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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第2章

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44.堂々と覗き宣言!


『奴め…っ 分身を寄越していたのか…っっ』

「分身?」


ヴェリウスの言葉に引っ掛かり問えば、苦々しい表情で答えてくれた。


分身とは読んで字のごとくで、神力で形作られた身体は力を等分にする事で分身が出来るそうだ。


今回のように、危険のある場所へ赴く時に使われ、安全地帯に等分した身体を残す事で他の分身体に何かあったとしても、身を守れる技(?)らしい。

力はその分削られるが、リスクが大幅に軽減される。


勿論力を等分した事で弱くなるというデメリットはあるが、力の強い精霊ならば分身を活用する事はあるらしい。

力を等分するので全てが本体であり分身体でもある為、神族でも分身を使っているのかわからないそうだ。

その為今回逃げられるという失態に至ったとか。


「あの精霊は何で動けたの?」

『恐らく、拘束されていない分身の神力を動ける程度に吸収したのでしょう。

さらに核には最初から自身の神力を馴染ませていた、と…そうして安全地帯にいる分身に吸収させこの場から消えたのです』


まさか精霊ごときに出し抜かれるとは!! と悔しそうに地団駄を踏むヴェリウスをショコラが慰めている。


「ミヤビ、あの男は一体何だったんだ? 大体、ここは西の山なのか? マカロンの背に乗ってたはずが突然ここに来ちまってよく分かってねぇんだが…」

「あー…突然呼んでごめんね」


ロードに謝り何があったかざっと説明すると、見る間に眉間にシワがより、ゴリラから鬼に変わっていく。


「オメェはどうしてそう危険に首を突っ込むんだ…っ」


ロードは苦しそうな表情をして私を抱き締める。そんな彼を見ると胸が苦しく…うぇぇぇい!!

違う違う!! 何言っちゃってんのぉ!? 流されるな私!!

じゃなくて、今はあの精霊の事!!


「ヴェリウス! 幻獣の核を奪われたらどうなるの!?」


ぐぐっと分厚い胸板を押して話をそらすように叫べば、絶対離さないぞと言わんばかりに抱き潰される。


『…幻獣は私の眷属。眷属とは神の力の一部を具現化したものなのですが、“氷狐”…幻獣は、その中でも最高位のもの。

ソレの核を奪われたという事はすなわち、私の力の一部を奪われたと同義。

しかもあやつはドラゴンの核をも奪ったと言っておりました。ドラゴンは竜神の眷属ですから……』

「もしかしてドラゴンは竜神の最高位の眷属?」

『…その通りです』


成る程、て事は奴…複数居るような事を言っていたから奴らか、は神の力を狙っていると考えていいかもしれない。


「ねぇヴェリウス。さっきの精霊が言ってた“神王様”の事だけど…」

『有り得ません。神王様はミヤビ様御一人。神族である私にはミヤビ様の無尽蔵なお力が見えております!』

「あー…うん。神王様が別に居ても構わないんだけど『ミヤビ様!!』スミマセン…」


ヴェリーちゃんに怒られたけど、私が言いたいのはそんな事じゃないんだよね。


「あのね、例えば私と同じ力を持ってる人が居たとして、そんな人が神の力を狙ったりするかなぁって…」

「ああ、確かにミヤビの力はでたらめだからなぁ」


ロードの言う通り、私の力はでたらめだ。やろうと思えば世界征服だろうが何だろうが出来るだろう。

例えば今この場に今回の黒幕を連れてくる事も願うだけで叶うだろうし、核もすぐに取り戻せるのだ。


「だからね、精霊が“神王様”と呼んでいる人は、私と同じ力は持ってないんだと思う」

《やっぱり偽者は奴らの方という事ですね!!》


大きな顔を近付けて嬉しそうな声を上げるショコラに微笑みかけると、尻尾をブンブン振って土埃を巻き上げた。


「偽者か本物かはこの際置いといて、私はあの人達の目的を知りたいんだよね」

『ミヤビ様はこのまま泳がせるべきだとおっしゃりたいのですね』

「まぁ…うん。そうだね」


頷くと、ヴェリウスは暫し逡巡し顔を上げた。


『分かりました…しかし、奴らの行動が把握出来ねばこちらもうって出ることができません。その辺りのお考えを聞かせていただいてもよろしいでしょうか?』


そうなんだよね。まさか直接黒幕に聞くわけにもいかないし…もしも私の能力に対抗する力を持っていた場合、皆を危険に晒すことになりかねない。


「う~ん……あっじゃあ、覗き見ちゃおうか?」

『は…? と、いうと…?』

「だからね、例えばこう…さっきの精霊男の目から見えるものを立体映像としてここに映し出しちゃうの。こんな感じで」


何を言われたのか分からないという風にぽかーんとしているヴェリウスの前に、精霊男の目から見た立体映像を映し出す。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【幻獣相手に随分と時間をかけたなぁ。“ガット”】


立体映像として現れたのはルビーのような赤い色合いの髪と目をした男だった。どうやら精霊男に話し掛けているようだ。


【ふんっ思わぬ邪魔が入った。お前こそ2人で行動した割に時間かかかったようだが、ドラゴンはそんなに苦戦する相手だったか? “ラーヴァ”】


“ガット”と呼ばれた精霊男は“ラーヴァ”と呼んだルビーの男をからかうように鼻で笑うと移動しだした。


【チッ 探索にたけているはずの“グリシナ”が全然役にたたなくてよぉ。ドラゴンはなかなか見つからねぇし、出てくんのはワームばっかりだしで参ったぜぇ】


“ガット”に並列して歩き出す“ラーヴァ”は唇を尖らせ、両腕を頭の後ろに組んでブツブツ言っている。


【ほぅ…あの“グリシナ”でも見つけるのに時間がかかったか】

【あいつ本当に探索力ずば抜けてんの? 間違いじゃね?】


等と話す様は友人同士のようで、内容は別として何だか男子高校生の帰宅中の様子を見ているようで微笑ましかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『ミヤビ様、これは…っ』


驚愕しているヴェリウスに、さっきの精霊の目から見た今現在の様子だと伝えると、まじまじと見据えるので可笑しくなってくる。

しかし、ロードはますます眉間のシワが増え、形相が直視出来ない程恐ろしくなっているのでそんな可笑しさも吹き飛んだ。


「ロードさん…どうしてそんな怖い顔になってるのかなぁ~…」

「オメェが他の男を見てるのが気にくわねぇ」


即答された。


「いや、これは敵地に探りを入れてるわけであって、別にイケメンウォッチをしているわけじゃないから」

「…オメェはこういう女みてぇな優男が好きなのか?」

「はぁ?」

「俺みてぇなむさいオッサンより、若くて綺麗な男の方が良いのか?」


拗ねてるーー!!!? このオッサン完全に拗ねちゃったよ!!

しかもデートしているカップルの男が彼女以外の女に見惚れちゃって、彼女に問い詰められてる時の、彼女側のセリフ言っちゃってるんですけどォォォ!!?


「違うって!! 確かに覗きだけど、これはヴェリウスが敵の行動を把握しときたいっていうから! 大体こういう中性的な男より、男らしい人が良い…って何言わすんだコラァー!!」

「そりゃ、俺が好きって事で良いのか?」

「す!? はぁ!? ば、何言ってんだコノヤローっ ゴリ、好き!? ウェェァァ!!!?」


《主様の言葉が聞き取れません。ショコラは耳がおかしくなったのでしょうか?? 主様ぁショコラの耳を診て下さい~》


ショコたんーーー!!


やっぱりショコたんは空気クラッシャー!!

良い仕事、してますね!!!

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