50、羊皮紙
「では、これから少しずつ、一緒にこれを覚えていきましょうね」
なかなかの長丁場になってきてたので、続きは明日と思ったのだけど。
「そんなの、いや、それの案を出したり自分もかかわってたから、もう、思えた、しまいました」
えっ、英語みたいな二十六文字とかじゃないよ。五十音に0~9までの数字だよ?
あとはそこに濁音、撥音、伸ばすの記号がプラスされるわけだけど。こちらはサイモンが問題なく認識できたのでそのままだ。
「すごいな、サイモンは」
「ええ。うちの子は天才なのでは?」
「そ、そんなことはない、と思います」
ちょっとうつむいて耳が赤くなってる。
生意気盛りの子が照れてる姿って、なんか無性に可愛いわぁ。
「では、せっかくですから、もうひとがんばりしましょうか。サイモン、そのご本を貸してくださる?」
「はい」
「何をする気だ、クレマンティーヌ」
「この教本を、サイモン文字に訳すのです」
「サイモン文字!」
「え、え、オレ、いや僕の名前が付くの?」
「だって、サイモンと考えたサイモンのための文字ですもの。まあ、こうして見ると本当に格好いいわね。しかも、それが自分専用の文字だなんてうらやましいわ」
「……うん、僕も。なんか、すごく、カッコイイと思います」
教本を広げて対照表と見比べながら、私が薄板に書き出そうとするとマックスからストップがかかる。
「待て待て、せっかくだから羊皮紙に書こう」
とてもとても親バカです。
草木紙が開発されてない今現在、羊皮紙はめちゃくちゃ高いです。
契約書とか、証書とかに使うんだよね。




