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斜陽世界《アフターグロー》に終止符を  作者: 抹茶
【第一部】それぞれの序曲
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六話 兵馬とリュイス

 詰所を出た兵馬とリュイス、二人は街中を同じ方向へと駆けていく。

 目指す方向は夜空の赤。炎が空を照らし出しているのだろう。


 行き交う大路に町人たちが声高に叫ぶ。


「あっちで銃声が!」

「火の壁が!」


 詩乃たち、そしてアイネで間違いなさそうだ。


「おい、付いてくんじゃねえ」

「僕には僕の用事がある」


 駆けつつも未だ不信を崩さないリュイス、その視線を受け流しつつ走る兵馬。そんな二人の視線は交差を描き、通りを封鎖した炎の壁を見捉える。

 その前には数人の人影、およそ一般人にしか見えない風貌だがその手には銃が!


「死ね!!」


 銃を持った一般人風の暗殺者たち、兵馬とリュイス、互いが互いを敵だと認識する。

 ターゲットである佐倉詩乃の同行者、街の調査に訪れた騎士。

 

 認識、即座の殺意。

 

 暗殺者たちに躊躇(ちゅうちょ)はない。数えて四人が一斉に銃を構え、引き金に指を掛ける、よりも早く!


「はァッ!!」


 気合一声! リュイスが素早く抜き放ったサーベルを目にも留まらぬ速度で投擲、一人の胸元へと突き立て、その横で兵馬!


 無言、沈着。

 どこからか取り出した赤布がはためいて手元、兵馬の両掌に小ぶりなチャクラムが現れる。

 ヒュ、ヒュと二輪、夜風を裂いた円月輪が二人、敵の喉笛を裂いて沈黙させ、そこに重なる銃声。


「ハン、遅えよ」


 撃ったのはリュイス、左手に軍用拳銃を抜いている。

 相手は訓練を積んでいたようだが、戦闘のスペシャリストたる騎士に比べれば緩慢。後手でなおリュイスが迅速だ。


 四人の敵を即座に制圧した兵馬とリュイス。二人は内心、隣で目の当たりにした互いの技量に思索を巡らせる。

 

 やっぱ、ただの大道芸人じゃねえな。とリュイス。

 芸の粗末さに反し、兵馬の身のこなしは戦闘に長けている。決してパフォーマンスに寄せたそれではない。


 対して兵馬、騎士ってのはやるもんだね。と内心に感想を抱く。精強(せいきょう)だという認識はあったのだが、話に想像していたよりも数段は優れていた。


 実際のところ、リュイスは騎士の平均と比較しても非常に優れた戦士だ。

 剣術に射撃術、そのいずれもが白眉(はくび)。魔術の素養には欠けているが、それを補って余りある身体能力と剣技、射撃に支えられた戦闘力。


 こりゃ、このまま絡まれたら厄介だぞ……と、兵馬は思うが、それよりも今優先すべきは詩乃とプリムラの捜索だ。

 彼は詩乃にこだわっている。理由は胸に秘めたまま、黙して彼女たちの姿を探す。


 リュイスも仲間を探すことが優先なのは同様で、兵馬から意識を切り、アイネの姿を探して視線を巡らせる。


「くそっ……いねえ。アイネ、それにルカはどこだ?」

「アイネ、ってのは君の仲間か」


 兵馬の問いかけにリュイスは首を縦に。当面の敵ではない以上、とりあえずのコミュニケーションは取ることに決めたらしい。


「宮廷魔術師のチビっ子だ」


 そして息を深く。軍刀を水平に構え、炎壁を見据え……斬!!!


