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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第157話:久しぶりにデートして

明日から午前8時の投稿のみになっていきます。

 日曜日になり、デートの日になった。デートまでに話し合った結果、駅前に自転車を置いて電車で名古屋へ、映画を見たら適当に食事とショッピングをして帰ってくる、というお決まりのデートコースになった。


 さて、着ていく服は適当に選んだし、季節感もそれほど悪くないはずだ。そろそろ寒くなってくるので少し厚手の服装にした。寒いよりは暑いほうがマシだからな。


 駅前で待ち合わせして、乗る予定の電車の15分前に到着、駅舎を上って改札前で待ち合わせをする。5分前に彩花が来た。


「お待たせ。待ってる間にスライムぐらいは狩れたかしらね」


「そこまでは待ってないかな。どうせ着替える時間で終わっちゃうぐらいだから問題ないよ」


「そう、じゃあ行きましょ」


 そのまま電車で30分ほど移動し、名古屋駅に到着。駅前のスクリーンで彩花が見たがっていた映画を選び、まだ時間があるので駅ナカの食品コーナーで映画中にこっそり食べる用のおやつを購入。ポップコーンは苦手なんだよなあ……


 彩花が選んだ映画はコテコテのラブロマンス映画なんかではなく、どっちかというとアクション寄りの洋画だった。意外と激しい作品が好みなんだな。


 内容は……近未来。世界各地の通信衛星が何者かによって同時にハッキングされ、数分間だけ完全に沈黙するという事件が発生する。その沈黙はラスト・シグナルと呼ばれ、次に来るのは世界規模の制御崩壊だと予測された。


 元CIAの通信分析官は、過去の任務で起きたある失敗を理由に第一線を退いていた。しかし、ラスト・シグナルの暗号が、かつて彼が作った通信プロトコルと酷似していることが判明し、半ば強引に現場へ引き戻される。


 彼の前に現れたのは、国際サイバー犯罪課のエージェントの女性。冷静沈着だが、どこか影を背負った女性だ。二人は反発し合いながらも次第に協力し、世界各地を飛び回り、武装ドローン、傭兵部隊、そして見えない敵の正体に挑む。やがて明らかになる黒幕は、通信そのものを武器にする思想を持つ元国家研究者だったという話。


 二人が世界を飛び回っている間に友情を深めやがて恋愛に発展していく……そしてすべてが終わった別れ際、最後に挨拶を交わした後のスマホに入るメッセージには「Signal’s still alive.」の文字。そして彼女は小さく微笑み、そして幕が下りる。


 結構壮大な話だったが、俺の動体視力ではどうしても見えてしまうところどころの粗や、明らかにCGだとわかる合成なんかを差っ引いて考えて、悪くない映画だったとは思う。面白いかどうかで言われたら面白い方だったと思う。特に最後の、結局元CIAの男性が職場復帰せずに闇に帰っていくシーンが象徴的だった。


 映画が終わって彩花のほうを見ると、呆けている。いや、余韻に浸っているというほうが正しいのか。どうやらかなりお気に入りだったらしい。俺としても嫌いじゃないジャンルの作品だったので良かったと思う。これがコテコテのラブストーリーだったら途中で寝ていた可能性も否定できない。


 三分ほど余韻に浸って満足したらしく、ようやく動き出した彼女は目がカッと開き、らんらんとさせたままこちらを向いて話しかけてくる。


「よかったよね、ね、ね? 」


「ああ、面白かったな」


「この後ご飯食べながら感想戦しましょ、感想戦。一番インパクトに残ったシーンを語り合うの」


「それは良いな、どこで食べようか。駅前だし選ばなきゃ何でもあるぞ」


 しばらく駅前をうろうろし、できるだけ落ち着いた雰囲気の喫茶店に入るとアイスコーヒーとナポリタンを注文。彩花は紅茶とレモンチーズケーキとサンドイッチを注文していた。俺もデザートを頼むべきだったかな。


「それで、どこが良かった? 」


「一番の盛り上がりのシーン、音が完全に消えてその後一気に復旧するシーンは良かったな。他の映画で例えると、爆弾解除一秒前のコードを切った音だけが響いてその後爆発するのかどうかわからないまでの間のような緊張感があったよ」


「わかるわ、あそこ私も二番目に好きだったわ。一番好きだったのは、やっぱり最後のシーンね」


「最後というと、スマホにメッセージが入ったシーンか」


「そう、ちゃんと繋がりは残ってるよって知らせるシーン。ラストシグナルってタイトルだけどラストじゃないよって感じの終わり方が良かったのよね」


 なるほど、そういう読み解き方もあるのか。ちょっと勉強になった。彼女が一生懸命俺に伝えてくる映画の良かったシーンを聞き取りながら、そういえばそんなシーンもあったな、と話を思い出しながら相槌を打つ。


「やっぱり、最後にこれから先もあるよ、と残しつつ一旦別れるのがいいのよね。この先があればまた出会うこともあるさってところが見せ所で、そこが恋愛映画とは違うシーンだと思うわけよ」


