表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/303

110.続・村を作ろう!!


トントンカンカンと森に軽快な音が鳴り響いている。


結局、村作りは自分達でやると言い出した珍獣達に、ヴェリウスもトモコも笑顔で頷き、事前に用意していたらしい道具と材料を渡していた。

どうやらヴェリウスもトモコも最初からそのつもりだったようだ。


『自分達で村作りせぬようであれば、深淵の森(ココ)から追い出しておりました』

「そうそう。自分達の住む村は自分達で作らないと大切に出来ないからね~」


成る程。2人とも考えていたようだ。


村の広場に机と椅子を並べ、ティーセットを出してお茶をしている私達は邪魔ではないだろうかと思うが、1人と1匹は気にせずお茶を楽しんでいる。


『ミヤビ様、我らが奴らにしてやる事は、補助魔法をかけてやったり、アドバイスをしてやる程度で十分なのです。すでに施設の設計図は渡してありますし、奴らは勉強熱心です。一部は獣人族の大工に弟子入りして技術を盗んできたと聞いております』


いつの間にそんな事をしていたのか。というか、技術を盗むの早くない!?


『ミヤビ様の眷族なのですから、優秀ですよ』


珍獣達はハイスペック集団だった……。

確かに天空神殿でのパーティーの時でも、習った事はすぐに覚えていたっけ。


「みーちゃん、みーちゃんの能力は確かに万能だけどね、やりたいって言ってる事を全部叶えてあげてたらやりがいがなくなっちゃうでしょ? そんな人生楽しくないよ。

だから、みーちゃんは、これがやりたいっていったら、まずは自分でやってごらんって機会を与えてあげるだけでいいの」


トモコがやはりまともな事を言うので、少々驚きながら珍獣達を見た。

皆大変そうだが、嬉しそうに、楽しそうに働いている。


「やりがい……か」

「そうそう。勿論力を使ったらダメってわけじゃないよ? 使えるものは使わないと損だし! 」


フンッと鼻息荒く力説するトモコを呆れた目で見るヴェリウス。


『大きすぎる力は、時に人々を不幸にします。その為に我らは人と住み分けて暮らしているのです。人族を伴侶としたミヤビ様は、これから人間との関わりも多くなる事でしょう。だからこそ、“力”の使い方に慎重になっていただきたいのです』


ヴェリウスの言っている事は分かる。

私の“力”は世界の創造すら容易なのだ。こんな力が人間に利用されればどうなるかわからない。


「ま、大丈夫だよ! みーちゃんには私達が居るから、おかしな事にはならないよっ」

「主様にはショコラがいますっ」

「神王様にはオレらもいるっス!!」

「そうですよ神王様! 私達は神王様を御守りする為に生まれたのですから!」


トモコとショコラの後に続いて、作業しながら聞いていたであろう珍獣達が口々にそう言って笑っている。


1人で丸太を20本程まとめて抱え移動していたり、ロードより大きな岩を何個もお手玉するように運んでいるこの珍獣達なら、頼もしいな。とつられて笑ってしまった。


『ゴホンッ 勿論私も御守りしますが、慎重になるにこしたことはありませんので』


ビタンッビタンッと尻尾を座っている椅子にぶつけ、面白くない、というような表情で良い募る、素直になれない所が可愛いワンちゃんだ。


「フフッ 分かってるよヴェリウス。ありがとう」

『っ私が一番、ミヤビ様を想っておりますので!!』


今度は尻尾をブンッブンッと左右に振り、耳をピーンと立てている。


「それは聞き捨てなりませんなぁ。我々とて、神王様への思いは一番と自負しておりますので」


ホホホッと珍獣達の中で一番年長のおじいちゃんが、朗らかに笑いながら言ったのを皮切りに、皆が我も我もと私への思いを口々に言い始めたのだ。

いや、嬉しいけどね…少し落ち着こうか。



◇◇◇



翌日には家が何棟も建っており、すでに牧歌的な村の様相が見えつつあった。


家は木で出来ており、立派な二階建てのログハウスでファンタジー感が出ていて可愛らしい。

玄関付近にはデフォルメされたフクロウらしき鳥のモニュメントが鎮座しており、可愛らしさが増しているのだ。

器用すぎる。


「いや、早くない?」


呆然とその様子を見ていれば、昨日朗らかに笑っていたおじいちゃんが声を掛けてきた。今日も朗らかさは変わらない。


「トモコ様に頂きました設計図と、道具や材料のおかげでございます。この森の木々も、神王様が我らの村作りをお認め下さっているので加工時も協力的なのです」


木が協力的ってどういう事? もしかして、この森の木はあの有名な木のモンスター“トレント”だったとか!?