「せあァッ!!!」


 裂帛と共に振るわれた刃が鋭斬、炎の壁を切り裂き、人が通れる程度の隙間を作ってみせる。

 残心、静かに気を吐いて納刀。

 実体のない物をも易く切り裂いてみせる技量に、兵馬は思わず唸っている。


「やるなぁ!」

「すぐ塞がるけどな。で、詩乃ってのはお前の仲間の帽子で合ってるな?」

「ああ、そうだよ」

「……経緯は知らねえが、アイネと一緒に逃げてるみたいだな。追うぞ」

「ん、共同戦線ってワケだ」


「気に食わねえけどな」


 決して友好的ではなく、お互いをいけすかなく感じながらの手短なやり取り。

 ただ、戦力としては評価できる。街には異様な緊張感が張り詰めていて、盾代わりに連れて行くのも悪くない。

 そんなようなことを二人はそれぞれに考えつつ、炎壁を踏み越えて駆け出した。




----------




 地下、広室、ルカは驚きに目を見張っている。


 高価な麻薬の原料となる魔花イビルアイ、それがどうだ。この地下に、眼前に……幾千、幾万!


 ルカを罠に嵌め、昏倒させて捕らえた青年フランツ。

 彼は悪い顔色を地下の暗さに一層悪く、口元は三日月、薄くせせら嗤ってみせる。


「教団シャングリラ、その資金源たるイビルアイの栽培場さ」


 ゆらり、ゆらり、フランツは片手にジョウロを。

 魔花の成長を促成する月光を模した照明を背に、両手を広げ、煽るように泳がせ、ゆっくりと身を揺らす。


「おめでとう騎士さん。本部に報告すれは大出世だね?」


 ルカはフランツの言葉に応じない。

 

 朗々と語るフランツ、武器を手にしたルカを前に余裕の態度。

「僕と“ドニ様”の花畑」と、おそらくは黒幕だろう人物の名まで出してみせた。


 その態度が意味するのは。


(僕を生きて返すつもりはない、と)


「困った困った。騎士さんに見つかっちゃうとはねえ、ドニ様に怒られちゃうよ。でもね、ドニ様は優しいから。ほんの軽く叱られる程度さ」


 語る内容よりも、ルカはフランツの声に着目する。その発声からは……どこか幼児めいた印象を受ける。

 フランツの年齢は、あくまで外見判断に過ぎないが、ルカよりも少し下、およそ20に足りるか足りないか。


 それにしては幼稚な声色。いや、ほんの違和感程度なのだが、子供が大人と喋る時の甘えを含んでいる。


(気色悪いな、シャングリラ)


 もう一つ、気になる点が。フランツの声にはノイズが混じる。

 湿り気、とでも言えばいいのだろうか。おそらくは呼吸器を病んでいる。ルカが昏倒させられる前に、咳こみ吐血していたのとも加えて見れば、おのずと推測は立つ。


 問いかける。


「重病かい?」

「関係ないだろう」


 フランツの顔が歪む。触れられたくない、忘れていたい事実を突きつけられたとばかりに。

 しかし構わず、ルカはそこへ踏み込む。反応頼みの当て推量にもう一歩追い込む。正解ならば儲け物だ。


「肺病の末期。もう長くないね」

「っ……」


 どうやらルカの推測は概ね的を射ていたらしい。フランツの顔、端正ながらに薄幸の漂う目尻がクシャリと歪み、鼻梁(びりょう)の脇にシワが寄る。


「うるさい……!」


 ヒュと、大声を出すと空咳のような音が混ざる。

 怒りに心を乱せば変調、肺の違和に苦しげに咳き込む。ポタポタと吐血する。


 ルカはただ嫌がらせに怒りを誘っているわけではない。

 フランツの余裕の源、それは広い室内の少し遠くに控える、銃を持った仲間たちの存在だ。ざっと見て5、6……7人の男が銃口をルカへと向けている。


(流石に、迂闊な動きはできないね)


