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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第4章

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184.干し肉とジャーキーは別物だ!!


森の奥。進めども進めども変わらない景色にあくびがでる。


「嬢ちゃん、一旦ここで止まってもらっていいか?」


飽きてきた私の心境に気付いたのだろうか、オーズさんが森の拓けた場所に差し掛かった時に止まれと言うので、サンショー兄さんとティラー姉さんにその旨を伝えた。


ピタリと止まった二人にお礼を言い下を見れば、おっさん達はお昼ご飯の準備に入っているではないか。

そこで自分のお腹が鳴った事に気付く。


「そういえばお昼ご飯の時間を1時間も過ぎてる!!」


時計を見てぎょっとした。

私の至福タイムを忘れていたとはとんだ失態だ。


「オーズさーん、皆さんのお昼ご飯ってどんなものなんですか?」

「ん? 干し肉と干し芋だが?」


干し肉と干し芋ォォ!? 冒険者定番メニューではないか!!


「美味くはねぇけど、これが一番荷物にならねぇし手っ取り早いんだよ」


と言うのはベンジャミン。そのベンジャミンを睨み付けて「美味くねぇは余計だろ。てめぇだけ飯抜きにすんぞ」と脅すのは料理担当のアフィラートさんだ。

きっと干し肉や干し芋もアフィラートさんが作ったのだろう。

ベンジャミンは「悪かったよ~」とばつが悪そうに謝って干し肉を齧っていた。


「嬢ちゃんも降りてきて食わねぇか?」


とのオーズさんの誘いに、冒険者の干し肉とやらに興味のあった私はサンショー兄さんの背中から飛び降りておっさん達の所へ走り寄ったのだ。


「私もお弁当持ってきてるので皆で分け合って食べませんか!! あ、ティラー姉さんとサンショー兄さんも一緒に食べよー!!」


珍獣達も呼べばおっさん達はぎょっとして私と珍獣達を交互に見た。


「“主様”のお弁当、勿論いただきます」

「俺もいただきます!!」


ボンッキュッボンの美女とマッチョイケメン大工に変化したティラー姉さんとサンショー兄さんが嬉しそうにやってくる。

いつもは神王様と呼んでくるが、おっさん達がいる手前か“主様”と呼び出したティラー姉さんはさすがだ。


「な、な、な…っ」


ヒューズさんが珍獣達を指差して“な”を連呼する。

他のおっさん達も目を見開いて呆然としているし、ベンジャミンに至っては「ぎゃあぁぁぁ!!!?」と叫び声をあげている。


それを横目に「今日のお弁当はなんだろな~」と、ロードが作ってくれたお弁当を珍獣達の分もいくつかコピーしてバッグから取り出した。


「…おい、どう考えてもんな小っせぇバッグにゃ入らねぇ容量のモンが出て来たぞ」


どうやらアフィラートさんが見ていたようで、とりあえずサムズアップしておく。「いや、どういう意味だよ」と呟かれたが、お弁当を開く事に夢中だった私には聞こえていなかった。




おにぎりと唐揚げ、玉子焼に椎茸のマヨチーズ焼き! サラダはポテトサラダと私の好きなものばかりだ。さすがロード。良い仕事してますね~!!


「これはロード様の手作り弁当ですね」


美味しそうだとヘラリと笑うサンショー兄さんにティラー姉さんの鉄槌が下った。右ストレート。

左頬に見事に決まった拳は、未だメリメリと音をたてている。


「てぃ、てぃらー姉さん…」


もしかして、サンショー兄さんがロードの名前を出しちゃったからかな……?


「失礼しました。このバカの左頬に小虫がいたものでつい」


極上美女のアルカイックスマイルにベンジャミンは頬を染め、目付きの悪いアフィラートさんですら少し顔がゆるんだのだ。

ヒューズさんは人族だけあってつがい以外には何も感じないようだが、ティラー姉さんの恐ろしい行動に顔を盛大に引きつらせている。

オーズさんは一見獣人だが、人族の混血という事で理性が働いているのか表情は崩れない。


「主様、私共にまでお弁当をありがとうございます」


深々と頭を下げて、嬉しそうにお弁当を掲げるティラー姉さんに、サンショー兄さんが頬を押さえて涙目で非難している。


「嬢ちゃん、その弁当豪華だな。見たことねぇもんが色々入ってやがる。その茶色いの、うまそうな匂いだ」


さすが美味しい物好きのオーズさん。お弁当に目を輝かせている。


「いやいや、どっからこの量の弁当取り出したんだよ!? 弁当箱自体は小せぇが、10個も…っ」


細かい所にツッコんでくるヒューズさんに、だからハゲたのだろうかと失礼な事を考えつつコピーしたお弁当箱の蓋を開けていく。

オーズさんは素直に「貰ってもいいか?」と目尻を赤く染めて伺ってくるので頷いておいた。

それを見てベンジャミンとアフィラートさんも欲しがったのでどうぞ、とお弁当箱を各自に渡せば、ヒューズさんも眉を八の字にしてお弁当を見るので黙って差し出したのだ。すると、「嬢ちゃん…っ」と感涙するので笑ってしまった。


そんなわけでおっさん達は私のマジックバッグの事も忘れてお弁当に舌鼓を打っているわけだが、目の前でおっさん達が涙を流して感動している光景って怖い…。



「うっっっんめぇーーー!!!!!」

「んっだこりゃ!? 美味すぎる!!!」

「ッ~~~ッッ」

「…この揚げた肉…複雑な味と肉汁が絡まり絶妙のハーモニーを奏でている…ッ こんな美味い物は今まで食った事がない!!!!!」


オーズさん…コメントが…後カッと見開いた目が怖いです。


私は冒険者の定番干し肉を頂いてみましたが、これがクソ不味い!! ジャーキー的な感覚で食べたらダメよ!! これ肉を乾燥させただけの味付け何にもしてない物だから!! こっちは不味過ぎて泣けてきたわッ

臭っ 口の中が生臭!!

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