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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第149話:質疑応答は主目的を忘れ

「二人のついでに小林も稼がせてもらってるのは解った。命の危険ってどんな時に味わうんだ? 具体的にあるのか? 」


 他の生徒からもっと玉ヒュンの出来事はなかったのかと質問をされるので答えておく必要があるんだろうな。何がいいかな? やっぱり比較的早めに出会うモンスターとしてのレッドキャップ辺りで例に挙げておいたほうがいいかな。


「そうだな。駅前ダンジョンだと二層から三層の間に出てくるんだが、レッドキャップっていう赤いバンダナを巻いたゴブリンが出てくるんだが……こいつがどこにいるか中々判別できなくて奇襲を受けるんだ。ナイフを持っているから、直接心臓にでもダメージを負えば一発で死ぬな」


 全員が黙る。そこまで危険なモンスターが居るのか、という顔をしている。


「小林も本条も、そいつとは何度も出会っているんだよな? 」


「ああ、毎回100%……というわけではないが、出来るだけ先に発見して倒せるようにはしているぞ。足音や体から出る音が完全になくなるわけじゃないからな。それに幹也が対抗できるスキルを持っているから比較的楽に潜り抜けることが出来ている」


「対抗できるスキル……確かスキルスクロールってのを拾えば探索者はスキルを覚えられるんだったな」


 多分だが、実際は探索者じゃなくてもスキルを覚えることはできるんだよな。アカネにダンジョンが作れたように、表向きは探索者じゃないと覚えられない、ということにしておいて探索者以外がスキルを覚えるために裏取引を行わないためにやっている符丁のようなものなのだろう。


「一応【聞き耳】ってスキルを手に入れている。これを使うと……使うとというよりは常時使っている形になるんだが、遠くの音や小さな音でも聞きやすくなるんだ」


「ほんとかよ」


「ほんとかよ、と思わず言うほどだとは思うが、実際そうなっているんだから不思議なもんだよな」


 ほんとかよ、って呟いた本人が驚くほど聞こえているということは伝わったはずだ。言った相手と顔を合わせ視線を交差させると、本当だった! という驚きのような顔をしてこちらを見つめてきた。ホントダヨ。


「あとはそうだな……これは隆介と潜ってない間に手に入れたんだが、【威圧】ってスキルがある」


「【威圧】は聞いたことあるな。その場にいる全員にプレッシャーを与えて行動をしづらくするスキル……だったな」


 隆介が事前勉強をしていたのか、自分が出会ったことのあるモンスターについての知識は入れるようにしていたのかどうかまではわからないが、知っていたらしい。


「【威圧】のレベルを一番弱くして……こんな感じだ」


 すると、何人かの生徒が椅子に縛り付けられたように固定され、そして膝をつく生徒もいる。これはマズイと思ってすぐに威圧を切る。一瞬だけだったが、威圧の効果は充分あったと感じ取れただろう。


「一応人前で使うなって言われてるスキルでもあるし、探索者がむやみにスキルを一般人の前で披露するのはご法度なんで出来れば今のも黙っていてくれると嬉しい」


「あ、ああ……ちょっとトイレ」


「俺も」


 もしかして、少し出たのか? だとしたら悪いことをしたかもしれんな。


「他に何か質問あるか? なければ俺もトイレに行きたいんだが」


「ダンジョンモンスターの食材って美味いのか? 」


 オーク肉以外今の所キノコぐらいしか思い浮かばないが、たしかに美味かったな。鍋にしたときの出汁もしっかり出てたし、キノコそのものの旨味もあってかなりポテンシャルの高い食べ物だったように感じる。


「ああ、美味かったぞ。今の所オーク肉……まあ、高級豚肉だな。それとキノコぐらいしか食べたことはないが、もっと深い階層に挑むようになればより美味しいモンスターが出てくるかもしれない。それに期待だな」


「流石に弁当には入れてきてたりはしないよな? 」


「今日はな。たまに持ってきてるぞ? パスタのお供に焼肉を乗っけたりしてたら大体それだ」


「でも、お高いんでしょ? 」


「自分で取りに行ってるから実質ゼロ円だ。後、キノコは鍋にしたら最高の旨味を提供してくれたから是非とも食べてみてほしいところだな。こっちはギルドが買い取りをしてないから自力で取りに行くか、ダンジョン前で現金交渉でキノコを喰わせてみてほしい、と談判するしかないだろうけど」


 食い物の話は文字通り食いつきが良い。昼休みに昼飯を食った後だというのに、より美味しい話を始めたことで追加で何かを買いに行こうとする生徒すら出始めた。


「前に一口自作の角煮を喰わせてもらったことがあるけど、最高だったな。また作らないのか? あれ。今度は言い値で買うぞ」


「あれは手間がかかるからな。ほぼ一日作業で出来上がるのがあれだけだっていうと、ひとかけら五百円ぐらい取ることになるぞ。そんなんでもいいのか? 」


「ひとかけら五百円か……まあ、納得の一品ではあるな。前と同じ大きさなら出しても不思議はない」


 マジか。この調子なら俺料理である程度飯食っていけるな。ついでに余った煮汁で大根も炊けば胃にも優しい美味しい食事のお供が作れるな。考えておこう。


「最初潜り始める時の装備はどうしたんだ? 本条の懐の寒さと弁当のレパートリーの少なさは有名だし、金を出すのも一苦労だっただろうに」


「そこは隆介のおかげもあるかな。半分……いや半分以上か、金を出してくれて、それで防具買って、その防具でダンジョン探索してみて、ダメそうなら隆介に後日渡す、金が手に入ったなら金を払って俺が買い取るって約束で出し合ったんだ。あれがなかったらまだ探索者やってなかったかもしれないな」


