第123話:ドロップ品回収とスキルチェック
黒い霧の拡散が終わったところで、後に残ったドロップを確認する。かなり大きめの魔石と、スキルスクロールが一つ、それと牙がドロップしていた。
魔石は確定ドロップだと考えて、スキルスクロールと牙はランダムドロップなのだろうな。どんなスキルをくれるんだろうか。やはり、【威圧】とかなんだろうか。首が二つに増えるスキルとかもらっても要らないからな。出来れば効果的なスキルであってくれると嬉しい。
魔石は充分に大きく、ボスを倒したと認識するにはちょうどいい量であった。これ一つで5000円から10000円ぐらいはしそうな気がする。
スキルスクロールは戻ってから鑑定サイトで鑑定して、価値と推移価格をみて、その性能が十分発揮できるかも含めて色々論議が必要だろうな。相談して決めておくのが一番いいが、複数回ボスチャレンジして手に入るような物なら毎回ボスに挑んで稼ぐのも悪くない。
その分換金しづらい魔石が増えることにもなるが……まあ、その辺は毎回ちょこちょこと誤魔化していくことにしよう。
「よし、部屋に戻って反省会兼お疲れ様会だ。ボスが次にいつリポップするかもわからないし、その辺を含めて調べるのもあるが、とりあえずここに居続けて得をすることは何もないからな」
「そうね。レベルも上がったし今日は良いことづくめってことで納得して戻りましょ」
彩花が俺の腕を取って引っ張りながら門の方へ向かう。門の方ではアカネが手を振っていた。
「お疲れ様。時間がかかったけど怪我もないし、全力を出したという割に疲れ切ってないから余裕勝ちだったってところかしらね」
「それでも二人いてやっとだからな。いつか一人で倒してみたいって欲はあるが、少なくとも今じゃないな。さて、今度こそ戻ってドロップ品の整理だ。できるなら今日中に換金もしてしまいたいところだ」
「まだ時間は……むしろ今ぐらいの時間のほうが混雑してて紛れやすいかも。人が多いほうがこういうのは目に着きづらいかもしれないし」
「なら、先に駅前ダンジョンまでそのまま行って換金してしまうか。流石に二人分のバッグ目一杯だとバレるだろうから……半分から七割ぐらいまで詰め込んでそれを換金してしまおう」
先に換金する、ということで持てるだけ魔石を持って、急いで駅前ダンジョンに向かい、自転車置き場から入退場窓口を通り抜けるような形で換金カウンターに向かい、換金カウンターで二等分でお願いする。入退場口の横を通ってきたことで、退場してすぐに換金カウンターに寄ってきた、と人によっては錯覚させることができるだろう。
しばらくして二等分の結果が出てきた。本日の収入、75200円。中々の高成績だ。二人合わせて150000円とちょっと、ということになる。やはりこうもり達が魔石を2つずつ落としてくれたりしたのがかなり功を奏しているのだろう。
換金が終わると、コンビニで一部を預金したりしながらついでにお菓子やジュースを買って俺の家へ戻り、着替える。流石にしばらくは使わないということで、二人とも防具を洗濯することにする。
薄着になった彩花にドキッとするが、彩花はもう見慣れたでしょ? という感じの反応。目の毒なのは確かなのだが、嬉しいのも半分。ごちそうさまです。
そのままエアコンが効き始めるまで薄着でいる彩花と、その彩花にドキドキしている俺と、俺の耳傍でヘタレ……と囁くアカネ。何だこの状況は。とてもじゃないが反省会や祝勝会の環境ではない。
「ごほん。とりあえず、オルトロス討伐お疲れ様ー、乾杯! 」
「乾杯! おつかれー! 」
「なにも持てないし食べれないけど乾杯! 」
ささやかながら戦勝祝賀会が始まった。本当ならもっといいところなり外食なりするだけの余裕もあるしそのための資金はさっき得て帰ってきたところだが、大手を振ってボスを倒した! と言えないし、誰かに何処かで聞かれてるかもしれない以上、俺の部屋以外で騒ぐのはちょっとはばかられたのでお菓子とジュースで騒ぐことにした。この方が結果的に安上がりだしまあいいのだ。
「さて、早速忘れないうちにスキルスクロールの鑑定をしてしまうか。オルトロスがくれたスキルスクロールは何のスキルなのか……と」
二枚落としてくれていたら彩花と一枚ずつ覚えられたのだが、流石にそこまでは便利ではないらしい。
早速鑑定サイトにアクセスし、スマホで撮ったスキルスクロールの画像を鑑定サイトにアップロードする。
しばらく解析時間がかかった後、出てきた答えは、【威圧】のスキルスクロールだと言うことだった。
「ふむ……【威圧】か。使ってくる戦闘手段からそれっぽくはあったけどそのまま出てくるとは思わなかったな。価格はどれどれっと」
【威圧】のスキルスクロールの価格を調べると、50万円から100万円とのこと。【精力絶倫】が100万円から200万円だったことを考えると、レアリティや希少価値は【精力絶倫】のほうが上だということにもびっくりだが、そんな貴重なものをくれたのか、とオークチーフに感謝したい気持ちもある。
「どうする? 覚える? 」
「覚えるなら幹也が先にかしらね。女の子が威圧感持っててもあんまりうれしくないわ」
「そういうところから攻められると俺が覚えて様子見するしかなくなるんだが……まあいいか。二枚目が出たら彩花にも覚えてもらうってことで」
「その時は幹也がレベル2にして更に威圧感の凄い男子になってくれてもいいのよ」