 ルカも騎士だ。リュイスには劣れど戦闘には長けている。少しばかりの魔術も使える。

 見えている敵だけならば、どうにか対処しきる自信はあった。

 フランツの罠に嵌まり、抵抗することなく昏倒させられたのも、捕まる事で潜入を果たすという狙いがあったからだ。


 しかしフランツが見せていた余裕は何か、まだ何か隠し玉があると物語っている。


 病身の青年、彼の挙動に幼稚さは垣間見えるが、しかしそれを上回る聡明さも窺える。

 成人しているか定かでない外見、しかし振る舞いを見るにこの施設の責任者らしい。麻薬栽培の大施設を任されている点から鑑みるに、きっと優秀な人材なのだろう。


(それが騎士を相手、控えさせた銃だけで余裕を見せるとは思えない)


 フランツはせせら嗤う。咳き込みながら薄く浅く、ルカの緊張を嘲笑(あざわら)う。


 ふと、ルカはフランツが持つジョウロに悪寒を抱く。

 彼の背後の花畑。広く広く、散水用のスプリンクラーが見える。手ずから水を撒く必要はないはずだし、手に持てる量の水で足りるはずもない。

 じゃあ何故、ジョウロなんかを持っている? 

 

 考えられる可能性は……


(武器!)


「死んでくれ。理想郷(シャングリラ)の名の下に」


 病身、痩躯。そんな印象に反し、フランツの動作は鋭敏だ。

 手にしたジョウロを大振り、面したルカへと中身の液体を振り掛ける! 


 気付きがルカを救った。フランツの仕掛けよりもわずかに早い回避動作、とっさの後歩で散布された液体から辛うじて身を(かわ)す。

 ビシャビシャと床を叩いた液体はすぐさま爆発的な反応を示す。仰々しく煙を立てて石床を削り、浅く広く穴を穿ってみせる。


 ルカはそれほど薬品に詳しくはない。あくまで本や映画で得た乏しい知識の照らし合わせだが、おそらくは硫酸だとか、それに類する強酸性だろうと推し量る。


「危ないな」

「あっは……!」


 フランツは怪笑。引き続いてジョウロを振り乱し、惑乱(わくらん)めいた笑顔で強酸を撒いてくる。デタラメな動きに見えるがその実、随分と器用だ。

 舞い散る液体がフランツ自身へと降りかかるのは上手く避けている。


 ズタと踏み込みから剣突が如く、ルカへ突き出す散水口。

 微細な水穴からは酸性の飛沫が舞い、触れれば痛いでは済まないはずだ。


 ルカは身を捻り、ト、トとさらに後歩。

 迂闊(うかつ)に近付けない。魔術を撃つ間もない。が、ナイフを手に滑らせ。


「悪いけど、死ぬのは君だ」


 ヒュ、と空を割いて早業(はやわざ)、数本のナイフをフランツへと投げ付ける!

 しかしフランツもまた見切る。金属製のジョウロを巧みに操り、ナイフを弾き落とす。

 武器としては取り回しにくい形状のはずだが不自由を感じさせない。フランツの余裕の一つには、彼自身の戦闘力への信もあったのかもしれない。


 だがルカは抜け目のない男だ。フランツが防御をした一瞬、生じた隙に光る眼光。


「ナイフでダメなら、じゃあ銃だ」


 この部屋に至るまでに、殺した相手から奪った銃を懐に忍ばせていた。引き金に指をかけるまでに一秒以下、迅速かつ無造作に発砲。

 銃弾は容赦なくフランツの胸元、心臓部を捉えて咲く血華! 

