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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第2章

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72.トモコー・ドゥ・ギャランドゥ


「みーちゃん危ないッ!! 暗黒騎士がみーちゃんを狙ってる!!」


突然トモコに腕を引っ張られて、顔からベッドへとダイブしてしまった。思ったより布団がふかふか過ぎる上、腕を掴まれ引っ張られているので起き上がれない。

いかん。このままでは窒息してしまう。


「者共っであえであえーぃ!! 曲者じゃあ!!!」


あろうことかこのバカは大声でそう叫び、小声で


「みーちゃんっ 暗黒騎士か怯んでいるうちに逃げて!」


と腕を掴んだまま言ってくる。

お前、逃がす気さらさらねぇだろ。


「……おい」


戸惑ったようにロードが声をかけてきたが、トモコはそれに「ぎゃーーーっ」と叫び、


「やっぱり私も連れて逃げてェェェ!!!」


と覆い被さってきた。

死ぬ!! こちとら未だに顔が布団に埋もれたままなんだぞ!!

むーっ むーっ と必死になってジタバタするが、トモコも必死になって抱きついてくるので身動きがとれない。


「ミヤビっ」


緊急事態にロードが気付いたみたいだが、


「ミヤビって言ったァァァ!? 暗黒騎士がミヤビってェェ!! なんぞ雅なものがありましたかえーーー!!」


どれだけ暗黒騎士に怯えているのか、パニックになっているトモコに、ロードがドン引きしているのか中々助けてもらえない。


と、布団からやっと身体が離れ、一気に新鮮な空気を吸い込んで若干むせる。


「大丈夫か?」


どうやらロードに抱き上げられたらしい。


トモコは「あ~れ~」と言いながらベッドの上をコロコロと転がっている。

それを半目で見てしまうのは仕方がないだろう。


「ミヤビ、ありゃあもしかして……オメェが言ってた親友か?」

「ハイッ そうであります!! 我こそが、みーちゃんの親友、いや、心の友と書いて心友(・・)!!! “井ノ上 (イノウエ) 知子(トモコ)”であります!!!」


ロードの問いに何故かビシッと敬礼して答えたトモコに、嬉しいんだか恥ずかしいんだか分からなくなった。



◇◇◇



「━━…という事があって今に至るんだけど…」


トモコに今まで何があったのか、2年前に遡り全てを伝えた。

自分がずっとトモコに裏切られたと思い込み、酷い事を思ってしまっていたという事も包み隠さずだ。


心友とまで言ってくれた彼女から責められ、今度こそ本当に縁を切られてしまっても仕方のない事をしたんだと覚悟して。


「成る程、つまりここは異世界……。みーちゃん、1つ大問題があるんだけど」


トモコがひどく真剣な顔をして私を見据えたので息を飲む。

覚悟したとはいえ、緊張するものだ。


「……私は果たして転生したのかトリップしたのか、どっちだと思う?」

「「はぁ?」」


トモコの思わぬ言葉に私とロードの声が重なった。


「やっぱり死んだから転生? けど大人の姿だよね? やっぱりトリップかなぁ? みーちゃんは周りから“生まれた”って言われたんだから転生でしょ? 私は身体を“再構築”されたわけだから……何??」


いや、ソコォォォ!? もっと引っ掛かる所別にあるよね!? どうでもいいにも程があるわ!!!


「生まれ変わったって事でいいんじゃねぇか? 新しい身体を人族の神に創ってもらったみてぇだし」


と真面目に返答したロードにギョッとする。

え? 転生かトリップか、今までの話の中で一番どうでもよくないか? これ私が間違ってんの??


「成る程! となると、名前も一新すべきかなぁ? 異世界仕様で、トゥモコ~・ドゥ・レトリバー的な?」


どこの新種の犬だ。


「“レトリバー”つったら、くっせぇ事で有名な果物の名だぜぇ。やめとけ、やめとけ」


またしても真面目に答えるロード。しかしこの世界、癖のあるものばっかりだな。マカロンしかりショコラしかり。さらにレトリバーまで…。


「えっ ウソッ ドリアンみたいな!? それは嫌だなぁ…じゃあ、トゥモコ~・ドゥ・ギャランドゥ!」

「お前が本当にそれでいいならな。トゥモコー・ドゥ・ギャランドゥよ」


半目でそう言えば全力で謝られた。


「で、トゥモコー「だからごめんなさいってェェ!! 普段通り呼んでくださいお願いしますぅぅ!!」…トモコ」


普段通り呼べば、ホッとした表情で私を見たので話を戻す。


「…心友とまで言ってくれたトモコに、私は本当に酷い仕打ちをした。トモコが望むなら、ボコボコにするなり、え…縁を、切るなり、して…くれて構わない、から…っ」


途中から息が詰まり、トモコの顔が見られずに俯いてしまった。


「…みーちゃんは……私と縁を切りたいの?」

「っそんなわけない……ッ」


少しトーンの低くなった声でそう言われ、ガバッと顔を上げると、トモコはチワワのように目に涙を溜めて、唇を噛んでいた。


「ッ私は、私が……っ みーちゃんにそう思わせるように仕向けたんだから! みーちゃんは何も悪くない!! だから……みーちゃんが大好きだからッ 縁を切るなんて言わないでよぉ~」


泣き出した親友…心友を抱き締める。


「ごめん。助けてあげられなかった…っ 気付いてあげられなかった……っ ごめんねッ」

「う゛うん…っ う゛うん゛っぐ、ごっち、こそ…っ ごめんねぇ゛」

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