48、ルール
「サイモン、さきほどあなたが私に言ったことを覚えていますか? 私が、あなたのお友達をあなたが馬鹿にするかと聞いた時、あなたは何と答えたでしょう」
「……ルールを変えれば一緒に遊べる」
「そうです。だから、ルールを変えてみましょう」
「具体的には?」
冷静に問うマックスは、領主として行動する時の顔をしている。
「いちばん現実的なのは、それでも大丈夫な体制をつくることです。実際、貴族の中でも自ら領地を治めている者はまれです。代官に丸投げして、口頭で報告を受けるだけなどということも珍しくありません。国王陛下ですら、そうです。政治は宰相が、事務仕事は文官が行います。最終的に承認のサインはしなければなりませんが」
「信頼できるものを身近に置いて、代筆・代読をさせればいいのだな」
「そういうことです。サインなどは読めないものの方が圧倒的に多いですし、偽造を防ぐためにもかえってその方がよいかもしれません」
自分のことを話し合う大人たちを真剣な顔で見比べるサイモン。
当然だが、不安そうだ。
「サイモン。そんなわけであなたの将来に不安はなくなりました。ただ、それとは別に、あなたは本が読みたいのではないかと私は思うのだけれど、どうなのかしら」
「……読みたい。自分で、読みたいです」
彼は顔を上げ、しっかり私の目を見て言った。
「そうですか。では、あなた専用の文字を作りましょう」
「え?」
「は?」
それはよく似た表情で、ぽかんと人の顔を見る親子……笑っちゃいけない。
「幸い、我が国の言葉の表記は表音文字です。スペースをとる上に、同じ音の単語が出てきた時に文脈から判断しなければならないなど、意味を理解するのに少々手間がかかるという欠点はありますが、ただ覚えるだけならこれほど楽な言語はありません」
私は新たな薄板を用意する。




