壮行会
翌日、支度をしてAU会館に向かったアイナとアーニャの元にメフレックスをはじめ、トレーニング仲間であるタチアナとエイミーにマットも出迎えた。
「み…、みんな…!」
「皆さん、おはようございます。」
アイナはいつもと違う雰囲気に戸惑うが、アーニャは挨拶をした。
「待って、アイナ、人と会った時に何て言うの!?」
タチアナはアイナに問いかけた。
「あ…、そうだった…。みんな、おはよう。」
タチアナから挨拶をしなかった事を注意され、アイナは挨拶をした。
「それではおはようございます。これから壮行会を始めます。」
メフレックスは壮行会の合図をした。
「アイナとアーニャの両名は来月九の日にロードガルドのシーマヘイムにある歯車騎士団本拠内で開催されるマッスルゴーレムコンテストに参加致します。まずはアイナ、あなたから。」
メフレックスはアイナとアーニャがイベントに参加する事を話し、アイナに振った。
「うん…、うち…、何だか良くわかんないけど…、メフレックス様と出逢って…、身体を鍛えさせて貰って…、人として大切な事を教えて貰って…、何か自分が大きく変わった気がするんです…。あの頃は…、今みたいに…、ここに立つなんて…、全然考えられなかったです…。うち…、入賞目指して頑張ります!」
アイナは入賞を目指すと意気込みを語り、周囲は拍手した。
「アイナ、有難う。次はアーニャよ。」
メフレックスは今度はアーニャに振った。
「はい。私は…、ブリジット族の女として…、いや、何より鍛冶職人を目指すべく…、日々の鍛錬を欠かさずやって来ました…。工房での実習で槌を振るっていた頃は…、アイナと同じようにここに立つ等想像出来ませんでした…。私は…、ブリジット族の女に恥じぬよう臨みたいと思います!」
アーニャはブリジット族の女である事を誇りに臨むと語り、またもや周囲は拍手した。
「有難う、アーニャ。アーニャの申す通り、彼女は勿論、アイナも私と同じブリジット族の女性です。二人ならマッスルゴーレムコンテストできっと最善を尽くしてくれる事でしょう。私は二人の引率を致します。勿論、皆で鍛錬も致しますので、無理せず身体を適度に鍛えて吉報をお待ち下さい。」
最後にメフレックスがしめた。
そして壮行会が終わり、アイナ達は鉄騎士団によって手配された馬車での出発を控えた。
「みんな、うちら行って来るよ~!」
「皆さんに火の加護がありますように。」
「あなた達にも火の加護を。」
アイナとアーニャと引率のメフレックスはタチアナ達に別れの挨拶をした。
「あなた方に風の加護がありますように。」
「皆さん、行ってらっしゃいませ。」
「アイナ、アーニャ、それからメフレックス様にも火の加護がありますように。」
タチアナとエイミーとマットは馬車に乗るアイナ達を見送った。間もなく、馬車はロードガルドに向かったのだった。




