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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第3章

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98.未来予知


まずはトモコのステータスを表示して…皆に見えるようにしないとね。


名前: 井ノ上 知子

年齢: 2歳(前世38歳)

種族: 神族(人族の神)

LV: 15

HP: 100(MAX)

MP(GP): 100(MAX)

装備: 神王の作った綿の服(効果: 防御力∞)

神王の作ったブーツ(効果: 脚力向上∞)


スキル: 自由奔放

暴走

魅了

異世界の知識

人族の管理 etc.


あれ? そういえば、トモコには称号がない?


「おーっホログラムみたいにステータスが見えるーっ」

『ミヤビ様がそのお力で見せてくださっているのだ。騒ぐでない』


はしゃぐトモコをたしなめて、期待した目で私を見てくるヴェリウス。それに苦笑いをしながらトモコに称号が無い事を話してみる。


「そう言われれば……ヴェリーさんやロードさんにはあったのに、私にはないね~」

『ふむ。ミヤビ様、称号とは必ずあるものなのでしょうか?』

「う~ん。あ、リンや他の騎士には無かった気がする」


ヴェリウスの問いに今までステータスを表示した人とそのステータスを思い出す。


「称号って、みーちゃんが認めたら付くのかなぁ?」

『ミヤビ様ではなく、“世界がそれを認識する”が条件ではないのか? 勿論ミヤビ様が認識すれば称号は付くのだろうが』

「そっかぁ。“みーちゃんの創った世界”が先に認識するのかぁ」


好き勝手話しているが、“私の創った世界”ではなく、“先代の神王が創った世界”ではないだろうか?


「なら、称号を付けたければみーちゃんにつけてもらうのが手っ取り早いよね!」


等とトモコが話していた直後、チャリーンと赤いつなぎの配管工のおじさん、マ○オがコインを取る時のような音がして、トモコのステータスに称号の欄が出た。


「あ、トモコに称号が付いた」

「え!? 嘘っ ナニナニ!?」


称号: 暴走女神

神王の心友

神王を困惑させる神

貧乳のエース


「みーちゃん!?」

「私は称号付けてないでしょ!?」

『世界がそう認識したようだな…』


貧乳のエース。酷すぎる…。


「うおぉぉぉっ」

『バカな事を大声で叫んでいるからそうなるのだ。阿保め』


雄叫びをあげながら泣いているトモコにとどめを刺したヴェリウスは、私を見て次にいくよう促した。


「じゃあ、次は本命の“etc.”ね」

「うおぉぉぉっ」


トモコうるさい。


表示されているステータスのetc.をゆっくりと押せば、表示されたのは…



スキル: ・

貧乳の怒り:

発動条件→1日後。

神王特製メーロンの水風船を目にした時。

その後は巨乳に怒りを感じた時に発動可。

効果: 神王の力で創った水風船を破壊。

巨乳はまな板に。



おいぃぃ!! これ1日後にランタンさんに出会ったトモコがその胸に怒りを覚えてメーロン割るって未来予知ィィィ!!!?

しかもこのスキルが目覚めたら、世の中の立派なお胸をお持ちの女性はまな板にされてしまうよ!?


『何という危険なスキルだっ』


ヴェリウスがトモコのスキルにおののいている。


『このスキルが発動してしまえば、ミヤビ様のお力で創ったものを破壊出来るなど……っ 物が限定されているとはいえ、暴走スキルと合わされば何が起きるか……!』


それは駄目だ。封印した方が良い。むしろトモコごと封印するのが世の為だろう。


「何でこんなおかしなスキルしかないの!? もっと格好良いのがいい!! 必殺技みたいなスキルが欲しい!!」

「駄々をこねない。仕方ないでしょ。ギャグキャラが魂に刻まれてるんだから」

「うおぉぉぉっ」


トモコうるさい。


『……しかし、一番危険なのは未来を予知するステータスです。ミヤビ様、他の者にはetc.の件…いえ、ステータスの件自体、知られてはなりませんよ』

「そうだね。まさかこんなに細かく予知してるとは思わなかったよ。といっても、まだ本当にそれが起こるかはわからないけどね」

『……明日はトモコをランタンの所へ連れていく予定でした。予定通りならば、この未来予知は正確なのでしょう』


真剣にそう言われてしまい、顔が引きつってしまったのは言うまでもない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ロード視点



「━━…フォルプローム国がバイリン国と結託して戦争を起こそうとしてるって?」

「まさか! 復興し始めたばかりでそんなバカな事を考えるなどあり得ませんっ」


第1、第2の師団長2人が信じられないとばかりに声を上げる会議室では、今までにない深刻な空気が流れていた。


会議室に居るのはルマンド王国国王陛下、宰相、第1~3までの師団長の5人だ。この国を事実上動かしている中心人物達である。


「ロヴィンゴッドウェル第3師団長、貴殿はその情報をどこから手に入れたのだね? 諜報活動を出来る隊は現状無いはずだが」


宰相は厳しい表情でこちらを尋問するように追及してくる。

宰相は100歳を過ぎているとは思えない程若々しい見た目をした優男だ。種族は魔族で好色だと噂があるが、実際俺もこの人が何人もの愛人を連れている所を見た事がある。まぁ魔族は性質上色を好む者が多いが。

