表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/37

25.告白

「カミラさん、お付き合いしてください!」

 片膝をつき、花束をカミラさんに向けて告白している結構お上品そうな男。

「一目見て……」

 と声をかけてきたそうな。


 まあ、カミラさんがこの世界では少々年齢はいっているようだが、ブロンド美人だし、男性に声をかけられても仕方ないと思う。


 テーブルに居る俺に、

「マルス君どうしよう……」

 俺に聞いてくるカミラさん。

「どうもこうも、嫌なら嫌と言えばいいと思いますよ?」

 カミラさんの問いに俺は答えた。

「あの坊ちゃん、あまりいい噂聞かないのよねぇ。求愛に応えなければ自分の取り巻きに悪さをさせるとか……。気に入らなくなったら簡単に捨てるとか……」

「まあ、断って何かありそうならアセナ……」

 ……に用心棒と付け加えようとしたが、

「マルス君がいいなぁ」

 と食い気味に否定。

「僕かアセナがカミラさんを守るというのはどうでしょうか?」

 という妥協案を言うと、

「マルス君が動いてくれるなら、断ろっと……」

 俺限定になってはいるが、盾にすることを決めるカミラさんだった。

 そして、男のところへ行くわけだが、俺を押し、男との間に配置。

 壁にすると、

「私にはこのマルス君が居るの」

 そう言うと、俺をぎゅっと抱き寄せ上から俺の口をむさぼる。

 ちらりと男に目線を向けると、顔が怒りに燃えるのがわかる。

「あなたはそんな子供がいいのか?」

「子供? マルス君は見た目は子供だけど。夜はそこに居る獣人を気絶させるほど。


 えっ?気絶はさせてないんだけど……。

 なんで話を盛ってるんだ?


 しかしまんざらでもないのかアセナが顔を背け赤い顔をする。

「私、そんなマルス君に蹂躙されたの。私はもうマルス君から離れられない!」

 カミラさんが大声で言った。


 この感じだと、夢精して、大人の階段上った後、性獣に覚醒?

 どんな進化だよ!


