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あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~  作者: 大正


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第13話:ゴブリン以外のゴブリン

「二層は奥の方まで作ったから、普通のゴブリン以外のモンスターも出るから注意してね」

「もうそこまで作ってあるのか。至れり尽くせりだな」

「なんか昨日今日と興が乗ったのよね。だから他のモンスターも配置されてるから充分注意してね」


 つまり二層まではできあがってるということか。現実のダンジョンの予習復習にもなるというイメージでいいのだろう。それに隠し収入になるならさらにもってこいだな。


 今日は一層ではスライムはそれほど戦わずに二層へそのまま向かおう。通り抜ける邪魔になるスライムだけを倒していく。スライムの核も確実にとらえて倒せるようになった。これもレベルの恩恵か。


 新しい階層が出来てちゃんと進めるか心配なのか、今日はアカネも付いてきている。多分俺の目の前でデバッグ作業を込みでやっていこう、ということなんだろうな。


 スライムを8匹倒した後二層へ向かい、ゴブリンの相手をする。このお手製の武器もちゃんとしたものにレベルアップさせないと、やはりこの先のモンスター、ゴブリン以外のモンスターに効果的なダメージを与えられないかもしれない。


 二層の地図を作りながらゆっくり進む。日曜日に潜った分は地図は出来ているが、それ以外の拡張された部分についてはまだわかっていないし、俺を完全に迷わせて出れなくなるようなダンジョンを作るアカネだとも思えないのでそれほど細かく面倒くさい作りにはしてないはずだ……と、早速ゴブリンだ。まだこっちに気づいていないので、そおっと近寄ると先制攻撃でズブッとお手製槍を差し入れ、ゴブリンを一撃で仕留める。


 スニーキングで倒すのが一番手間がなく安全だな。もっと足音や擦過音の出ない服装で来るとより良いかもしれないが今の所は中古の防具しかないのでそれで出来るだけ音を出ないように動きのは少々面倒だ。しかし、下手に駆け寄って一撃をもらうのはあまりよろしくない。打たれず打つのをベースにした動きを考えていこう。


「出てきたわね。もうしばらく進めばゴブリンの他の種類が出てくるわよ。気を付けてね」


 そのままゴブリンを4体ほど倒して進むと、ゴブリンの種類が変わった。こん棒に、贅沢にも小盾まで抱えたちょっとリッチなゴブリンが登場する。シールド持ちのゴブリンか。盾を持っている分だけ攻撃する場所が限定されてしまうが……でも槍の攻撃点の狭さならなんとかなるかもしれないな。


 あえて身をさらすように盾持ちのゴブリンを相手取る。ゴブリンは盾を前に構えてそのまま突進してきた。小さいが、盾で身を守るように突撃してきて、近寄ったらこん棒で攻撃してくる、というパターンなのだろう。


 相手の射程に入る前にこっちの攻撃が届くので、盾を突いて盾を弾こうと試みてみる。盾はきっちりこっちの槍をはじき、そのまま盾が槍の勢いに任されて外側に吸い取られる。そして、にやりと口元がゆがむ盾持ちゴブリン。


 しかし、その行動はあらかじめ予測済み。すぐさま槍を手元に引き寄せて懐の間ゴブリンに、こん棒が殴り掛かるより先に突きつける。胴体に吸い込まれるように入り込んでいった槍がゴブリンの胴体に刺さり、ゴブリンは体勢を崩す。そのままごりッと少しひねって、傷口を開くように手元をひねると、槍を抜きもう一度今度は頭に向けて一撃を入れる。


 腹への一撃でお腹を押さえこんでいるゴブリンの頭部はがら空きだ。そのまま頭に突き刺してずぶりと槍を突き込むと、ゴブリンは黒い霧になって消えていった。後には魔石が残る。ここで盾とか落とされても困る所だったので安心した。


「初戦は上々ってところかしら。二体三体出てきた時にどう対応するか、今のうちに考えておいたほうがいいわよ」

「ちなみになんだが、俺がこのダンジョンで力尽きた場合どうなるんだ? 」


 一応他のダンジョンなら助けが入るなり、ダンジョンに吸収されるなりして死体の形で残る保証はないが一応の死の形として俺のご遺体が運ばれることになる。では、この個人ダンジョンならどうなるんだろう?


「その時は私の神力の養分としてすべて吸収して、あなた専用ダンジョンも閉じておしまいね。貴方は私の中の意識の一部分として生き続けることになるわ」


 それは死んでいるのか生きているのかイマイチ判断がつかないが、俺は行方不明扱いになってしまうらしい。せめてダンジョンから排出されてくれればいいんだが、そこまで都合よくはいかないらしい。


「それは勘弁願いたいな。是非とも俺の寿命が尽きてからにしてほしいもんだ」

「じゃあ頑張って死なない程度に戦うのがいいわ。いつでも戻れるんだから無理せずにほどほどで戦うようにすればいいのよ」


 それもそうだな……と、ゴブリンの種類についてついでに聞いておくか。


「盾持ちのゴブリンが居るということは弓矢を持ってるゴブリンもいるということだよな」

「一応そう設計してあるけど? できるだけ実際のダンジョンに近づけてってリクエストに沿ったから、この先が厳しいと思うなら装備を整えてもう一度ってところじゃないかしら」


