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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第147話:文化祭デート 2

「ふぅ、驚かされた。もしかしたらレッドキャップのほうが殴り返せる分だけ心臓によかったかもしれない」


「本当ね。特に人形ゾーンはやばかったわ。モンスターの相手してるほうがまだましだったわね」


 一通り体験し終わって、彩花と感想を言い合う。一体ぐらい人形が居るかと思ったが、まさか通り過ぎたはずの人形と思われていたものまで中身入りだと思わなかった。あれは絶対悪意がこもってるだろう。その悪意を込めた本体であるところの隆介に早速文句を言いに行こうとした。


 すると、隆介は受付から消えて他の生徒が立っていた。あれ、どこ行ったんだろう?


「すまん、小林隆介は? 良い苦情を持って来たんだけど」


「ああ、本条か。伝言はもらってある。「二人で楽しんでいってくれ。俺も彼女とデートを楽しんでくる」だそうだ。多分苦情というか誉め言葉なんだろう? 評判はおかげ様で上々なんだ」


「その通りだ。出来が良すぎて困るぐらいだった。うまいこと人の心理のカギを外してそっと入り込むような、そういう感じが上手く出来てた。完敗だよ、って本人に言いたかったんだが」


「後でどうせ会うだろうし、伝えておくよ」


「頼んだ。こっちもデートの続きを楽しんでおかないとな」


 隆介のクラスメイトに一言伝えておくと、次のアトラクションへ向かうことにした。そのまま彩花と手を繋いで、次の出し物へ向かう。


「しかし、感想聞く間ぐらい居てくれてもいいだろうに」


「どうせ脛を蹴られるとかそういうことを考えていたんじゃないの? 後、彼女を会わせたくないとか」


「そう簡単に会わせたくない彼女か……意外な人物だったりするのかな。それとも彼女側に問題があったりするのか、ひた隠しにする必要は無さそうだからそのうち会うとは思うんだが、まあ人の恋路に口を出す気はないし、時間が勿体ない。自分の楽しみに時間を割くべきだな」


 次の出し物を探すと、無難なものとして射的をやっていた。射的のおまけも消えものが多く難易度も高くない、さっさと数を減らして仕舞いにしたいような空気を感じられたので、さっそく参加して商品の在庫整理に付き合ってやるとする。


「当てるのは……そう難しそうじゃないわね」


「まあ、金目当てでやってるわけじゃないだろうしな。楽しんでもらうのが第一だろうから倒れたら倒れた分だけ持って帰っていいらしいし、その分安いお菓子しか並べてないみたいだし。雰囲気重視ってことかな」


 ボンタンアメの箱やかろうじて立たせているうまい棒を後ろから支えて立たせているが、正面からきっちり落とさなくても、当てた段階でくれるらしい。ただ、並べてあるお菓子の大きさが基本的に小さいため、そもそも当てるのが難しいことになっている。これは狙って当てるのは中々難易度が高い。


 しかし、良心的な値段設定と玉数なのでしっかり楽しめるようになっているし、当たったら景品ゲットなので倒したり角度を気にして当てに行ったり気にしなくていいのも楽。とりあえずいっかいやって、うまい棒を手に入れておいたので、それをふがふがと食べながらもう一回うまい棒を手に入れる。これを彩花の口元に突っ込んで、彩花は真面目にどうすれば当てられるかを考え始めたらしい。


 玉も新品なので素直な方向に飛んで行ってくれる。話を聞くと、銃は借り物だが弾は新品を用意したらしい。銃と射的台を含めて、二日分まとめて貸し出してくれる会社があったらしく、そこでまとめて借りた結果がこう、ということらしい。


 二人とも景品を手に入れたところで次のアトラクション……というか、体育館で演劇部の演劇最終公演を見ることになった。


 どうやら、二日間で四回おなじ演目をやるらしい。一日二回講演は中々体力的に厳しそうだが、せりふ回しや演技も含めてどこまでやれるか……というのが最終公演で決まるはずなので、ちょうどいいタイミングで見に来たこともにもなるな。


 たしか、双子の兄妹が演劇部には入っているはず。弟のほうが部長だったはずだし、これが最後の公演、ということなのだろう。演じられている作品自体は知らないものだが、誰でも覚えられる簡単パンフレットとというのが配られていたので簡単に目を通す。感動モノというよりは喜劇ってところだな。やはり笑わせることのほうが手軽で心をつかみやすい、ということなのだろう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 一通り見終わって、二時間ほど時間を潰せた。演劇自体も中々面白かったし、双子いじりもいいタイミングで入っていて、計算された面白さを感じさせられた。笑い所は用意したから好きに笑ってくれ、というスタイルはやりやすい。


 彩花も最初は退屈そうに見ていたが、最後は笑顔で笑っていたので中々気に入ったらしい。終わった後パンフレットを見直してもう一回見たかった……と言った様子だった。


「面白かったな……予想より面白かった。現代ナイズされているところもなく、素直に楽しめた。演劇もたまにはいいもんなんだな」


「ドラマとか見なさそうだものね。ある意味新鮮で良かったじゃないの」


「刺激を受けないことが却って刺激になる、ということか。そういう意味では俺が今テレビの虫になったら色々とまずいことになりそうだな。受験とかそっちのけで夢中になりそうだ」