 

「ぐあ! あ!?」

(殺った)

 

 赤い飛沫がこぼれ落ち、滴る鮮血が床を染める。それは確たる致命傷、だが。


「アアアもう……痛いじゃないかァ……」

「思ったよりも胡散臭いな、君たち」


 弾丸が貫いた心臓部、湧き続ける鮮血がシャツを赤に染めている。その傷口から……ウジャリと。

 暗緑色の肉塊が膨れ上がり、服を裂き、触手のようにのたうち、体液を滴らせる。


「ハァァ……」と吐息。

 フランツは傷口にのたうつ異肉を指でつまんで押し込んで、そして何事もなかったかのように両手を広げてみせる。


「やぁ困った。やり手だね、軍人さん」


 フランツの背後に銃を構えていた部下たちは、ルカの素早く的確な発砲によって全滅していた。

 その様をやれやれとばかりに眺め、「使えない」と呟き、咳き込んで吐血。


 ルカはまるっきり人外のフランツを目の当たりに、青年の生死の境がどこにあるのかを悩む。

 銃で撃たれても死なないが、病に苦しんでいるのは本当らしい。


(ワケがわからないね)


 そして……フランツの顔に浮かぶ新たな表情。それは倦怠(けんたい)。子供が玩具に飽きるように、唐突に突然に。


「もういいや。もういいよねドニ様。こんな片田舎の施設にこだわる必要はないよね」


 ブツブツと呟き、訝しむルカの視線と銃口を気にする様子もなく、おもむろに青年は片手を上げた。


「おいで、ピスカ」

「ぴす?」


 耳慣れない響きにルカが疑問を抱く、より早く!!


『ゴアアアアア!!!!!!』


 花畑の奥から現れたのは異形の巨人!

 背には(いびつ)な翼、歯を剥き出し、絶哮!!! そしてルカへ……拳を振り下ろす!!




----------




 一方、アイネ。

 詩乃とプリムラの二人を引き連れ、街中を走り抜けている。


(詰所にリュイスがいるから、そっちに戻りたいけど)


 しかし、敵はあちらこちらから絶え間なしに現れる。

 退けた人数は既に十人を越えただろうか。応戦しながら駆け回り、逃走経路を自由に選べていない。


「もー! しつこいなあ!」と不満げに、プリムラが腕のカノン砲を撃ち放つ。着弾、爆炎が上がるも、暗殺者たちの波が途絶えることはない。


「ええ……もう飽きてきたって」


 うんざりした調子の詩乃。無造作にショットガンの引き金を引いている。

 魔術師というのは単独戦闘に不向き。リュイスやルカのような前衛のサポートがあってこそ火力を活かせるのだ。

 だが、今アイネに追従するのは詩乃にプリムラの少女二人。二人も戦闘慣れしてこそいるが、暗殺者の大群を引きつけるには分が悪い。


(ルカはどこに行ったのー!?)


 同行していたはずの同僚は未だ行方知れず。アイネは焦りつつ考え、そして思い至る。


「そ、そうだ! 魔力を辿れば!」

「どうしたの? アイネちゃん」


 突然大声を出したアイネへ、プリムラが問い掛ける。


「二人にお願い! 少しの間だけ撃ちまくって!」

「了解」

「オッケー!」


 詩乃とプリムラは飲み込みも早く、理由は問わずに銃弾を盛大にばらまき始める。三人は徐々に、人気の少ない路地へと追い込まれていた。

 まずい傾向だが、幸いに身を隠しながら撃つための遮蔽物(しゃへいぶつ)は山ほどある。


 二人が応戦をしている間、アイネは集中を高めてルカの魔力を辿る。

 

 炎のマナを繰る彼女の目には、他人のマナが薄ら揺れる炎として見えている。

 視覚だけではない、魔力と五感をリンクさせれば鼻をくすぐる燻ぶり。

 煙に近い香りが世界には無数に漂っていて、少女は犬のように鼻をひくつかせて同僚の臭いを嗅ぎ分ける。


 誰にでもできる芸当ではない。軍でも最高峰に位置する魔術の徒、宮廷魔術師の称号を持つアイネだからこその細やかな魔力感知。

 

 ルカの魔力は彼の実家、香料の元として用いられるローズベリーの香りと似る。

 任務で常々行動を共にし、よく覚えているその気配。辿ることは容易い!