「噂をすればですなぁ。神王様、あちらで木材の加工をしております。良かったら御覧になりませんか?」

「あ、見ます」


“トレント”の加工をするというので見学させてもらう事にした。


加工を担当するのは細マッチョのお兄さんだった。

ニッカポッカを履き、かんなのような道具を持った出で立ちはまんま大工である。

すると、お兄さんは木材の面を、かんな擬きを滑らせるようにして削った。その瞬間木材が発光し、発光が止むと綺麗に加工された柱になっていた。


え゛ーーー…


「このように、面を削っただけで木材が我々の意図を汲み取り、変化してくれるのです」



私の能力も大概だが、森の木々の能力も大概のようだ。

木材の加工を見学させてもらった後は、その木材を使って家を建てている現場を見学させてもらっている。


さっきのお兄さんのように、ニッカポッカを履き、Tシャツを着て首にはタオルを巻いている数人のおじさんが、きちんと足場を建設して木材を組んでいっている。やっぱり大工さんだ。

しかし家を建てるそのスピードが尋常ではない。


あっという間に骨組みが完成していくのだ。


「神王様、いかがでしょうか」


ニコニコとおじいちゃんが話し掛けてくる。


「いや、うん。すごいね……」


私の言葉におじいちゃんが嬉しそうにその笑みを深め、大工のお兄さん(おじさん)達もこっちの声が聞こえたのかニヤニヤしている。


しかしこのスピードだと、明日には村の家は全て建てられているのではないだろうか。


よく見ると下水管と水道管用の溝なのか、河川の方に向かって掘られていたりするし、これも昨日のうちに掘ったのだろう。

ここから河川まで一体何キロあるのか……もしかして珍獣達は、とんでもなくハイスペックなんじゃないだろうか。


河川の方角に続く大きな溝を見ていると、おじいちゃんが「河川の方も見学されますか?」というので頷いた。


「では、私の背中にお乗りください」


と言われて背中を向けられたのだが……え?


おじいちゃんが私をおんぶしてくれようとしているのか? 確かにこのおじいちゃんは背筋もピンと伸びて、ロマンスグレーな執事っぽい方だけど、おじいちゃんにおぶってもらって河川まで移動するってどう考えても鬼畜じゃない?


戸惑っていれば、


「私の背中はお嫌ですか?」


とものすごく悲しそうに呟かれた。


「ちがっ そうじゃないんです!!」

「ああ、良かった。神王様に拒否されてしまっては生きていけませんから」


断れない雰囲気ィィィ!!!!

断ったらこの人本気で死ぬ気だ。目がそう語っている。


「どうぞ」


と背中を差し出してくるが、お年寄りの背中に乗って移動なんて出来るはずがない!! しかし断れば生きていけないらしい。

ここで転移出来ますからとか言ったら、首切って死にそうな雰囲気が漂ってる。

どうする!?


「じぃさん、そりゃちょっとずりぃんじゃねぇか?」

「そうだ、そうだっ 俺らだって神王様をお乗せしたいってのによぉ!!」

「神王様の案内係だけでも羨ましいのに!!」


動揺に動揺を重ねていると、さっきまで作業していたはずの珍獣達が周りに集まって来ていた。


「そんな事を言っても、勝ったのは私だろう」


勝った? 何か勝負でもしたような事を話している。

戸惑う私を他所に、珍獣達はヒートアップしていき、


「神王様を河川までお連れする役は拳で決めるに決まってんだろ!!」

「そうだぜじぃさん。案内係と乗り物係は違うだろうが」


拳!? 乗り物係!?


「ムムッ 仕方ないか……では始めよう。しかし案内係は続けさせてもらうぞ」


今まで私に背を向けていたおじいちゃんが、ものすごい覇気を纏って珍獣達に拳を出した。

すると珍獣達も負けじと覇気を纏い自身の拳を掲げた。


何!? 集団でバトルが始まるの!?


「「「「じゃーんけーん……ぽん!!」」」」


ジャンケンかよォォォ!!!?


突如ジャンケンを始めた珍獣達に呆気に取られるが、彼らの動体視力が良すぎるせいか、高速ジャンケンの上になかなか勝負が決まらず10分が経過した。


「あいこでしょ!!」の掛け声が村に響き渡る中、広場にベンチを出し座ると、作業をほっぽりだしてジャンケンをしている珍獣達を眺めがら平和だな~と一人呟く。


しかし、水道管や下水管はどうやって管を作るのだろうか? 鉄で長く巨大な管を作るとなると、かなりの技術が必要になる。

浄水場や下水処理場の処理の仕方等も私にはわからないが、トモコは知っているのだろうか? 気になる。朝から張り切って河川の方へ行ったトモコを思い出して唸っていると、


「っしゃーーー!!!!」


という声が上がった。どうやら決着が着いたらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ジャンケンて……w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