 彩花がクスッと笑うと、そのまま腕にしがみついてくる。メイド服がひらりと翻り、胸が腕に当たる。


「さあ、幹也。次は何処に行くの? 」


「そうだな、二時間見っぱなしでお腹が空いた。他の食べる物を何か片手にしながら他のアトラクションを見回るとするか」


 まだやってる出店を回り、普段食べないチュロスを片手にまた新しい出し物を巡る。体育館からは吹奏楽部の演奏が終わり、その後有志のジャズバンドが演奏されていた。


 俺はまだジャズの何が素晴らしいのかがわかるほど人間が出来てはいないが、きっと年月が経てばジャズがどれだけ面白い音楽なのかがわかるようになるだろう。


 そのまま展示スペースへ行き、映えるスペースをいくつか提供していた教室でそれぞれスマホで撮る。周りを気にせず二人でそれっぽく……と、なんか今一番人生で充実してるかもしれないな。大学通う前にこんなに充実した学生生活を送っているかもしれないな。祭りの余波で俺もつい財布のひもも、気分も緩んでしまっているわけだ。


 去年までと違ってこの浮つき具合はなんだろう。やはり彩花が一緒にいてくれるから、ということなんだろうか。隣で楽しそうにしている彩花を見て、やはりすぐ近くに誰かがいてくれるのと、そうじゃないのは違いがあるんだろうな。


 彩花の手をギュッと握って他のアトラクションを堪能する。さすがに全部回りきるのは難しいだろうが、できるだけ二人で楽しめそうなものは制覇してしまおう。


 体育館から響いてくる音をBGMに、色んなものを楽しむ。一人で歩き回る学術系の展示ではなく、二人で楽しめるものを中心に回っているので楽しみ方がまるで違う。


「ねえ、楽しい? 」


 彩花から不意に問われる。


「不思議と楽しい。普通はあんまり楽しくないのかもしれないけど、なんか俺の中で盛り上がってる」


「そう、ならよかった。ダンジョンのほうがスリルがあるからイマイチ楽しめないとか言い出すかと思って少し心配だったわ」


「そうだな。否定しきれないのが正直なところだけど、一人で回るのと二人で回るのでは楽しさも違うな、と思って。昨日はこの辺の前を通ったけど何とも思わなかった。今はちょっと興味があるし、二人で楽しめるならそれは面白い二人用のコンテンツなんだなってことがわかった。それがわかっただけでも儲けものだし、人生の楽しみ方をより覚えたってところでいいのかもしれないな」


 陰キャから陽キャに……というわけではないだろうが、両方の楽しみ方を知っている、という形になるんだろうか。


 続く茶道部の体験茶道をしたり、レジンで作る小物作成体験をしたり、二人で色々回った。やがて日が徐々に落ちてきて暗くなり始めると、体育館の騒ぎも一区切りついたのか全演目が終わったのか、徐々に店じまいを始める。


 食品系の屋台も店じまいを始めるか、材料を使いつくして全部作り切って後で皆で配って回ろうとかそういう流れになりはじめた。俺も教室に帰ったらまたたい焼きを押し付けられるのだろうか。それとも、各時間帯の店長たちに給料代わりに大量に提供されることになるのだろう。


「さて、私もそろそろ戻らないとメイド服の返却も含めて色々手続しなきゃいけないし、このまま着続けてたり買い取りになったりしても困るからね」


 彩花が一足先にクラスに戻るらしい。確かに着替えがあるなら早めに帰らないとまずいだろう。


「そうだな。名残惜しいがそろそろデートを終わりにするか。今日は本当に楽しかった。初めてデートらしいデートをした気分だ」


「そういえばそうね。デートと言えばダンジョン関連だったから、それ以外だと勉強教え合う以外にそれっぽいことをすることはなかったかも」


 そういうと、彩花とお互いを見つめ合う。そのままいい雰囲気になり、ついキスをする。それを見ていた他の生徒から軽く黄色い声が上がるが、今は気にしない。周りが何を騒ごうとどれだけジェラシーを感じようと、今この俺たち二人の間に存在する隔離結界の中では甘ったるい空気が流れ込み漂っているのだ。それを邪魔する奴はそれこそ馬に蹴られて……という奴だろう。


「ふふっ、人前でキスするの初めて。ちょっと優越感に浸れるわね」


「ちゃんとカップルできてるかどうかが怪しいが、まあ、たまにはいいか。明日になったら学校中の噂になってるかもしれないけどな」


「それはそれで望むところよ。大手を振って恋人同士だって言えるようになるのも悪い気はしないわ。今更取られたりする心配もないだろうしね」


 充分に期待されてる、というか俺は彩花に惚れているから心配ないわよね? という信頼感の上でないと出てこないセリフだ。ここで俺がうっかり流石にそうじゃなくなるかもよ? なんて言ったら彩花は凄い顔をしそうだが、ここまで色々させてもらってる彩花を裏切るようなことなんてできない。


 何よりアカネがなんて言い出すやら。レベルが上がっていい男になったからって調子に乗ると痛い目見るわよ、なんて言われそうなのが目に見えているからそんなことはできないし、何より俺も彩花の言う通り彩花に惚れている。少なくとも受験という戦争が終わるまでは二人の関係はこのまま続けていきたい。その後は……まあ、なるようになるさ。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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