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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第2章

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34/303

34.異世界あるある“名付け”をしてみよう!


ドラゴンの土下座って初めてみたんだけど。

土下座ってやろうと思えばドラゴンでも出来るんだな…。


『ふむ…何でもすると』


ヴェリウスが悪い顔をしてつぶやいているが、一体変態ドラゴンに何をさせる気なのか…。

大体、この変態ドラゴンは何故毎回夜にやってくるのだろうか。


パジャマのまま外に出る羽目になった私は溜め息を吐き、引きつった顔をしているであろう箱入りドラゴンを見た。

パトロールが仕事でさらに同族という事もあり、結局変態ドラゴンの担当のようになってしまった為か項垂れている。


『ミヤビ様、ならばこやつを人族の(ロード)の“契約竜”にしてはいかがでしょうか』

「は? “契約竜”?」


何ですかそれは?

というかいつものごとく抱き上げられているんだが、パジャマだから生地が薄くて…このゴリラ(ロード)、話をそっちのけで鼻の下を伸ばしてやがる。


『昔はドラゴンを従え、乗り物として利用する人間をよく見たものです』


いや、乗り物って…。

ドラゴンって人間に使役される程弱いの? それとも昔の人間が強いとか?

人族最強説が私の中では出来上がりつつあるけども。


『あ、いえ。ミヤビ様の思われているようなものではなく、ドラゴンにとっては雇用主と従業員とでも言いましょうか……乗り物として仕事をするのと引き換えに、雇用主から給料という名の魔力を貰う関係なのです』


仕事…何だかだんだん無職な私の肩身が狭くなってくる。

ドラゴンでも仕事してるんだ…。


「魔力と引き換えっつっても、俺にゃそんな魔力ねぇだろ」


私のお腹から腰を撫でながら話すエロオヤジの手をバシバシ叩くが何食わぬ顔をして話に入ってくる。


『ふんっ神王様のそばに侍っておるのだ。人族の中では十分な魔力をすでに持っておるわ。それに、人の持つ魔力は珍味のようなもの。ドラゴン程度なら少量でも満足する』

「俺が魔力ねぇ…」


ロードにはどうやら自覚が無いようだ。

私にも魔力…ではなく神力を垂れ流している自覚はないのだから、目に見えないものを自覚出来なくてもおかしくはないだろう。


「という事は、魔素が馴染むと魔力が増えるの?」

『そうですね。魔素とは魔力の素ですので。通常は個々の“魔力の器”がいっぱいになれば、それ以上魔力が増える事もないのですが、どうやらミヤビ様のおそばにいると器そのものが大きくなるようです』


成る程。ロードは魔力の器が拡がっていってるのか。

それで“契約竜”って事なんだね。


「ちなみにドラゴンとの契約ってどんな事をするの?」

「そういやぁそうだな」


ロードも興味があるのかヴェリウスを見た。


『簡単なものですよ。魔力を譲渡して名前を付けるだけですから』


おお!!異世界あるあるきました!!

“名付け”ってやつだね。


「いや、魔力を譲渡って……どうやってだよ」

『ドラゴンの身体の一部に触れれば、相手が勝手に吸収してくれる。勿論名前を付けた時点で、その人間の一定の魔力しか奪えないようになっているので安心するがいい』


ほぉ、何だか都合の良いようになってるんだね。


『まぁ例え魔力が無くなる位奪われても死にはせん。世界に魔素が満ちている限りな』




《あの…皆さん僕を無視して話されてますけど、そこの人間と契約するドラゴンって僕の事ですよね…?》


頭上から降ってくる声にヴェリウスがフンッと鼻を鳴らす。


変態ドラゴンはその反応にますます不安になったのか、オロオロして箱入りドラゴンにすがるような目を向けた。

勿論箱入りドラゴンはブリザードのような冷たい目で睨んだが、《その目が僕に快感を与える~》と悶え始めたので三歩程後退して目をそらしたのだ。


『よし、ではさっそく契約を結ぶ。貴様はミヤビ様を下ろしてアレのそばへ行け』

「おい、ふざけんなよ」


ヴェリウスの言葉にロードが戸惑いの声を上げる。

そうだね。かなり唐突だよヴェリーちゃん。

お互いに突然言われたから心の準備が出来てないだろうし、ロードにいたってはまだ名前も決めてないと思うよ。


「ミヤビは離さないまま奴のそばに行く」


ええぇぇぇ!!? そっち!? 契約に戸惑いは無いと!?


「ミヤビ、乗り物が出来るから今度2人っきりで遠出しようぜっ」


ドラゴンを車扱いしてるぅぅ!!!


『2人きりになどさせん。私も空の散歩について行くからな』


こっちもドライブに行く気満々だったァァ!!

何て酷い奴らなんだ。コイツらドラゴンを新車か何かと勘違いしてないか!?


「名前は適当でいいよなぁ」

『名前を付ける事に意味があるからな。適当で構わないだろう』


せめて名前だけは真剣に考えてやれよ。


ロードとヴェリウスの会話に、変態ドラゴンが不憫になってきてそちらを見れば、箱入りドラゴンの尻尾にぶたれて興奮している場面が目に入り、どっちもどっちだと半眼になったのだ。

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