表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/303

145.閑話


「ったくよぉ、こんな良いもんがあんなら早く出せよな」


湯気の立つお味噌汁をよそいながらそんな事を言うロードは、調味料畑から採ってきたばかりの赤味噌と白味噌を横目に見る。


「……今までも味噌は渡してたでしょ」

「もう調合済み(・・・・)の味噌はな」


そう。私が今までロードに渡していた調味料は既に調合済みのメーカーの合わせ味噌であった。

皆が好む完璧な配合で調合されているのだから良いだろうと思っていたのだが、どうやらロードは自身で白と赤の配合を決めたかったらしく、調味料畑を見せた時に一番熱心に実(?)を採り味を確めていたのが彼であったのだ。


そう。あの調味料が成る木だが、しばらく見ない内に進化を遂げ、白味噌、赤味噌が成るだけでなく、日本全国の様々な種類の米味噌が成るようになっていた。

因みに上の方が北。下に行くに従って南方面の味噌に変わっていき、真ん中から左右に赤味噌と白味噌で分かれているという訳のわからない仕様である。そして真ん中には合わせ味噌の実(?)が成る。もう恐怖すら感じる。

今の進化がそれなら、その内豆味噌や麦味噌なども登場しそうだ。


「おら、厳選した味噌を調合して作った豆腐の味噌汁だ」


ロードのオリジナル味噌で作られた味噌汁をドンッとダイニングテーブルに置かれたのですんすんと匂いを嗅ぐ。


「あ~…美味しそうな匂いがする」


ほかほかと香る幸せの匂いである。

つい「お母さんご飯も~」と口に出してしまいそうになった。


「今までより絶対ぇうめぇから食ってみろって」


隣にドスンッと座るロードに勧められていただきますと箸をとり、お味噌汁の入った漆塗りの汁椀を手に取る。

顔の前まで持ってくると、味噌とだしの香りが湯気と共に香ってきて最高だ。


汁を口に含めば、それはもうロードオリジナルブレンド味噌がだしとあいまって、いつもより深みを増した味が襲ってくるではないか。


「何これ。滅茶苦茶美味しい」


豆腐のみというシンプルなお味噌汁を具ごと一気に飲み干してロードを見れば、そうだろうそうだろうとニヤニヤしながら私を見ていた。


「酒を飲んだ後の一杯は最高だろう」


時刻は23時過ぎ。


皆が“蜜月中”だからと気を利かせて天空神殿へ行ってしまい、2人で寂しくお酒を飲んでいた後の事である。

テーブルの上にはビール(?)瓶が3本とワインの瓶が2本空の状態で転がっている。


とはいえ、私はコップ一杯程度付き合っただけで後はひたすらロードが飲んでいたのだが。


「異世界でお味噌汁作って飲ませてくれる人がいるなんて最高~っ」

「ククッ 重宝しろよ~」


笑いながら私を抱き寄せてすり寄ってくるロードはお酒臭い。


「調味料畑の味噌の木も醤油の木も怖いくらい進化してた」

「……ここはオメェの神域で、オメェの力に溢れてるからなぁ。勝手に力を取り込んで進化しちまうんだろうな」

「森の木も“トレント”だし」

「はぁ? 何言ってんだオメェ。“トレント”っつったらおとぎ話の木の化け物だぜぇ。そんな邪悪なもんが神域に居るわけねぇだろうが」


呆れた顔をして、私を膝の上に乗せるロードに恥ずかしくなる。


「けど珍獣達が、森の木は生きてるみたいな言い方してたでしょう?」

「植物なんだからそりゃ生きてんだろ」

「ほら! やっぱりトレントなんだ!!」

「何でだよ」


噛み合わない私達の会話はしばらく続き、


「あーもう、わかったわかった。オメェがトレントだと思ってんならもうそれでいいわ。それより早く寝室に行こうぜぇ」


結局ロードが折れたのだった。



後に、深淵の森の木々はトレントではなく“世界樹”であったと発覚するのだが、これはまた別の話━━…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