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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第137話:休み明け

 夏休みが終わった。この夏休みで触れてみた赤本はざっと十冊。過去問を全て解いたわけではないが、捨て問の傾向と対策は大体つかめた。実際に過去問があるわけではない学科なので、大学が公開しているサンプル問題で対策を立ててはおくので、偏差値的に考えても、医学部まで必要はないにせよ、他の学科に入るために余裕のある部分までは自分を高めておいたつもりだ。


 さて、久しぶりの通学だ。他の連中はどうなっているかはさておき、俺と彩花は充分に学力を蓄えることができただろうか。色々と楽しみではあるな。


 隆介も、夏休みはあまり騒ぐこともなく、俺のところに来てダンジョンへ潜らないか? と誘う機会も一回か二回程度しかなかった。それだけ勉強に集中していたのか、それとも噂の彼女が誕生日になって二人でダンジョンに潜っていたのかまではわからない。わざわざ聞くことでもないので放置していたが、その辺の答えも聞けるようになっているといいな。


 今日は午前中だけの授業だが、どこで飯を食ってもいいように弁当を念のために作っていく。今日は野菜炒めとご飯だ。朝のうちに珍しくご飯を炊いておいたので、昼食用の弁当箱にご飯と冷凍食品をいくつかと、ほうれん草のバターソテーで間を埋めて……よし、こんなものだろう。


 短時間で弁当を作るだけのスキルを身につけられたのも彩花のおかげであるし、俺も彼女にいい影響を受けつつあるな。朝も少し早く起きるなりして毎日パスタ生活というものから脱却しつつある。健康的な食生活を心がけて、勉強にも身が入るようになったし、もしかしたら毎食塩パスタというのが体に知らない間に負荷をかけていたのかもしれない。


 さて、久々の登校だ。みんな変わってなければいいけど。隆介あたりとは珍しく長い間会ってないからお互い変わってる場所がないかチェックしないといけないな。


 ◇◆◇◆◇◆◇


「よう幹也。いつも通りしけた顔……と言いたいところだが、最近しけた顔をした様子がないから人生が順調に進んでいるようで何よりだな」


 いつもの軽いジャブからのフックをかましてくる隆介だが、俺がレベルアップで更に美形になっていることに気づいたらしく、一歩引いたリアクションをかまして様子を見ていている感じだ。


「隆介は俺のほうにあまり構ってこなかったが、もしかしてお待ちかねの彼女の探索者デビューは終わった感じか? 彼女のダンジョンデビューにつきっきりだったとか」


「ああ、つつがなくとまでは行かないが、最初に潜ってみたことには違いない。流石に立派に稼いで……とまでは行っていないが、お互い受験の息抜きでぼちぼちと進めていこうという話になっている」


 隆介が笑う。その為に四月から俺と色々金を集めたり装備を集めたりせこせこと色々してきたんだ。それがかなってひとまずは良かったと言えるだろう。


「まあ、十層まで二人で行くことはないだろうからそこの心配はしてないが、協力することがあれば言ってくれよ、付き合うからな」


「ああ、覚えておく。その時は結城が一緒になるかどうかはわからないが、詰まったら是非とも協力してほしいもんだ」


 隆介が素直に支援の話を受け取る。彩花が付き合うかどうかはわからないが、俺は少なくとも付き合うことにしよう。ついでに隆介の彼女の顔も見たいしな。


「で、そっちは良いとして学力のほうは大丈夫なんだろうな。隆介だけTOP20から落ちる、なんてことはないだろうが、みんな追い上げに必死になる時期だぞ」


「幹也こそ、期末テストまではたまたまヤマが当たり続けて点数が取れただけで、夏休み中ひたすらダンジョンに通い続けてたおかげで成績が下がって元の木阿弥、なんてことにはならないだろうな」


「それはない、と思いたいところだが、他の連中と違って塾通いも夏期講習にも参加してないからな。彩花ごしにどんな学習内容をしているかは多少聞いてはいるが、実際に参加してみないとわからない所だからな。そういう意味で実践をしていないというところで実力差が出てしまうかもしれないな」


「ふむ、その辺はちゃんと自己分析できているわけか。なら、あとはテストや模試で回数を重ねていくしかないな。校内模擬テストもあるし、それらをうまく活用していくことだな」


 別に今からでも塾を探して入校することはできるだろうし、今からでもできる家庭教師や個人教師の類は探せばあるんだろうが、今のところそれに応じようとする気分にはなれない。本来なら急ぎで緊急講師を探して個人授業と行くところなんだろうが、新規開設の学部を目指しているという話の場合、はたしてなり手がいるのかどうかという問題もある。


 いまのところは孤独にひたすら勉強というものを積み上げていくしかない、というところなんだろうな。自力でなんとかしなくてはいけないというところに途方もない壁のようなものを感じるが、よじ登るなり破壊するなりで突破するしかないのだろう。