そんな威圧感マシマシの男子になりたくないのは俺も同じなんだけどな。まぁ、普段から使い続けるようなスキルでもなさそうだし、非常時に使って……そもそも威圧が必要な非常時ってなんだろう。
「とりあえず憶えるか。使ってみて使い心地によっては頻繁に使用していってより楽に探索ができるようになればいいしな……っと」
スキルスクロールを手に取り、覚えると念じると、文字がスキルスクロールから離れて俺の中へ吸い込まれていく。これで威圧が使えるようになった……らしい。
「試しに使ってみるね」
そう断ってから、アカネと彩花に向かって【威圧】を試みる。
「お、なんか来たわよ。圧迫感みたいな感覚。ちょっと動きづらくなったわね。これが威圧ってことかしら」
「私にも来たわ。神様相手でも効果があるなんて中々面白いスキルね」
アカネにも効果はあるらしいが、実際に威圧の負荷はかかるものの、二人とも威圧でどうにかされるというほどではないらしい。
「これはどのぐらいのモンスターにまで効果があるのか調べておかないとな。もし重ねて効果があるなら、オークチーフの周回で威圧が出るかもしれない……っと、オークチーフも確かにドロップするみたいだ。だからこれも重ねてどのぐらいのモンスターに効果があるのかを一枚ずつ調べていくのも面白いな」
ネットのサイトで情報を調べて、一番弱い威圧をドロップするモンスターがオークチーフであることを確認する。ボス戦だし三十分に一回湧き直すことも考えると、一日で遭遇できる回数も計算に入れておけば……それなりに回数を重ねて戦うことは出来るな。残りの時間はオークと戯れていれば食費も稼げてよりお得だな。
「今食費のこと考えてるでしょ。オークチーフ倒して、いない暇の内にオーク倒してオーク肉稼げるとか」
「さすがだな。よくわかってる」
「確かにここで周回するならそれが一番高効率よね。でもいいの? 【精力絶倫】ばっかり出るかもしれないわよ? 」
「それは……困るな……でも、金が必要な緊急時ができたらちょうどいいかもしれないな。実際に溜まるまで待ってみないとわからないからそれは皮算用だと思っておこう」
よりによって【精力絶倫】ばかりを引き当てるという可能性はあるかないかと言われればなくはない。だが、オークチーフもそこまで偏ったものばかりくれたりはしないだろう。
「さて……遅くなる前に私は帰るわね。今日は楽しかったわ。これで夏休みの目標も完全到達ね」
「そうだな。さて、夏休みが終わったら本格的に受験シーズンだ。ダンジョンに潜る回数も少なくなるかもしれないが、とりあえず十層まではたどり着けたのと、ボスは二人でもなんとかなった、という結果を出すことはできた。ここまでは順調ってことだな。後は気分とお金が欲しくなった時、それとストレス解消したいときに専用ダンジョンに潜るような感じで……ここまで来たら十層より先も作ってほしくなってきたな。だんだん楽しくなってきた」
「あら、じゃあ私ももう少し力を入れないといけないってことかしら? 十層までとりあえず作ったからしばらくは出番がないのかと思ってたわ」
アカネが茶々を入れる。アカネ的には十層まで出来ていれば後は駅前ダンジョンで何でも都合できると考えていたらしい。
「そうだな、もう少し付き合ってもらおうかな。アカネが成長しきるぐらいまでは頑張って神力が稼げるように頑張ってみるよ」
「私も協力するわ。何をすればいいかわからないけど、ダンジョン活動と美味しいご飯をお供えすればいいのよね? 」
「まあ、大まかには間違ってないわ。後はそうね……幹也と精々イチャイチャして、恋人としての深まりを求めてくれると私としては満足ね。幹也が満足して、結城さんが満足していればその分だけ神力が放たれて私の栄養分になるもの」
「なるほど……こういう感じで? 」
彩花が俺の腕を取り、胸に押し付ける。まだ薄着の彩花の柔らかい胸の感触が腕に当たり、そこから神経伝達物質を通して股間へのダイレクトなメッセージが届く。柔らかい! 気持ちいい! もっと! と言いたいところをグッとこらえて平静を装う。
「……そんな感じね。今幹也の頭の中を覗いたけど、ドピンクだったわ。もうエロエロ過ぎて言葉にするのももどかしいような桃色空間だったわ」
「そこまで言われるほどじゃないだろ。男子高校生としては一般的な範囲のはずだ」
「私としてはそう思ってくれるのは嬉しいところなのだけれどね。ちゃんと彼女としてみてくれてるし、私で興奮してくれているってことなんでしょう? それは素晴らしいことだわ」
「あー……そこまでにしてくれるとありがたい。それ以上だと口をふさぎたくなる」
「別に塞いでくれてもいいのよ? 全力で……んぅ……」
そのまま喋りを止めてくれ無さそうだったので、唇で無理やり言葉を塞ぐ。青い光がどんどん俺と彩花の体から放たれ、アカネに吸い取られていく。つまり、そういうことらしい。
「若いっていいわね……」
なんかおばさんじみたことを言っているアカネだが、まあ年齢的にはそういうことになるのか。ともかく、夏休みの勉強以外の部分についてはこれで充分だろう。
あとは、模試の結果とライバルがどのぐらいの学力を示しているか。それらの情報の集積と、そこに向けての勉強、それから更なる模試への挑戦も含めて、もうしばらく頑張らないとな。
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