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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第135話:いちゃいちゃ

 座ったまま彩花を後ろから抱きかかえるようにくっつきながら、しばらくのほほんとする。今日は中々に疲れた。まさかオープンキャンパスでここまで精神力を削られるとは思わなかったし、あんな面白い教師もいたんだな、という感想文もかけるぐらいにはなった。


 そういえば大泉准教授の経歴とか調べてみるのも悪くないかもしれないな。ちょっとネットで調べてみよう。おおいずみようこ……漢字まではわからないが、准教授や助教なんかのワードをつけて検索をしてみると、元は東大のエネルギー環境学の教室にいたという経歴が出てきた。


 東大の研究室にいたのか。他の経歴なんかを眺めてみるが、優秀っぽいのは間違いないらしい。ログを辿ると、魔石のエネルギー再利用に関しての論文をまとめたことで表彰されていることまで出てきた。


 今日話してくれた内容だったな、魔石の使いかすにもまだエネルギーが秘められていてそれを更に利用することでより効率的な発電やエネルギー利用が可能なのではないか、という話だ。その件にいち早く気づいて利用法について考え始めたのも彼女らしい。


 論文の閲覧もできるが、そこまでやる必要があるかどうか、今の自分が読んで理解できるかはまた別の話だし完全にダンジョン学部の専門になるだろうから、ダンジョン学部に入学することを確実にしてからでも頭に詰め込むことができるだろう。


 しかし、アレな性格でも優秀なら残れるのか、アレな性格だからこそそういう点に目をつけることが出来たのか。性格はともかくとして腕のほうは本物のようだ。


「あの准教授、あれで最先端エネルギー理論の論文何本か書いてる真面目な人らしいぞ。三十代で准教授になる分だけの実績はちゃんと積んでるってのは嘘じゃないらしい。性格はアレだったけど。よく自分主導の専門研究が出来ると言っても、新設学科の教授陣に混ざろうと思ったな」


「ちゃんと仕事ができる人なのはわかったけど……なんかあれはあれで心配よね。ちゃんと社会人として行動できているのか不安な所があるわ」


「さすがにそこまでは問題はないとは思うけど。でもまあ、なんというか支える人がいないとダメだなあという気分にさせてくれる人ではあったな。それも才能のうちなのかもしれない」


「じゃあ、幹也はダンジョン学部に入ったら大泉ゼミにお世話になるつもりなの? 」


「今日もう一つ受けた中谷ゼミでも良いなとは思ってる。ダンジョン素材の効率的運用と活用、それらの統合運用システムの構築、というのは社会インフラとして機能するならばそれを実地運用するためのコストや規模はかなり大きいし、そこを効率化できればより小さいコストでギルド運営ができるようになる。面白い試みだとは思ったな」


 何でも効率的にすればいいわけじゃないという意見はありそうだが、無駄を減らしてコストを圧縮するのはどこの企業や自治体、システムでも日々行われていることなので、それがダンジョンのインフラに及ぼす影響を考えたらなかなか大きいコストダウンになるんじゃないだろうか。


 彩花を後ろからぎゅっと抱きしめつつ、他にも色々と検索していく。日本各地のダンジョン学部にあたる学科でどんなオープンキャンパスや内部の講義を行っているか、それから学部生のSNSを見たり、色々と情報を仕入れることになった。


 やはり、他の大学のダンジョン学部でも、実地調査やフィールドワークである所の実際のダンジョン探索をメインでやっている学科は少なく、ほとんどはダンジョンから出てくる物品の鑑定や魔石のエネルギー転換効率の研究など、多分野でダンジョン物品の加工や活用の機会などを提供している様子だ。


 ダンジョンの数がある分だけダンジョン学部があるわけではなく、大学の数や生徒数を考えるとダンジョン関連学部は非常に少ない。各大学にあるダンジョン同好会やダンジョンサークル、サークル活動として認められているパーティーのほうが多いぐらいだ。


 大学として、やはり新規の学部としてダンジョン関係の学部を設けるのは難しいらしい。大学ではなく専門学校として探索専門校を立ち上げてそっちで授業や潜り方を勉強しつつ、特徴や探索の心がけを学んでいく……というほうが探索者としては実利にかなうんだろうな。


 でも、探索者の通う専門校があるとして、どうやってそれを学生として雇い続けていくのか……という点については、おそらく探索で仕事分の給料を得ながら専門学校の授業料を払って、卒業するころにはいっぱしの探索者が出来上がっている……ということなんだろう。


 大学に落ちたら最悪こっちのルートに入ることにもなるんだから、ある意味滑り止めとして考えておくのも有りかもしれないな。


「専門学校か……一応認可校として大卒同等の資格として取得しつつ、ひたすらダンジョンに潜るって手もあるんだろうな」


「潜るほうが専門の探索者としてはそっちの道のほうがいいってたしかダンジョン学部の全体挨拶でも言ってたわよね。幹也はそっちでも良いと思ってるわけ? 」


「そうだな、そっちでも良いとは思ってるが……どうせならより高度な知識や応用できる知識を身に付けてからダンジョンに潜り始めるでも良いしな。どういう知識を持ってダンジョンに向かっていくのか、というのも探索者の知識として、または探索者のモチベーションとしても必要になるだろうし」


