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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第4章

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172.契約成立


「許可……」

「そうだ。ルマンド王国の一部の者のみヤコウ鳥を狩る許可だ」


ルーベンスさんの提案に耳を傾ける。


「狩る許可?」

「まさか神がヤコウ鳥を狩って売るなどできまい。神のイメージが地に落ちる」

「それ私が今やってる事なんですけど」

「地に落ちる」

「スイマセン」


どうやらルーベンスさんの神へのイメージが地に落ちたらしい。


「ヤコウ鳥を狩る事が出来るのは、ルマンド王国に所属する冒険者で、さらに神域の結界を越えられる者のみという事にすれば表だって君も利益を得る事が出来る。さらに狩った物は全て国が買い取る事にすればおかしなやからに狙われる事もない。もし仮に、そのルールを破れば二度と神域に入れなくする事など容易いのだろう?」


君の事だ。と目で問い掛けてくるルーベンスさんに頷く。


「動物は狩らねばどんどん繁殖する。特に強者のそれは生態系を壊す事にもなりかねん。ある程度の調整は必要なのではないかね。

神々はそれを思って神域とはいえ、立ち入りまでは禁止していないと私は理解しているのだが?」


その証拠に、バイリン国では神域に入って狩りをする者がいるが神罰を受けたという話は聞いた事がない。とルーベンスさんは言う。

そう言われれば、バイリン国はジュリアス君とランタンさんの神域があるから食料問題が隣国よりもマシだって聞いたような…。


「私は何度も陛下に進言したが、陛下は神罰を恐れて聞き入れてはくれなかった」


深淵の森で動植物を狩って生計をたてている者も居たというのに。とルーベンスさんは眉間にシワを寄せる。


「私の見解が誤っているのならば今の話は忘れてもらって構わない」


と私を見据えるルーベンスさんは宰相の顔をしていた。


「あの、私は新参者なのでその辺りの事は分からないのですが、その筋の先輩に話を聞いてもいいでしょうか」

「どういう事かね?」


ルーベンスさんが困惑しているが、構わず転移扉を創り開いた。





「あらぁ~ん!? ミヤビ様ぁ~どうしたんですの急にぃ~」


いや~ん。と言って身体をくねくねさせる人物の胸にはしっかり水風船が二つぶら下がっていた。


「突然ごめんなさい。ランタンさん、ちょっと聞きたい事があるんですけどいいですか?」


そう。最古神、竜神のランタンさんである。

彼女(?)なら間違いないだろうと呼び出せば、嬉しそうに転移扉を潜って来たのだ。


「あらぁ? ミヤビ様の神域じゃないんですのね? ここはどこかしらぁ……っ まぁ良い男!!!! 若くはないけれどそこがまた渋くていいわ~!!」


マーメイドラインのドレスにすっかりハマってしまったらしいランタンさんは、今日もバッチリマーメイドラインのドレスで決め、狭く薄暗い取調室では浮きに浮きまくっている。

そして同じく浮いている宰相様は、ランタンさんににじり寄られて鳥肌をたてていた。


「っミヤビ殿、こちらは一体」


さすが好色王!! 一瞬でランタンさんの性別を見抜いたらしい。


「ミヤビ様ぁ、こちらの激渋の男性、紹介していただけませんか~?」


ウフンとルーベンスさんの胸を撫でるランタンさんに、じりじりと後退りしているルーベンスさん。しかし徐々に壁際へと追い詰められていく。


「ランタンさん、その激渋の男性はルマンド王国の宰相のルーベンスさん。ルーベンスさん、この人は、竜神サマです」

「竜神だと!?」


雑な紹介にルーベンスさんが固まる。

ランタンさんは相変わらずで、「ルーベンスって言うの。素敵なお名前ね~。ルー様って呼んじゃおうかしらぁ~ん」などとベタベタ身体を触っている。

最古神にニックネームとはいえ様付けされて顔を引きつらせているルーベンスさんが少し可哀想になってきた。


「ランタンさん、聞きたい事があるんですけど━━…」


ランタンさんに先程ルーベンスさんが語っていた事を話せば、ランタンさんはにっこり笑ってこう言った。


「ほとんどの神は結界に入って来られる人間ならおかしな事をしない限りは気にしていませんわぁ。だって人間は食事をしないと生きていけませんもの。動物を狩って食べる事は自然の摂理。動物同士もそうして生きておりますのに、禁止するなどおかしな事ですわ。一部の人間嫌いの神はそもそも神域に入れないようにしておりますし」


どうやらルーベンスさんの見解で間違ってはいなかったようだ。ならば問題ないだろう。


「そっか。ありがとうランタンさん。じゃあまたね」


話は終わったのでお帰り願う。


「ちょ、ミヤビ様!? アタクシたったこれだけの出番ですの!? 待って!! せめてルー様の裸を拝みた…」


転移扉を閉めて消した。


「あれが竜神……」


ルーベンスさんの神のイメージがまたしても地に落ちたようだ。


「という事で問題ないようですので許可します!! さっき騎士団に回収されたヤコウ鳥も買い取って下さい!!」

「……では一筆書いてもらおうか」


まるでドラマで見るヤクザのようなやり取りだなと思いながら頷き契約書類が出てくるように願う。

すると、何もなかった空間から机の上にヒラヒラと2枚の紙が落ちてきたのだ。

契約書類とその控えである。


「内容を確認した後ルーベンスさんと私の名前をここに記入します。契約成立後はお互いにこの書類を保管しておくようになります。万が一ここに記入してある事以外を書こうとしたり、契約に違反すればこの契約書は白紙となり、契約はなかった事になりますのでご注意ください」


と契約書の裏側に書いてある注意事項を読み上げる。

ルーベンスさんは頷き、書類の内容を確認してサインをしている。速読スキルがあるのかサインまでの行動が早い。

比べて私は普通の速度で確認しながらサインをし、互いの紙を交換して同内容か確認後サインをした。

すると二人のサインが光りだし、魔方陣のような紋様が浮かび上がったと思ったら、用紙が巻物のようにクルクルと巻かれ、魔方陣が封蝋のように貼り付いたのだ。


「…契約成立です」

「そのようだな。私は陛下へこの事を伝えに行くとしよう」


ルーベンスさんは巻かれた書類を持ち立ち上がると、それを懐に入れた。


「今回こちらが回収したヤコウ鳥だが、確認後相応の金額を用意しよう。一週間後に私の執務室へ取りに来るといい」


そう言って出口へと向かい扉を開けようとしてピタリと止まったルーベンスさんに首を傾げる。


「それと、もう二度と竜神様を私の前に呼ばないでくれたまえ」


彼はそう言い残し取調室を出たのだった。


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