しかし、頭が驚く程キレるおっさんで、宰相をやるだけはあるといった所か。


そういやぁ、自分のステータスが見れるようになったが、他人のステータスは見れるのだろうか? ちょっくら試してみるか。


魔力から神力に質が変わった俺は、宰相を見ながら神力を込めて頭の中で“ステータスオープン”と唱える。



名前: ルーベンス・タッカード・ルーテル

年齢: 156歳(人族で言えば50代半ば)

種族: 魔族

職業: ルマンド王国宰相

LV: 35

HP: 30

MP: 42

装備: ルマンド王国産のシルクの服(効果: 防御力4)

ルマンド産の革のブーツ(効果: 脚力向上5)

家宝の魔剣(効果: 風魔法lv.5)


スキル: 風魔法(lv.3)

火魔法(lv.2)

魔力感知(lv.8)

魔力耐性(lv.5)

平等の愛情


称号: 知識人

好色王

常識人(女性関係は除く)


備考: ロードのつがいが神という噂を聞き、敵対はしていないが、警戒はしている。王への忠誠心は王国一。



お、出てきやがった。

なになに…ほぅ、陛下への忠誠心は王国一ねぇ。

好色王やら平等の愛情やら、俺には理解出来ねぇ所は多々あるが……しかし、数値化されても平均が分からねぇから微妙だな。神族のMAXが100としたら、人間はMAX50と思えばかなり良いところをいってやがるなぁ。魔力が高ぇし、魔剣なんつー珍しいもんも持ってやがる……。


「ロヴィンゴッドウェル第3師団長。聞いているのかね」

「あ~はいはい。聞いてマスよ」


やべっこめかみに血管が浮き出てるわ。

昔っからこのおっさんとは合わねぇんだよなぁ。


「情報源は現在騎士見習いとして第3師団に入団した、獣人のリンという者からだ。最近フォルプローム国からルマンド王国へとやって来たらしい」

「そのような素性の知れぬ者を騎士として採用したというのか!?」

「素性はすでに知れている。陛下からの許可も出ているんでなぁ」


陛下を見れば、苦虫を噛み潰したような顔で宰相と俺を見ていた。


呆けてねぇでフォローしろよ。バカ王。


「陛下……」


ますます血管を浮かべて、陛下を睨むように見る宰相に、本当に王国一の忠誠心の持ち主かよと怪しんでしまう。


「ヒッ た、確かに許可したっ」

「何故そのような軽率な判断をされたのですか」

「いや、だって神の意向には逆らえないでしょう!?」


あ、このバカ。口を滑らせやがって。


「神の意向……成る程、貴殿のつがいだという人族の神の意向か」


俺のつがいは人族の神じゃねぇっての。

ま、ミヤビが神王ってバレたら、アイツのお人好しな性格を利用しようってバカが大勢沸いてくるから黙っておくが。


「神の意向とあれば受け入れざるを得ないが、神とはそのように一個人に対して口出しするものなのか。しかも一国の政治に関してまで口出しされては……」

「ルーテル卿、その言い様は神に対して不敬ではないか。貴殿のその言い様、我らを創り出した神王様への信仰心が無い、ととられますよ」

「な……っ」


カルロの言葉に宰相が狼狽している。


それもそのはず、遠くない昔……ランプホーンという国で、神王への信仰心を無くした人間達が、世界の崩壊を神王のせいだと声を上げたのだ。

しかしその瞬間、人々は神からの祝福も加護も、守護すら無くし、苦しみながら死んでいったという。

それは“ランプホーンの大神罰”として言い伝えられているのだから。


宰相は“ランプホーンの大神罰”を思い出したのだろう。顔色を悪くして口をつぐんだ。


「神王様は不敬を不敬とも思われないお心の広いお方だが、気を付けろよ。他の神々は好戦的な奴が多いからな」

「!? ロヴィンゴッドウェル師団長、それはどういう……っ」

「ロード! さっきのルーベンスの言葉は聞かなかった事にしてくれ!! ルーベンスも悪気があって言ったわけではないんだっ」


まぁ、神王に対して直接どうこう言っていたわけではないので見逃す事にした。

が、次はねぇ。他の神族なんぞ関係なくボコボコにしてやる。


((一体どういう事だ? ロヴィンゴッドウェルのあの言い様では、お隠れになった神王様が復活し、さらに奴は神王様と対面した事があるかのような…っ いや、いくらつがいが神とはいえそんな……))


「陛下に感謝するんだな」

「!?」


((やはり…っ 陛下もそれを知っているということか……やはりこの男は危険だ。早々に手をうたねばならない))


宰相は益々顔色を悪くすると、高級そうなハンカチーフで汗を拭った。

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