 試しに認可校として設置されている探索者専門学校を調べてみるが、東京と大阪にはあったが名古屋近辺にはまだなかった。さすがに四年間とはいえ地元を離れてそっちへ行く、というのは厳しいだろうし……ああ、両方とも願書の提出日は十月から開始だから、まだ路線変更をする余地はあるな。ただ、前評判を聞く限りアカデミックな場所というよりは、職業訓練校という見方のほうが強いところではあるらしい。


「ふむ……プログラマー養成校と似たようなもんなのかな。認可を取ってあるとはいえ、授業のコマのほとんどはダンジョン内での探索活動で埋まりそうな気がする。座学はモンスターとの戦い方やドロップ品の取り扱い方や効率的な探索の仕方とか、色々あるんだろうな」


「ただいま、幹也は随分悩んでるみたいだけど、今から他の学科に行きたい、なんてことはないわけ? 」


 ふと気づくとアカネが外回りから帰ってきていた。彩花とくっついているところに突っ込まない辺り、こっそりと神力を吸い取っているのだろう。


「むしろそっちのほうが私たちらしくはあるわよね。せっかく潜ってドロップ品もたくさん拾えるんだから、それを活かすには肉体労働系であるダンジョン探索者専門学校のほうがそれらしくなる気はするんだけど。でも、そうじゃない方向へ行こうとしてるのよね? 」


「そうなる。ダンジョン経営学……とでもいうのかな。たとえばノーマライズダンジョン一つ管理するにしても、ただそこにあるだけでボーっと管理していくのよりも、何かしら手を加えて人口を増やしていく方法がないかとか、そういう考えもできるはずだ。何か……これといって今思いつくものではないんだけど」


「それこそダンジョンロジスティクスだったっけ? その考えの下で考えるべきものじゃないかしら。だとしたら中谷准教授でしたっけ? そちらのゼミに所属して考えるべきことよね」


 さて……大泉ゼミに所属するようになった場合、俺にはどんな協力ができるようになるのだろう。実際にスキルを使って魔石の燃焼試験をすることはできるが、それ以外には何かあるのだろうか。


「そうだな。他の学科……思い浮かばないし、それならダンジョンの専門学校へ行くにも地元を離れてまで通うぐらいなら地元の他の学科に行く方がまだマシだし、そう考えるとやっぱり今の自分により良い選択肢はダンジョン学科に入ること、になるのかな」


「だったら、いっそのこと自分のやりたいことを貫いてしまいなさい。後から資格がないと言われることになったとしても、そこまで歩いてきた道がそこまでのあなたを作り上げるのだから、心配することはないわよ」


 心配するな、か。道祖神様がそういうなら俺も自分の道を進んでいいってことなんだろう。細かいことはアカネや周りがやってくれるから、自分のやりたいように道を選べばいい、か。


「よし、後のことは後にならなきゃわからないってことだな。なら、今できる最大限のことをしていくしかない。他の道に行くのもハナから考えてない。元々大学に落ちたら探索者になるつもりだったんだ。探索者になるのか、探索者を支える役割になるかの違いがあるとしても、どっちにしろダンジョンに関わる仕事をしてたのは確かなんだ。だったら出来るだけ高等な技術か知識を持ち合わせていったほうがいいだろう。後は……勉強して、ついでにダンジョンのことも頭に入れて行って、どこまでの知識が問われるかは解らないけどとにかくやれるだけのことはやろう」


「お、やる気になったわね。結城さんはどうするの? 幹也と同じ道に行く? それとも他の道を探すの? 私の契約者であるあなたの行く先も私の判断の範疇だわ」


 アカネが彩花のほうを見やり、ニヤリとする。彩花はしばらく考えた後、アカネのほうを見返して答える。


「私も幹也と同じ道を選ぶわ。もしかしたら細かいところでは道がずれるかもしれないけど、せっかくダンジョン学部なんてわかりやすいものが目の前に見つかっているんだもの、選ばない道はないわ。もしもダンジョン学部には入れなかったとしても幹也と同じ大学に入るだけの学力と実力は手に入れておかないといけないしね。まだまだこれから挑戦するだけの余裕はあるわ」


 俺の腕をグッとつかんでアカネに宣言する。ついてきてくれるのかという安心感と、腕に当たる感触が心強い。


「今日のところは疲れたし、夏休みらしいことをするか。本来なら一分一秒が惜しいところだろうけどそこまで根を詰めて勉強しなきゃ入れないところなら、そもそも入ってからついていくだけで必死になるだろうしな。そんな環境で充分な学習をしていけるはずはないんだ。だから今はちょっと休憩して、また明日から頑張ろう」

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