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赤ダン携えし女傑  作者: TAK
赤ダンとの出逢い
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『大きい』の意味

メフレックスはアイナが寮母から『大きくなった』についての問いに答えようと首をかしげていた。『大きい』という言葉についてかねてより気にもとめなかったが、他人から唐突に聞かれると戸惑ってしまうものだ。


「…『大きい』ね…、ふふっ…。ブリジット族の女性に『大きい』は褒め言葉よ。」

「えっ…!?」


メフレックスの出した答えにアイナは意外にも感じた。


「どうしてブリジット族の女に『大きい』は褒め言葉なんですか?」


アイナは何故ブリジット族の女性に『大きい』が褒め言葉なのか気になった。


「それはね…、わたし達ブリジット族の女性の体内には筋肉を発達させる成分『アミノイド』を増幅させる物質が多く含まれているの。わたし達ブリジット族の女性が『大きい』のはそれと鍛錬の相乗効果によって『筋肉が大きい』の意味なの。このレッドガルドの主な産業である狩猟は、フィジカル面に優れるブリジット族の女性に打ってつけなの。狩猟だけじゃないわ。林業に、鉱業、鉄鋼業等筋力をふんだんに使う産業とも相性がいいわ。あと、狩猟の延長線でAU界や傭兵稼業に軍事・治安・警備職で活躍するブリジット族の女性も多いわね。」

「…。」


メフレックスはアイナにブリジット族の女性が大きい理由を説いた。


「だから…、アイナ…。大きくなる事は決して悪い事じゃないわ。それだけ()()()()()()という意味よ。」

「メフレックス姐ちゃん…。ありがとう…。」


メフレックスはアイナを抱擁した。アイナは嬉しさのあまり涙を流した。それから暫くして、アイナは一緒に居合わせたエイミーと共に鍛錬に勤しんだのだった。



次の休日、宿舎で朝食を済ませたアイナは今の日課であるAU会館のトレーニングルーム通いの為エイミーの部屋に向かい、ドアをノックした。


「エイミー、今日も行くよ。」

「…ごめんね、アイナ…。今日は行けないの…。」

「誰かと用事でもあんのかい?」

「いえ、ただ…、『用兵学』のレポートを仕上げないといけないの。あなたも一人で行くのは心細いでしょ?」


エイミーは士官科の課題に着手する為、アイナの誘いを断った。


「まあ…、そうだけど…。うち、ここ最近身体動かしたくてうずうずしてんだよ…。」

「それなら…、『タタラヘイム』の職人街はどう?あそこは製鉄や鍛冶等の工業が盛んで、力仕事を得意とする職人も多いから見ているだけでも退屈しない筈よ。」


エイミーはアイナにタタラヘイムの職人街に赴く事を勧めた。


「うん…、わかったよ…。じゃあ、レポート頑張ってね。」

「ええ、行ってらっしゃい。」


アイナは宿舎を出てタタラヘイムに繰り出した。



用兵学…士官科の学問の一つ。地形や陣形に兵科等、軍を率いる際に必要な知識を叩き込まれる。

タタラヘイム…レッドガルド内のヘイムの一つで、レッドガルドの工業特化ヘイムで、ドワーフが多く居住している。



煉瓦(れんが)造りの建物が道の両脇に続くタタラヘイムの職人通りには(つち)の音があちこちから響き渡っていた。


(槌の音…、昔は苦手だったけどな…。でも…、あそこに通ってから心地よく感じるよ…。)


槌の音が苦手だったアイナもトレーニングルーム通いによって槌の音を克服した。自分の成長を感じた瞬間だった。


「よし、叩け!()()()()!」

「はいっ!」

(!!…『()()()()』だって…!?)


アイナは近くの工房より老年の男性が聞き覚えのある名を叫んだ事に動揺した。その工房から聞き覚えのある女性の声もした事も拍車をかけていた。


(…とりあえず中に入ってみよう…。)


アイナは声のした工房に客として入ってみる事にした。果たして工房でアイナを待ち受けていたのは…?

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[一言] >メフレックスはアイナを抱擁した。アイナは嬉しさのあまり涙を流した。それから暫くして、アイナは一緒に居合わせたエイミーと共に鍛錬に勤しんだのだった。 エエ話や( ˘ω˘ )
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