24.やっちまった
ついにやっちまったか。
向こうの世界では、隠れて一人で水洗いしていた。
結局バレて、変に母親に意識されたのを思い出す。
近くのおばちゃんたちに「……くん、……したのよ」と触れ回る母親。
近所中に広がり、幼馴染に知られ、赤っ恥を描いた俺の黒歴史。
酔っ払いの相手をしている間に興奮したのか、起きたらカピカピになっていた俺のパンツ。
久々に嗅ぐ臭い。
さてと、どうするか……。
ゆっくりとベッドを出ようとした時、アセナが寝たままでスンスンと匂いを嗅ぎは締めた。
液が漏れていなかったが、布団やシーツには臭いが付いているようだ。
しかし、アセナ自身は経験がないと聞いていた。
だからその匂いを嗅いだことがない可能性がある。
さて、このまま脱衣所に行ってパンツを替えるというミッション。
俺が勝つか、アセナの鼻が勝つか……。
ゆっくりと俺に巻きついた、尻尾を外そうとすると、アセナがピクリと動いた。気を付けていたつもりだったが、アセナの尻尾はエロ化するトリガー。
スンスンと匂いを嗅ぐ回数が増える。
それでもなんとかアセナのセンサーの範囲外に離れ、扉を開けて脱衣所に歩き始めることができた。
勝った! 俺は勝ったのだ!
両手を上げ、勝利のポーズをした後、足取り軽く脱衣所に向かおうとした時、ベッドルームの扉が開く音が……。
俺がゆっくりと振り向くと、いつもは朝寝坊のアセナが覚醒している。
「マルスぅ」
甘えた声、
「やっとだぁ」
全裸のままスイカを震わせ、走り寄ると俺に抱き付いた。
「いや、こっこれは……。汚れたから洗おうかと……」
そんな言葉を気にせずにスンスンと匂いを嗅ぎまわる。
そして、パンツの一点をロックオンすると、
「その匂い知ってるぅ。愛し合った後の番が匂わせていた」
甘えた声を出す。
アセナの育ったところでは、結構開けっ広げだったようだ。まあ、やった後体を洗っていなきゃ、匂いも残るか……。ましてやアセナは犬系の白狼族。鼻もいい。
興奮し、欲情したアセナの猛攻は捌けず、初の夢精からホップもステップもなく一気に大人の階段を上り切る。
そりゃ気持ちいいさ。俺だって前の世界では彼女が居たこともあったし、風俗にも行ったことはある。若いころに求めてしまった時代もある。
アセナもアセナで、俺が初めてだったらしい。
俺を受け止め痛いとも言わずにされるがまま。その後アセナが俺を思うように扱い、満足すると、俺を抱き枕にして気持ちよさそうに眠るのだった。
治療魔法を使ってキスマークを消している俺。
満足げな顔をしたアセナの裸を見ると俺のジュニアは早くも親離れして反りかえる。
まあ、本能には逆らえないか。
白い尻尾に髪の毛、大きな耳、長い指、切れ長の目に長いまつげ、メリハリのある体。
アセナは実際美しいと思う。
目に見えるキスマークを消して、じっと観察していると「マルスぅ」と甘えた声を出して俺の腰に手が回る。
その手をそっと外し、ベッドから降りると、脱衣所からの動線途中で落ちていた俺のカピカピパンツを洗って乾かして洗濯籠の中に入れておいた。
考えすぎかもしれないが上の下着があるのにパンツが無いっていうので下手に勘繰られるのも嫌だからだ。
ウシ、これでいつもの洗濯籠。
再びベッドに入って眠った。
そして先に起きたアセナに顔を舐られて、目を覚ます。
「おはようさん」
「マルス、おはよう」
そして、アセナは赤い顔をすると、
「マルス、凄かった。白狼族の女を手籠めにできるのはマルスだけ。
オスとメスが抱き合うとあんなことになるなんてな。
でもなんで、マルスは番どうしが抱き合う時のどうすればいいのか知っていたのだ?」
「そりゃ、オスにあるものとメスにあるものを使えばいいぐらいは知っていたからな」
「少し年上の同族からは、最初は痛いが、それから気持ちよくなってくると聞いた。マルスは丹念に触って我を気持ちよくしてから行為を行った。ちょっと前まで未成年だったマルスが、そういう行為を知っているとは思えない」
「オヤジが女好きで、俺が大人になった時に起こるだろう事を教えてくれていたんだよ」
うん、そういうことにししよう。
「今日もする?」
ニッと笑ってアセナが聞く。
「子供ができてしまうぞ?」
「我はマルスの子が欲しいぞ。それに種族が違えばなかなか子が授からんと聞く。
だから、マメにな……」
「ちなみに、人間と獣人の血が交わればどうなるんだ?」
「獣人の子ができる。獣人のほうが血は濃いと言われている。
マルスは、オスとメス、どっちがいい?」
こういう話はちょっと新鮮。
「俺はアセナみたいに元気があればどっちでもいいや」
そして、俺をじっと見ると、
「我を好きか?」
と聞いてくる。
「ああ、好きだぞ?」
アセナを見て言うと、
「我も好きなのだ」
アセナの巨体に押し倒されるのだった。
シャワーを浴びて、シーツとかを洗って乾燥させた後、遅めの朝食にアセナと二人で階段を降りる。
「あら、マルス君遅いわね」
カミラさんが聞いてきた。
確かにいつもなら朝食をとっているリサさんは居なかった。
「いろいろありまして……」
「いろいろ?」
「いろいろなのだ」
カミラさんはじっとアセナを見ると、
「アセナちゃん女になった?」
いきなりカミラさんが言う。
なぜわかる?
俺が首を傾げていると、
「わからないと思う? 一応これでも女ですからね」
というカミラさん。
「知りませんでした」
とぼけると、バシンと頭を叩かれた。
「あら、マルス君たちの洗濯物?」
カミラさんが従業員に声をかける。
「洗濯物に近づくと、アセナのように鼻から息を吸い込んだ。
「やっぱりね。マルス君とアセナちゃんの匂いがしない。
それはマルス君がアセナちゃんと何かした証拠。
マルス君って、隠したがるから、わざわざ洗濯して乾かしたでしょ?」
俺の心を読み解くカミラさん。それだけ人との付き合いがあるってことなのかね?
何も言わなくてもわかりあえる。〇ュータイプという言葉が浮かんだ。
しかし、洗濯物の匂いを嗅いでいたって……カミラさんもなかなか……。
カミラさんの新しい情報にアセナと共に焦っていると、
「……ってことは」
俺を見てロックオンするカミラさん。
ジュルリと涎を啜る。
「アセナちゃんが一番を手に入れたのなら、私も二番になっていいって訳ね。今夜暇?」
開けっ広げに聞いてくるカミラさんに。
「暇じゃないぞ? 我と子作りをするのだ」
とアセナが立ちふさがる。
「私だって子作りしたいわよ! 何が悲しくてマルス君の下着で……」
ハッと口を押さえるカミラさんだが、俺とアセナの驚愕の表情に隠しても仕方ないと感じたのか、
「好きなんだから仕方ないでしょ! 三人でもいいから仲間に入れてよ!」
その辺のこだわりが無いのはいいことなのか悪い事なのか……。
「まあ、その辺は今夜にでも」
と流しておく俺。
結局その夜は一緒に酒を飲んで、潰して、うやむやにした。
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