「まあ、まだこれから巻き返す手段がないわけではないし、俺が巻き返される側なのかどうかも判断するための結果がこれから配られるんだ、それに期待するしかないな。そんなわけで、俺はおとなしく夏休み中の模試の結果を待つことにするよ。それから本格的に時間を使いだしても、多分まだ間に合うところには居るはずだ」


「そうかもしれんな。俺としては何処まで幹也が伸びるのか気になる所ではあるが……まあ、これまでの結果の集大成が前の模試だとすると、模試で取れてない部分を集中的に伸ばすことでまだ間に合うと言えばそうだしな。夏休み、めいっぱい遊んでダンジョンに通って勉強一切してない、なんてことはないよな? 」


「さすがにそれはないな。どんなに短くても四時間は勉強してたし、ダンジョンにもそう多い回数潜っていない。ちょっと肩が詰まるようなことや運動不足を感じた時に潜ったぐらいだからな。後はオーク肉が食いたくなった時か。そのぐらいだな」


「なら、それほど影響はないな。オーク肉が食べたいときはともかくとして、それほどダンジョンにのめり込まなくてよかったよ」


「あと、オープンキャンパスに行ってハッキリ言われたからな。潜るだけなら大学でダンジョン学部を選択する理由はない、それなら探索者になればいい。それよりもダンジョンをもう一歩引いた目線や立場から考えて、ダンジョンというものに対してどういうアプローチをしていくのか、ダンジョンから産出する物資をどう扱っていくのか、そういうものを研究するところだってさ。だから純粋に深く潜ってより収入を得たいなら大学なんて来ずに専門探索者をやっていればいい、だとさ」


 俺の言葉に少々驚く隆介だったが、少しだけ考えた後、なるほどな……と言った後、その言葉に納得をしたようだった。


「確かにその人の言う通りかもな。フィールドワークとしてやるかどうかはともかくとして、特定の階層の特定のドロップ品にしか用事がないなら、そこまで潜れる探索者に直接取引を持ち掛けたほうが手っ取り早いからな。そういう意味では自分で潜りに行くメリットはそうないように受け止めることもできるし、金がなくて首が回らない研究室ならともかくとして、ダンジョン関係の技術は今は上り調子の研究課題だからな。魔石のエネルギー変換システムのちょっとした効率化だけで年間何千億と利益効率が変わってくるだろうし、基幹技術として発展が十分に期待されてる分野でもあるしな」


 隆介なりにそういう情報は仕入れてるんだな。そういえばこいつは何処の大学のどこの学科を目指しているんだろう。流石に医者になるとか弁護士になるという話は聞いたことはないが、それなりのところでそれなりの場所を目指せるだけの実力はあるんだから、色々と目指す方向性を選ぶことはできるはずだ。


 チャイムが鳴り、あわただしく学生たちが自分の教室に戻っていく。


「じゃあ、また後でな」


「おう、後で」


 隆介が自分の教室へ帰っていき、代わりに担任の教師が入ってくる。その手には、夏休み中に受講した模試の結果を抱えていた。


「よーし、お前ら無事に帰ってきたな。まずはそれで一安心だ。そして次に、安心できない話だ。模試の結果が返ってきた。悪かろうが良かろうが、それはお前らの今までの勉強の証だろうから結果が振るわなかった奴は見直して自分の弱い部分を探せ。予想以上に良かった奴は、それに驕らずに励むんだぞ。じゃあ出席番号順に取りに来い」


 俺は「ほ」なのでそれなりに遅い。他の連中の一喜一憂した顔を見ながら順番に受け取りに行き、席に戻る姿を確認していく。ほとんどの奴はちょっと落ち込んでいるが、時々嬉しそうにニヤつきながら戻る奴もいるのでどこで差が開いているのかが気になるっちゃなるな。


 やがて俺の番になったので受け取りに行く。担任は一言「やったな」とだけ声をかけて俺に結果を返してくる。


 俺の結果、適当に流して入力した学部は軒並みA判定、そしてダンジョン学部は……A判定。どうやら、この調子を保っていけば80%以上の確率で合格できるだろうとのこと。現時点でこれだが、まだまだ油断はするな、ということなんだろう。


 俺に足りないものは二年生までの総合的な学力と模試を受ける回数、つまり場数が足りてないってことになる。こればかりは何処かの塾の一発テストを受けるなり、それとも学校でやる模試を全て総ざらいにして受けて場数を踏むなりしていかなければいけないな。


 今からでも間に合うだろうか? たまにはこういうところで教師の力を借りてみるのもいいかもしれないな。今日の始業式の授業が終わったら、職員室へ行って教師に対して、外部で受けられる模試なんかのパンフレットが学校に送付されていないか確認しにいくことにしよう。


 もしかしたら先生個人宛てにも来ているかもしれないし、聞いてもわからない、ということはないだろう。毎年そういう生徒は居るだろうし、そういう生徒のためのマニュアルみたいなものが出来上がっていても不思議はない。俺もたまには学校というシステムを存分に活かして自分の未来生活へのステップを刻んでいこうじゃないか。

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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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