンジョンでそれを活かしてしっかりと戦っていきたいと考えているはずだ。


 そうなってない、ということは十一層でのこの戦い方も現状では満足できていない、ということになるのだろうな。彩花のほうをチラ見するが、彩花はコクリと頷いてそのままホブゴブリンを探す隆介の後ろをついていく。思っていることは同じ、ということなんだろうか。


 とりあえず打ち合わせをして、できるだけ隆介にターゲットを集めることと、隆介から一歩遅れて行動を開始すること、初撃さえ隆介に向かってしまえば後はなんとかなる、ということ。そしてそのあとで攻撃した場合のヘイト管理は難しいのでそれぞれで行うこと、等を話し合い、ここから二時間ほどの十一層探索の旅が始まった。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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