「こっち!」


 アイネは二人を促し、再び駆け出す。

 詩乃は頷き、懐から手投げ弾を出すとピンを抜いて投げる。爆発! 飛散する鉄片は一時的な足止めには十分だ。


 ルカの魔力は一度途切れている。その残滓が近い。どうやら襲われ、どこかへと運ばれたらしい。

 幸いに、その場所はすぐ付近。やがて到達した細路地の先に、アイネは一枚の小さなコインを見つけ出す。

 そう、それはルカが失神の際に落としていったコインだ。


「小銭? それがどうかしたの?」


 不思議そうに尋ねてくる詩乃とプリムラに笑顔を向け、そしてアイネは触媒(しょくばい)を高々掲げる。

 概ねの位置がわかれば、そこからの追跡は難事ではない。

 アイネは、リュイスとルカ、年上の同僚二人を家族のように信頼している。どちらかと合流できれば負けはしない!


 触媒、鎌の柄が長尺に伸び、刃が大鎌のそれへと拡大する。

 今にも放たれんとして結集するマナは、収束から転じて加速度的に膨れ上がっていく。

 さらに幅広を成す鎌の刃、応じた大きさに触媒を拡張している。大魔法の構えだ。


 アイネはルカの位置を地下に見る。幼いながらに聡い少女だ。それだけで、敵する組織シャングリラが街の地下に何らかの施設を有しているのだろうと察している。


「“謳え謳え、地の火よ謳え! 呵々紅陵、摩利の墜荒。藍銅の炎に燐光を宿せ!”」


 詠唱、大鎌の刃を緋に染めるマナ。

 煌々と、神秘的に輝き……路地の地表へと力任せ、アイネは鎌の刃先をざくりと突き立てる!


燻る凍星(ラピス・アルヴ)!!』


 青の炎柱が垂直に地へ、そして空へ!

 貫通力を付与された炎は柱と化して足元を穿ち、空を衝いて冷利に焦がす!!

 

 上空へと数十メートル、超高温の炎の柱はアイネの十八番。魔術とは知識とイメージ力の融合だ。

 炎や風といった大まかな分類はあれど、顕現する現象は個々人の資質で異なってくる。

 キラキラと、さながら星や宝石めいて純な輝きを放つ炎。それこそがアイネが織る魔術の特質だ。


「なっ、!」

「うわぁ!?」


 詩乃とプリムラは驚愕する。アイネの魔術はあまりに盛大に、旺盛(おうせい)に空間を喰らい焦がす。

 先の炎壁の時点で実力は理解していた、そう思ったがとんでもない。詩乃とプリムラの想像の遥か上。そして子供でも知っている。青の炎はより熱く、より強い!

 地表を狭く、しかし深く、集中的に。抉り、消し飛ばすに至っている!


 そして穿たれた大穴の地下にはがらんとした空間、コンクリート張りの廊下が広がっている。シャングリラの地下施設だろうとアイネはすぐさま当たりを付ける。


(予想通り! ルカの魔力が近いよ。きっとこの地下に囚われて……)


 そう考えるアイネの耳にドンピシャ、大穴の中から「おーい! これやったのアイネだよね?」とルカの声が響いてきた。


「よかった! 無事だったんだ!」


 アイネは安堵と喜びに声を返す。まだ大魔法の青炎が所々に燻る穴、その下にルカの顔が覗いた。しかし、その顔は……焦っている?


「すぐ上がるよ! で、とりあえず……」

「とりあえず?」


 タン、タンと曲芸師のように軽やかに。

 飛び、跳ね、縁に手を掛け、回って駆け上がり、ルカはアイネの待つ地上へとたちまちのうちに到達する。その背後から!


「逃げろ!!!」


「ゴオオァアア!!!!!」


 轟砲めいて空気を殴りつける、そんな爆発的な怪声。

 その主は怪物、翼の生えた醜悪な巨人がルカを追って地上へと飛び出してきた!!


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