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瘤をどり党

昔々、踊りの得意なおじいさんがいました。おじいさんには生まれながらに右頬に目立つ瘤がありました。おじいさんの隣には、おじいさんとは反対に左頬に目立つ瘤のあるおじいさんが住んでいました。

名前がなくて不便なので、ここでは右瘤のおじいさん、左瘤のおじいさんと呼びましょう。

顔に目立つ瘤があるのはつらいことです。

左瘤のおじいさんは右瘤のおじいさんをすこし苦手に思っていましたが、右瘤のおじいさんは、左瘤のおじいさんに特別な共感をいだき、義兄弟になりたいほどでした。ですから、ちょっと強引に自分の得意な踊りに誘って、毎日左瘤のじいさんを踊りの練習に付きあわせました。左瘤のおじいさんはいやいやでしたが、根負けした様子でしょうがなく、けれど真面目に取り組みました。

しまいには二人だけで「瘤踊り党」を結成し、あらゆる祭りを盛り上げるほどになりました。

そのころには、左瘤のおじいさんも踊りの楽しさがわかり上達していました。


ある日のことです。

右瘤のおじいさんの本業は木樵で、森に入っていました。

すこし疲れて休憩しようと木の洞に入ったところ、うたた寝してしまったようです。目覚めるとあたりが真っ暗になっていました。

でも近くでなにかの気配がして、じっと耳を澄ませました。

すると、近くで鬼が宴会をしているではありませんか。

鬼のお親分が子分に命じて踊りを踊らせています。

それが見事な踊りで、どんちゃんと囃子もあり実に楽しそうです。

踊りが大好きな右瘤のおじいさんも思わず出ていって、踊りはじめてしまいました。右瘤のおじいさんの参入に宴も盛り上がります。

これに鬼のお親分は大喜び。

宴がお開きになると「なんでも褒美を取らせよう」と右瘤のおじいさんに声をかけました。

「はい、それでは明日も宴を開いていただき、わたくしめの友を連れてきてもいいでしょうか。きっと今宵よりも楽しませてごらんにいれます」

鬼の親分は期待した様子で承諾しました。


右頬のおじいさんに話を聞いた左瘤のおじいさんは「なんて無茶なことを!」とカンカンに怒りました。

顔なんて鬼に負けなくらい真っ赤です。

それでも、右瘤のおじいさんだけを鬼の宴に行かせるのは心配なので、左瘤のおじいさんもついていくことにしました。


鬼の宴では「瘤踊り党」の踊りにわんやわんやの喝采で大盛況でした。

宴の終わりに、前日と同じように鬼の親分が望みをおじいさんたちに聞きます。

右瘤のおじいさんが「はい、わたくしどもめの頬の瘤をとっていただきたいのです」とすかさず言うと、鬼の親分は「なんだそんなことか。お安いご用だ」と、右瘤のおじいさんの瘤も、左瘤のおじいさんの瘤もぶちん、ぶちんと千切って持っていきました。


あとには、顔がすっきりしたふたりのおじいさんが残されました。

元左瘤のおじいさんはちょっと不満そうに「どうせなら金銀財宝でも頼めばよかった」とこぼしましたが、それはただの照れ隠しの悪態でした。

元右瘤のおじいさんには、お見通しです。

その証拠に、元左瘤のおじいさんは平らになってすっきりした頬を何度も何度もさすって満足そうな表情をしていたそうです。



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