表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

190/303

188.冒険一日目終了


「出た…!!」


拳大の炎をその手の中に出したアフィラートさんは、嬉しそうに私に見せて、眩しい程の笑顔で言った。


イメージを書き出したかいがあり、余分な魔力も消費していないようなので上出来である。


「出ましたねぇ」

「ああ! ……おい、ここからどうすりゃいいんだ」

「とりあえず投げつけてみます?」

「何に投げつけんだよ」

「「……」」


出た後どうするか何も考えていなかった。

獲物も出てくる気配はないし、どうすべきか。


「てかこれ、攻撃魔法ってより生活魔法の火を大きくしただけじゃねぇか」

「それはアフィラートさんのイメージの問題なので私のせいじゃありませんよ。噴射するイメージなりなんなりが足りなかっただけです」

「「……」」


二人の間に沈黙が続く。


「なぁアフィラート。その炎熱くねぇの?」


下から聞こえるベンジャミンの間の抜けた声に空気が緩んだ。どうやらずっと手の平の上で燃えているので気になったようだ。


「俺は特に熱くねぇよ」


はぁ、と溜め息を吐いていちいち返事をしてあげているアフィラートさんは意外と人が良いようだ。


「自分の魔力で出来た炎ですからね」



結局この後、出した炎を地面にぶつけて消したが、炎を投げつけるだけでも炎が派手に音をたてて燃え上がった為、アフィラートさんは存外満足気だった。



◇◇◇



もうすぐ日が沈む。そんな時分、森の中でも少し開けた所におっさん達は野営の準備と称してその辺に落ちている木の枝を支えに布を拡げて幕を張りだした。

そのそばに小枝を集めて火を灯し、その上に足付きの焼網を被せて側面が黒く焦げてしまっているケトルと鍋を置く。

日が沈むまでには準備しておきたいのだとか。


火は先程魔法を教えたアフィラートさんが勿論魔法で灯したものだ。

また書き出してから魔法を使わせたので魔力消費も抑えられていると思う。

慣れてきたら書き出す必要はなくなるが、イメージトレーニングをやり始めたばかりなので当分は書き出してから魔法を使うというのを繰り返す事になるだろうと、ノートとペンを幾つか渡しておいた。


とはいえ、状態保存魔法を何度も使用した為か魔力量の消費が酷く、今は倒れるように眠っている。


「アフィラートの奴は使い物になんねぇから、今日は俺が飯を作るぜぇ」


とヒューズさんが鍋にお湯をいれてそこへ干し肉と干し芋を投入し、ケトルを一旦焼網から退けると小さなフライパンのような形の物を置いて今日狩った鹿肉を焼き始めた。味付けもせずに。


「ヒューズさん、下味は?」

「シタアジ? 何だそれ」


ヒューズさんだけでなく、他のおっさん達も首を傾げている。

そういえばこの世界、飯マズな世界だったと思い出した。


「いや、何でもないデス…あ、そろそろ私も家に帰ります。明日は何時位に出発ですか?」

「何時っつってもなぁ…いつもは夜明けと同時に起きて、飯食って支度して、そんで出発だからよぉ」


そういえばこの世界、まだ時計は存在していないのだった。

時を刻む鐘が王都では一時間ごとに鳴る位で。

それも日が沈んで2時間程で鳴らなくなる。何とも不便だ。

とはいえ、日が沈めば王都の商店は店じまいするし、その時間から開く店は夜明け前まで営業するので、王都の人からしてみれば不便はないのかもしれない。


「分かりました。まぁその頃に来ます」

「おぅ。今日はありがとうよ。アフィラートの奴も嬢ちゃんから魔法を学べて喜んでると思うし、俺らも今回の依頼が終わったら魔法の訓練してみるわ」


そうお礼を述べるヒューズさんに続いて、オーズさんやベンジャミンからも野営の準備をしながらだが「ありがとう」と言われ、照れくさかったがどういたしましてと返してその日は別れたのだ。



サンショー兄さんの背に揺られながらウチへ帰って来た頃には日が沈んでおり、トモコにどこに行ってたの? と出迎えられた。

ロードがまだ帰っていない事にホッとしながらもティラー姉さんとサンショー兄さんにお礼を言って別れる。


「お腹すいたね~」等とトモコと会話しながら家に入れば丁度ロードが帰ってきて玄関で鉢合わせしてしまった。


「ミヤビ~帰ったぜぇ。迎えに出てくれたのか?」


と嬉しそうに抱きついてきたので、私も外から帰ってきたばかりだと言えば「ぁ゛あ゛?」と凄まれる。何故だ。


「珍獣達と森を散歩してきたんだよ。森の奥に行った事なかったし。冒険してきたの」


ヘラヘラ笑って言えば、ロードは安心したような表情で「そうかよ」と微笑んだ。

トモコは「何で私も連れてってくれなかったの!?」と訴えてくるが、最近忙しそうにしているトモコを誘う事が出来なかったのだと伝えれば渋々引き下がった。

何でもここ100年で新しく神になった者が数人(神)いるらしく、新神研修とやらがランタンさん主導のもと開かれているらしい。


「明日も朝イチから冒険に行ってくるね!」


正直に言えばロードは顔をしかめたものの、珍獣達と神域内を見て回るだけだと理解してくれたので特に文句は言われなかった。



翌朝、ロードが朝御飯を準備し終わった所に私が起きて来た為(←いつもは昼前まで寝ている)随分驚いていたが、お弁当を持たせてくれたので母親か! とツッコんで出発したのだ。

ロードが出勤するのと同時刻であった。

彼は私がティラー姉さん、サンショー兄さんと出発するのを見送ってから仕事場へと行ったようだ。心配性である。




そして現在、昼過ぎ━━…


「いやいやいや、ヤコウ鳥って確か全長1メートル位のもんだろ!?」

「何だよあのデカさ!!」

「聞いてねぇぞっ」

「とはいえ、ここまで来たらやるしかないだろう」



ヤコウ鳥のあまりの大きさにおっさん達がパニックに陥っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