47、格好いい男
「さて、結論ですが」
とたんに緊張して居住まいを正す親子。
「その前に、サイモンに訊きたいことがあるのだけれど」
「なに? なんですか」
「サイモンが街中で同じような年頃の子たちと遊んでいた時、背の小さい子や、力の弱い子、足の遅い子はいなかった?」
彼の目をいろいろな感情が過ぎったけど、こればかりはどうしようもないことなのでいまは無視する。
「いた、いました」
「彼らのことをあなたは馬鹿にしたりした?」
「そんなことしないよ! あ、しません。ルールをちょっと変えれば、ちゃんといっしょに遊べるんだ、のだから」
「そう。あなたが、あなたのお父様と同じように格好いい男でうれしいわ」
「……そう、かな」
「そうか」
まあ、照れ方まで一緒なんて可愛いわぁ。
「サイモン、これはあくまで私の見解ですが、あなたはあなたのお友達が背が低かったり、腕力に乏しかったり、走るのが苦手なように、文字を文字として認識するのが苦手なのだと思います」
「……よく、わからない」
「ああ、どういうことなんだ。クレマンティーヌ」
「原因は、はっきりしないのです。サイモンの場合は先ほど実験した通り、絵であればそれが何を表しているのか理解できます。とても簡素で、もう文字と言ってよいようなものでも。このようにあらわれ方は千差万別ですが、読み書きを習っていないという理由ではなく、文字を読みにくい、書きにくいという人が一定数いることは確かです。本当に不思議なのですけれど」
ショックを受けて当然のことだと思う。
でも、私はサイモンにこのことをわるいように受け止めてほしくない。