 確かに、ドロップ率が100%で経験値も膨大に入るとはいえ、このダンジョンではパーティー行動をとるということが不可能だ。必然的に自分一人でできる範囲というのは限られてくる。個人的な技量を蓄えていくか、レベルアップによるごり押しによって突破していくしかないんだな。これは中々に、じっくり進んでいくか、それとも駅前ダンジョンに通って戦闘回数を重ねていくしかない、というところか。


 駅前ダンジョンで金稼ぎのことを考える必要はないので、土日にダンジョンに通ってついでに換金もしてくる。それでいいだろうな。


 今の所はこのゴブリンたちを相手にして金と経験値を稼ぎ、駅前ダンジョンで戦闘経験、技量や戦闘パターンなんかを知識として吸収していく。


「よし、当面の方針は決まった。とりあえず今はここでお金と経験値を稼いで、外のダンジョンで換金しつつ、そっちでは戦闘経験、つまり戦う回数をこなしていくことにする。そうすればできるだけ違和感なくダンジョンに馴染めるはずだ。一人でダンジョンを進んでいても違和感がないように、という意味でもできるだけ深く潜れるようにはしたいけど、今の装備で上手くいくかどうか不安があるな」

「だからこっちでお試しで数回戦ってみて、問題ないなら他のダンジョンでも潜ってみるってわけね」

「そうなるのかな。とりあえず他の種類のゴブリンもいるみたいだし、一通り体験してみてからでも遅くはないと思うから、慎重に進むことにするよ」


 ◇◆◇◆◇◆◇


 そのまま色んなゴブリンと戦いながら今日の分の収入を確保していく。平日は一時間から二時間の探索と決めている。そうでないと、自分のレベルアップと身体能力と精神の都合やオツムの出来についてこれない気がするからだ。ここまでゴブリンの種類は色々あったが、40匹ほど倒している。日課の分は終わったな……とおもったところで今日もレベルが上がってしまったらしい。


 ふわっとした浮き上がる感触と共に、更に神経が研ぎ澄まされたような感覚を覚える。また一つ、強くなってしまったのか、という感想が先に出る辺り、流石に慣れてきたのだろうね。


「そういえば、レベルアップしてしまっているけど、経験値倍率を元に戻すことは望まなかったわね。それはどうして? 」

「言わなかったっけ。アカネのせっかくの好意を無駄にはしたくない、というのがまず最初。それから、ダンジョンでレベルアップするって話をまだそれほど聞いたことがなかったというのが一つ。それから……アカネのおかげとはいえ、せっかく面白い現象に立ち会っているんだから、どこまで行けるのかな? というのを感じてみたいことが一つかな」

「随分買ってもらっているのは解ったわ。レベルアップもどこまで順調に行くかわからないし、ほどほどのところが必要になるとしてもどこまで幹也のためになるかは楽しみね」


 クスッと、子供らしからぬ怪しい艶のある笑顔でこちらに微笑みかけてくる。なんかちょっと怖い気もするが、同時に少し色気を感じたのでやはり年上なんだなあという印象が残った。


「楽しみなのは確かだろうけど、あんまり噂になってバレたとして、ダンジョンが他の人に見えたりするのかってのも確かめなきゃいけないところだろうから、その辺どうするかな。とりあえずレベルアップもしてしまったし、今日は早めにダンジョンを出て調べものをする時間に当てるか」

「まあ、あなたのペースで潜ればいいわ。急いで潜ってもらって感想を求めてるわけでもないしね。とりあえず私としては今日は新しいモンスターを試してもらっただけでも充分楽しみはあったしね」


 またクスッと笑ってこっちを見るアカネ。


「そういえば、少し大きくなったか? 背が伸びてる気がするぞ」

「また頑張ってダンジョンを攻略していってくれれば、その内幹也と同じ年ぐらいまでは成長するかもしれないわ。楽しみ? 」

「そうかも。今のアカネはかわいい系だけど、どっち系に育っていくかは興味があるな」

「セクシー系かキュート系か、クール系か。あなたはどれが好み? 」

「どれが好みかは教えないが、今のアカネを見てるとクール系に育っていくような気がするなあ」


 クール系美少女か。俺にだけ見えてるクール系美少女……マラソンランナーなんかはそういう幻視をしながら走ることでメンタルを保ってるんだってオタク系長距離走者の北田君が言ってたっけ。その意味では会話もしているし、お供え物やご飯を一緒に食べているつもりになっている俺も似たような物なのかもしれないな。


「さて、戻るか。この後は調べものをして、本当にレベルアップという現象が起きるのか、起きたとしてそれに気づけるのか。レベルアップによって何が変わるのか。後はダンジョンの仕組みについてもだな。ダンジョン探索者として講習は受けたものの、解らないことだらけだしな」

「その意気よ。頑張ってくれれば私もうれしいしね」


 そのまままっすぐスライムも倒しながら帰ったので、前回よりは多い収入を得て帰ることになったのは間違いないだろう。これは換金の時が楽しみだな。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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