 実際はアカネのダンジョンでひたすらスライム倒してる頃だっただろうが、それでも防具一つでここまで変わるとは思わなかっただろうし、実際に潜ってみて稼いで早めに返すこともなかっただろう。結局のところ、アカネの出現によりドロップ率と成長率の壊れたダンジョンが出現しなければダンジョンに入り込むことすら今の段階ではできなかったのではないだろうか。


 そう思うとアカネの存在がより大きいものになるな。帰りに何かお供え物でも買っていくか。


「さて、他に聞きたいことがないならダンジョン話はもうおしまいだが……まだ何かあるか? 」


「死にかけたことはあるのか? 」


「さすがにまだないな。あるとしたらこれからだろう。ちゃんと安全マージンは取ってるつもりだからな」


「結城さんも戦えるのか? 」


「隆介と同程度以上には戦えるぞ」


「それは確かにそうだな。俺と同じぐらいの強さを持ってるのは間違いない。彼女もダンジョンにかなり慣れている様子だし、幹也と相当回数潜ったおかげじゃないかな」


「まあ、週末デート……にしては色気はないが、週に一回は潜ってたからな。しっかりオーク相手に戦ってたぞ」


 レベルが上がる云々は混乱の元だから言わないでおこう。俺自身も解明できている訳ではないしな……そういえば、このレベルアップの現象もいずれアカデミックに解析して、探索者にとってレベルアップがどのぐらいの恩恵を受けられているのかを調査する必要もあるのだろうな。


「おまえら、このまま探索者続けるのか? 」


 最後に、大事な質問が差し込まれてきた。


「今の所は続けると思うけど、探索者を専門でやっていくって方向にはならないかもしれないな。オープンキャンパスでダンジョン学部の話を聞きに行ってきたけど、探索者の養成学校ではなく、探索によって得られた結果の学術的な解析や結果報告のようなものをメインで取り扱うらしいし。長い目で見て飯を食っていけるのは探索者その者じゃなくて探索者を研究する人、ということになりそうだからな」


「じゃあ、本条はそっち方面に進むことになるのか。新しいダンジョン学部だったか? 確かできるとかいう話は聞いてるが」


「まさにそこだと思う。ここからでも通える範囲でダンジョン関係の学部はそこしかないはずだからな。むしろあったら教えてほしいぐらいだ。俺もそこを目指してまじめに勉強してるからな」


「本条の成績が急に最近よくなったの、ダンジョン通い始めてからか? 」


 うーん、どう答えるべきか。確かに時期的には一致するが、ダンジョンのおかげ、と言い切るのはちょっと違う、というより母数の足りない話になる。ここは濁すところかな。


「多分血行が良くなってるんだと思う。適度な運動は勉強にもいい影響を及ぼすからな。もしかしたらダンジョン通いで勉強する力が上がるようなことがあるかもしれないが、それはそれで何の証拠もないしな。だからダンジョン通えば誰でも賢くなるとは限らない、というか賢くはならないと思う」


 影響はあるかもしれないが、それに賭けてダンジョン潜って効果が出なくて受験に失敗しても俺は責任を取れないからあえてこうやって言っておく。俺がダンジョン潜ったら賢くなったみたいな感じにはしたくないのは確か。それで誰かの人生を潰してやれるほど俺は他人の人生に責任は持てない。


「なるほどな。それに限らず何かしらあったってことか。まあ、ダンジョン通って成績が上がるならもっとやってる奴が居るはずだからな。それを考えたら効果はないかあっても薄いか、よほど煮詰まってる奴にしか効果がないのかもしれないな」


 納得してそのまま教室から出ていった奴は今からでもできるダンジョン勉強法みたいなものを期待していたんだろうか。


 おおよそこのぐらいの話で質疑応答は終わり、ダンジョンの中の様子とかオーク肉やキノコの味なんかの話をしている間に昼休みは終わり、良い感じにごまかすことが出来た。


 あとは彩花の方か。あっちはあっちでうまくやってくれているんだろうか。うっかりアカネの話なんかしたら……逆に信じない奴のほうが多そうだし、アカネが学校に来ることはないだろうし、あえてオカルト方面の話をしたほうがよかったかもしれないな。そのほうが興味を失せさせることが出来たのかもしれない。


 まあ、それはそれでいい。今日やるべきことはやったし話すべきことは話した。あとはゆっくり見守ってもらっておくことにしよう。みんなも受験が本格化してきて他人のことなんて構ってる暇はなくなってくるはずだ。その間にゆっくり彩花と勉強しながら目指すべきところを目指そう。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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