「うむ、うむ」


「お待たせしました、サンドイッチです」


「あ、私です」


 盛り上がってるところへ届き始める注文の料理。話は一旦止めて、食事に集中する。ここのナポリタンは素朴で美味しいな。あ……


「しまったな。せっかくの外食なのにまたパスタだ」


「何も考えずにナポリタンを選ぶあたりで狙ってたのかと思ってたけど、素だったのね」


「食べ慣れてるパスタだからつい反射的に選んじゃった。次はもうちょっと考えて何か食べることにしよう。俺もサンドイッチとかオムライスとか、もっと別の何かにしておくべきだったな……でも、自分で作るよりは美味しいから良いか。これはこれでありという話にもなるし、この味に近づけるという目標にもできる。よし、ひとつ前向きに努力していこう」


「まあ、パスタを作るのがうまい彼氏、というのも何も褒める所がないよりはよっぽどいいんだろうけど、パスタ以外も色々作れるからその点安心よね」


「その気になれば……朝起きられればだけど、フルスペックの和食一式を弁当として詰め込むぐらいはできるな。ただ素材その他の費用を考えると自炊には向かなくなるんだけど」


 このナポリタンは絶妙の茹で加減だな。俺の口に届くまでの時間が完全に制御されているような感覚を覚える。このパスタを作ったのは誰なんだろう。是非ともコツを教えてほしいところだ。シェフを呼べ、シェフを。


 楽しく食事をしながら映画の感想戦をしつつ、食べ終わって自由な時間。まだ俺も彩花も前に換金した時の小遣いが残っているからか、こまごまとしたものを買ったり、ウィンドウショッピングに余念がない。流石に服一着買うまでは行かないものの、小物ぐらいなら……という余裕はあるらしい。彩花は冬に備えてマフラーを所望していたのでここは俺が彼氏面を全力で使って、プレゼントした。


 彩花もかっこいい彼氏からのプレゼントが羨ましいと店員にからかわれていたので、今の俺はこういった人通りの多い、来店者が多い中でもかっこいいと言い切られるようなほどに美化されてしまっているらしい。


 鏡を前にして俺も自分の顔を見て脳内俺画像と比較してみるが、普段から見慣れているため違いがわからない。やはり毎日鏡に向かってポーズを決めていないとささやかな違い、というのは判断つかないということだろうか。


「何やってんの」


「自分の顔を良く眺めてみたが、ダンジョン通い出す前との違いが分からない」


「それは……私はどうなわけ? 私も変わったでしょ」


 彩花の顔をじっと見つめる。彩花が俺の視線を受けて、ちょっと照れる。


「今日もかわいい」


「これは駄目ね。見る側にセンスがないわ」


 ダメ出しを喰らってしまった。やはり見る側も見られる側もある程度センスや細かい違いが分かるような人物でないと判断できないらしい。そんなに変わったかな……人間見た目が9割とも言うが、見た目は内面からにじみ出てくるとも言うし、やはり俺に判断するのは難しいのだろうな。


「これから善処していくことにする」


「そうしてちょうだい。私はこれからもっと美人になるんだからね」


 完全にダンジョンを使い倒す気でいるらしい。その証拠に、俺と彩花が歩いていると少しだけ周りに空間が出来ている。普通ならもっと人ごみにまみれて行動するところなんだろうが、人がこっちを避けるように、もしくは関わらないように、という感じで俺と彩花の周りだけぽっかりと隙間ができている。


「そこの二人、どこか事務所とか入ってる? もし入ってないなら是非うちで色々とやらせてもらえないかな」


 どうやらスカウトめいた声までかけられるようになった。


「ここ、声かけ禁止エリアですよ」


 駅周辺はいわゆるキャッチ禁止区域だ。性風俗や飲み屋もそうだが、モデルのスカウトなんかもそっちのお店と誤解させる行為としてはあり得るので自主規制を行っているエリアもある。ここがそうだ、という可能性はどちらかというと低いが、それでも声かけにはあまりいい印象は持たれないだろう。


「もしかして学生さんかな? どう、学生モデルとか今数足りてないんだよね。二人で出てみないかな? 」


 なおも引き下がらないスカウトマンに、彩花をかばうような立ち振る舞いをしつつ、ハッキリ言う。


「申し訳ないですが、本業が忙しくてやっと今日久しぶりにデートが出来たんです。そっとしておいてもらえませんかね」


 はっきりと目線に力を乗せてスカウトに伝える。


「そ、そうか……じゃあ諦めるわ。ごめんな、邪魔しちゃって」


 俺の目線に怖気づいたスカウトマンがやや後ろに下がりながら俺に返事を返す。そしてそのままどこかへ行ってしまった。もしかしたら、ちょっと【威圧】をかけてしまったかもしれないな。


「ふぅ、スカウトされるまでになったか。ちょっとはこれで自信もついたってところかな」


「惚れ直したわよ、幹也」


 お疲れ様、とでもいうような感じで腕に飛びついてくる彩花。どうやら対応はあれでよかったらしい。


「せっかくのモデルのチャンスをふいにしてしまって申し訳ないな」


「良いわよ、大学生になってからでもできるかもしれないし、そんな暇すらないほど勉学に打ち込むかもしれないし。とにかく、今は行きたい大学に行くのが優先よ。それ以外は考えちゃいないわ」


 そのままウィンドウショッピングを続け、楽しくデートは進んだ。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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