24、相乗り
「その調子では同業者と協力などしていないようですわね」
海賊が何を言っているんだという目で人を見る。
「もちろん海難現場に遭遇したり、漂流している者を発見した時は何をおいても助ける。それは海に生きる者の掟だ。しかし、商売となれば競合相手を利するような真似を誰がするものか」
「卿。もう少し頭をやわらかくしてみませんか。何も気に食わない連中と付き合えとは言いません。道理の通らないことを平気で言ったりやったりする連中も少なくはないですから。でも、敵ながらあっぱれと思う筋の通った人も一人くらいはいるのではないですか?」
「む、まあ……」
うんうん、具体的に思い浮かんでいるようだ。
「もちろん、きちんとあれこれ取り決めをして、契約を交わした上で行うことになるでしょうけれど。卿のことです、船でも馬車でもなるべく空きのないように荷を積まれていると思いますが、いつもそうできるとは限りませんでしょう? そこで、同じ方向に行く船なり馬車なりに、時にこちらのものに、時にあちらのものに荷を相乗りさせるのです。とても大雑把に表現すれば、二台の馬車に半分ずつ荷を乗せて走らせるより、一台の馬車に満杯に積んで走らせた方が、御者も護衛も一台分で済みますでしょう?」
男爵が、頭が痛いというように額を押さえてうつむいてるけど大丈夫かな?
全部、前世のパクりだけど、ちゃんと付いてきてね。
「倉庫も同じことですわ。港や積載場のすぐ近く。利便性を考えれば同じような立地を求めることになるのですから、どうせ隣り合って建っていたりするのでしょう? その倉庫に空きスペースはございませんか? こちらにあるということは、あちらにもあるということです。新しい倉庫を建てる前に、その空きスペースを融通し合いましょう」
「……ペラペラペラペラと。これは相当な金を生む話だぞ。それをそうも不用意に話してしまって、私があなたを選ばなかったらどうするつもりだ」
「どうもしませんわ。たんなる撒き餌ですもの」
卿、なんかさらに猛然と食べだしたね。やけ食いかな?
仕事でストレスたまってるだろうしね。
あまりぐいぐい行き過ぎても引かれるだけだろうから、今日のところはこれくらいかなぁ。




