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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第1章

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16.我が家のペットになりました

黒犬ヴェリウス曰く、私はどうやら異世界トリップではなく異世界転生したらしい。

死んだ記憶はないのだが、そうなるとここに来て2年…2歳児という事になる。


身体は2才、心は38才。果たしてその正体は……神様だよ!

じゃねぇよォォォ!?

何コレ? おかしいよね? 大体身体は24才設定だし。2才はないわ。2才は。どこぞのメガネかけた探偵でももうちょっと上だったよ?


『神王様、いかがなさいましたか?』


戸惑ったように首を傾げ、声をかけてくる黒犬の仕草は巨体のわりに可愛らしい。


「いや、生まれて2年って所にちょっと…それより、その神王様って呼び方変えていただけると嬉しいんですけど…」


神王様じゃないと思うし。


『申し訳ございません。神王様以外で何とお呼びしていいのか…』


垂れる尻尾と耳に我慢出来ず抱き付いてしまった。


「可愛すぎる!!」


巨体なので抱きつくと身体が毛に埋もれ、ふわふわのラグマットに倒れこんだかのように気持ち良い。

お風呂にも入ってなさそうなのに嫌な臭いもなく、太陽の匂いがして意外にも柔らかな毛が頬をくすぐった。もっと固めの毛を予想していたんだが。


「ふわふわ~」


久しぶりの感触にうっとりすれば、黒犬はくぅ~んと可愛らしい声を出した。


『し、神王様ぁ~』


困ったように叫んでいるが、お座りしたまま動かないように踏ん張っているのは私の為だろうか。なんと健気なワンちゃんなのだろう。


「神王様じゃなくて“雅”ね」

『ミヤビ様、ですか?』


バッサバッサと大きな尻尾が左右へ動く。

その度に土埃が上がり、黒い尻尾が白く汚れていっている。

どうやら喜んでいるらしいが、地面に尻尾をつけたまま動かすのはやめてもらいたい。こっちに土埃が飛んできてるから。


「ヴェリウスって呼んでもいいかな?」

『はい! 勿論ですっ ミ、ミヤビ様!!』


ヴェリウスが突然立ち上がったので、抱き付いていた私は尻餅をついてしまった。

あーびっくりした。


『ああっ ミヤビ様申し訳ございません!! つい嬉しくて立ち上がってしまいましたっ』


脇の下が持ち上がり、フワリと身体が浮き上がった。

自分の鼻を私の脇の下に入れて起き上がらせてくれたらしい。


3メートル位の巨体だと顔も大きいなぁ。と思いながらお礼を言って鼻を撫でた。


『ミヤビ様、お怪我はありませんか?』


心配そうに人の身体をスンスン嗅ぎながら怪我がないか見ているヴェリウスは、心配性な母犬のようだ。



母犬といえば、このワンちゃん家を飛び出したとか言ってたけど、親御さんは心配していないのだろうか?


「大丈夫。それよりヴェリウスは西の山から飛び出して来たって言ってたけど、親御さんが心配してるんじゃないの?」

『親、ですか? 私に親はおりませんが……強いて言えば、私の主様はミヤビ様ですから、ミヤビ様が私の親のようなものではないでしょうか』


え? 私がヴェリウスの親なの? 主っていったよね…つまり私は、ヴェリウスの飼い主って事?


『神獣である私は、最初の神王様に創られた存在ですので、人のように“親”はおりません。すでに最初の神王様もお隠れになられたので、新たな神王様であるミヤビ様が私の主様というわけです。神王様の下にお仕えする事が我ら神族の存在意義ですので、どうか私をお傍に置いて頂けませんか?』


昔の飼い主が亡くなったから、私に新しい飼い主になってほしいという事か…。

愛犬のクーが死んでから早2年。あの子の事は一生忘れないだろう。しかし、新しい子を迎えてもいいだろうか。やきもちやきだったクーは許してくれるだろうか…。


『ミヤビ様、私はこの世界に創られて数万年生きております。ですのでミヤビ様に色々とお伝えできる事もあるかと存じます!』


胸を張るヴェリウスは大変可愛らしい。

確かにこの世界の常識を知らない私には、常識を教えてくれる人が必要かもしれない。

いやいや、森から出ないならいらないか? しかしロードみたいな人がこれから来ないとも限らないし……。


『美味しい食べ物も存じ上げておりますよ』

「採用!!」


美味しい食べ物。何て魅力的な響きだろうか。

ロードが作ってくれたご飯も美味しかったが、何千年もこの世界で生きてる神様が言うのだから、相当美味しいに違いない。

話せるとはいえ、ワンちゃんだし、飼ってもいいよね。人間じゃないし。


『ありがとうございます! ミヤビ様のお役に立てるよう尽力致します!!』


ヴェリウスは尻尾をブンブン振って喜びを表現した。

それを見て、我が家に来てくれた新しいペットを大事にしようと心に決めたのだった。

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