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失恋 紫煙 

 一日一本。


 この決まりは吸い始めた時から、一度たりとも破ったことはない。

 それに体に悪いということも知っている。

 あの子がこいつを嫌っていることも知っている。

 だから、僕はもう止めた。

 あの子のことが好きだから。

 いつか、あの子に告白するために。


「ゴメン。その気持ちに応えることはできない。」

「あたしより、もっとあなたのことをわかってくれる人が必ずいるから・・・」

 違う、そうじゃないんだ。

 僕には君しかいないのに。

 そんな言葉、卑怯だよ。

 何も言い返すことができない。


 久しぶりに、煙草に火を点けた。

 ゆっくり煙を吸い。

 ゆっくり煙を吐き出す。

 久しぶりだったせいか、少し浮遊感を味わえた。

 気が付かないうちに、煙草が短くなっている。

 火を揉み消し、空き缶の中に捨てる。

 ふと、あの子の言葉を思い出した。

 僕は煙草をもう一本取りだす。

 今日、二本目の煙草。

 今日、初めて決まりを破った。

 煙が目に染みて涙が出る。

 そう、ただ、煙が目に染みだけ。


 僕はまだ、未成年。


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