 大声が聞こえたのか、リサさんが驚愕に口を押えて現れる。

「えっ、えっ、もうカミラさんとマルス君って……」

 そんなリサさんに、

「アセナ、リサさんに事情を」

 とアセナに説明を頼んだ。

 アセナがリサさんの耳元で話すとウンウンと頷きながら話を聞くリサさん。


 よし、アセナ、いい仕事をしている。


「えっ? マルス君のってそんなに?」

 リサさんの問いに、拳を作って説明をするアセナ。

「お父様のでもそんなに大きくないのに」

 リサさんが両手で大きさを説明していた。


 思っていた内容と違う……。


 俺の個人情報がアセナによって故意にばらされ、ラルフさんの個人情報がリサさんによって事故で漏れる。


「そうなんだぁ。アセナさん、マルス君と……。フーン、だったら私も……」


 俺としては、「仮に俺とカミラさんが付き合っている風にして、男の求愛を断っているところ」と伝えてほしかったのだが、不必要な部分のところのほうが多かったようだ。


 はあ……。


「だったら私も」と言うところは気になるが、今のリサさんでは無理です。

 はい、向こうの世界で培った倫理観が許しません。せめて、成人してからってことで。


 心の中でリサさんに突っ込んではみたが、アセナも十六なんだよなぁ。

 獣人は成長が早いから、体の大きさでロリ感がない。体が二メートル近いって事で罪悪感も少ないだけ。


 余計な事を考えていたせいか、

「ゴホン」とカミラさんが咳ばらいをした。

 こっちに集中しろということらしい。

「まあ、そういうことで、僕はカミラさんを手籠めにしました。

 はい、僕の情欲に任せて、カミラさんの穴という穴を……。そのせいか、カミラさんが自分よりもずっと年下の男の子にいたぶられるのが癖になったようで」

 そこまで言うと、カミラさんは演技なのか本気なのかわからないが体をぶるっと震わせた。


 ガチな方と見た。

 このまま、異常な性の方向性を見せれば、あきらめてくれないかなぁ……。


 なんて思いながら、

「まあ、僕もそんな性に目覚めさせてしまった責任があります。今いるアセナに加え、カミラさんも妻として一緒に生きて行こうかと思っています」

 と言うと頭を下げた。


 ん? リサさん? ぴょんぴょん飛び跳ねて、私もアピールするのはやめようね。

 今は仮の話だから……。


「私がこんなガキに負ける? 毛も生えそろっていなそうなツルツルなやつに!」

「はい、あなたが言う通り、僕はツルツルです」


 ちょっとは生えてきているんだ。だから絶賛増毛中であって欲しい。

 アセナとしていると、なんか嫌だ。


 俺の返事で馬鹿にされたと思ったのか、

「減らず口を……。あなたが気に入りません。私の気が済むまで少し痛めつけてあげましょう。先生方! 先生方!」

 男の声に、外から先生方が現れる。痩身の剣士と斧を持った長身の偉丈夫。

 それを見て嬉しそうに俺を見るアセナ。

「そこの少年を痛めつけてください」

 と言った瞬間、俺が頷くと、アセナが一瞬にして先生方に近寄り、大きな手で一人ずつ首を掴んだ。

 そして鋭い爪を首に食い込ませる。軽く刺さったのか、爪の先のあたりから血が流れはじめた。

「そこに居るのは我が夫だ。勘違いしているかもしれないが、我が夫は夜の攻めだけでなく、普通に戦っても(われ)より強いぞ?」


 夜の攻めは必要ないような……。


「知らないか? 白狼族のメスは、自分よりも強い者しか夫にしないと……。まあ、知らずとも命がなくなれば関係ないのう」

 先生方がガタガタと震え始めた。

「そういえば、学校祭のトーナメントで、圧倒的な力で学校推薦の生徒たちを破った少年が居たとか……」

 男は俺を見て言う。

 俺がニイと笑うと、

「そう言えばそういうこともあったのう。あの時はルール違反とかで優勝はできんかったがな」

 と犬歯を出してアセナが笑う。

「ひっ、ひええ」

 腰を抜かし、這いずるように男が店から出ていくと、アセナは先生方を軽々と持ち上げ、入り口から表へ投げ捨てた。


 ん? カミラさんとリサさんの目がハート?


「さて、何とか追い返しましたね。

 一部血が流れましたが、まあこの程度なら問題ないかな?」

 何とか次のステップに移ろうとする俺をじっと見る二人。

「何かあれば、僕かアセナが何とかしますので、安心して生活してください」

「えっ? 性活?」

 カミラさんの食い気味な反応にと言葉の意味が違うと感じた俺は、、

「生活とは日常の活動であって、性生活をわざわざ短くした言葉ではありませんから」

 と即否定しておいた。

「でも、よく知っているわね。穴という穴なんて言う人なんて少ないわよ?

 意味が分かる人っているのかしら?」

「そうですか? 父から『女を手に入れるために、それくらいは言えるようにならないとな』と言われたことです」

 いつもの嘘。

「で、私を手に入れてくれるの?」

 カミラさんは期待に満ちた目だが、

「今回は売り言葉に買い言葉ですから」

 と答えておく。

 そのあと、

「ちっちなみに意味は分かってるの?」

 若干興奮気味のカミラさん。


 年齢と知識のギャップに興奮中ですかね?


「ああ、知ってますよ?」

 と言うと、カミラさんが、

「理想通り!」

 と言って抱き着いてきた。


 ちなみに、リサさんはそんなカミラさんを見て、

「私も早く成人しないと」

 と言っていた。


 酔っ払ったときにも言いましたが、年齢差が縮まるということは無いので……。成人してからです。


 俺は心の中でつぶやいていた。



 本来の目的である昼食のために食堂のテーブルに座る。

 俺の右横にアセナ。左横を狙ってカミラさんとリサさんが争っている。

「何やってるんだか……。カミラさん、昼食をお願いしたいんですけど」

 俺が言うと、リサさんが

「お仕事ですよ」

 と言って俺の左側に座った。

「あーあ。取られちゃった」

 愚痴るカミラさんに、

「いいじゃないですか。カミラさんは私よりも早く抱いてもらえる可能性があります。年上ですからね。

 私は成人もしていません」

 リサさんの言葉に、

「そりゃ……まあ……」

 とカミラさんが納得する。

「でも、マルス君のガードが固くてね」

 ちらりとカミラさんはアセナを見た。

 すると、大きな体で、

「マルスがいいと言わんのだ、そこは我慢しろ」

 一番の優越感を感じていそうなアセナが居た。


読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字等ありましたら、指摘していただけると助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