33、警備
「ということで、アーノルドさん。どれほどのお店が協力してくれるかしら。もちろん売り上げは出店した方のものです」
アーノルドが一つ安心したようにうなずく。
お前のものもオレのものって、無茶いう貴族は多いからなぁ。
「そうですね、屋台で何を売るかにもよりますが」
「片手で持って食べ歩きできるようなものが理想的ですけれど、女の方や子供さんがいることを考えると酒精の入っていない果物のジュースなども欲しいところですわね。あとは飲食にこだわらなくても、ちょっとした小物や、案外日用品なども祭りの雰囲気に乗せられて買ってしまったりするものですし」
「……言われてみれば、そういうものかもしれませんね。では、希望者はとりあえず受け入れてみましょうか。皆に説明をして参加人数がわかりましたらご報告します」
「お願いしますわ。それとですね、もともと出店費用はこちらで負担しようと思っていたのですが」
得意げな顔をしてるバトリーを目で示すと、アーノルドも納得したようにうなずく。
「それは不要でしょう」
「で、で? オレの出番はないのか」
待ちきれないようにグレンが身を乗り出す。
「グレンさんにはぜひ、警備の強化をお願いします。日頃から港の仕事だけでなく、街の安全を担ってくださっていると主人から聞いています。ありがたいことですわ。ただ、祭りの当日は人の流れが変わりますし、皆さんお酒が入って気もゆるむでしょう。いつも以上にもめごとが増えると思われます。そこで、見回りの人数を倍ほどに増やしていただきたいのです」
「おう、任せろ」
「それから、人込みではぐれた子供を保護したり、落とし物を届けたり、ちょっとした怪我の治療をしたり、気分のわるくなった人を休ませる場所を目立つところに用意したいと思うのですけれど、どこが適当だと思われます?」
「う~ん。どこからも行きやすい、目立つっていうなら中央広場だろ。でも、それだけに人が集まるだろうから、子供なんかを連れてくにはあぶねぇかもな」
「でしたら、商業ギルドでお預かりしましょう。建物としてもそれなりに目立ちますし、従業員も人の対応には慣れておりますから」
「それは助かります」
仕事上のかかわりはもちろん同じ街に住む者として、日頃から協力し合っているのだろう。
それぞれ得意分野がわかってるから分担もスムーズだし、一方でライバル意識もあるようで、競うように仕事を請け負ってくれるから私としては大助かり。
「二番目に予定しているのは、パレードです。といってもそう大したものではありませんが、主人と私が馬に相乗りして、午前中に数回、街中を練り歩くつもりです」
「ほぉ~」
「へぇ~」
「それはそれは」
見世物にされて仏頂面になるグリムの旦那を想像したのか、男たちがにやにやしはじめる。




