筋肉巨人祭に向けて
アカデミー最大のイベントである学徒王総選挙から一夜明け、学務を終えたアイナはアーニャを連れて、エイミーに声をかけた。
「エイミー、いつものとこ行こ。」
「ごめんね…。わたし…、学徒組合幹部としての仕事がある為来れないの…。」
「じゃあ…、ずっと来れないって事!?」
アイナはエイミーがずっとAU会館のトレーニングルームに来れないのか気になった。
「いいえ、休日なら来れるわ。」
エイミーは休日は来れると話した。
「そうか…、なら良かった…。」
アイナはエイミーがずっと来れないわけではない事に安堵した。
「なあ、エイミー、来れない日はまさか鍛錬も休みじゃないよな!?」
アーニャはエイミーにトレーニングルームに来れない日は鍛錬も休みではないか気になった。
「大丈夫よ。身体は一日にしてならずって言うし…。来れない日は自室で身体を鍛える事にするわ。」
エイミーは来れない日は自室で身体を鍛える事にすると述べた。
「ああ、良かったよ。じゃあ、組合の方頑張りなよ。うちら存分に鍛えに行くからな。」
「エイミー、また休日な~!」
「あなた達も頑張ってね。」
アイナとアーニャはエイミーと別れて、AU会館のトレーニングルームに向かった。
トレーニングルームで準備運動を済ませた二人の元にメフレックスとタチアナがやって来た。
「あら、あなた達…、エイミーは一体…?あっ…、そう言えばエイミーは学徒組合幹部候補だから引継ぎで忙しかったわね。」
メフレックスはいつもいないエイミーが気になったが、彼女が学徒組合幹部候補で引継ぎに大忙しである事を思い出した。
「あの…、メフレックス姐ちゃん…、うち…、一つ聞きたい事があるんす…。」
アイナはメフレックスに尋ねた。
「アイナ、どうしたの?」
「マッスルゴーレム何とかって何すか?エイミーが新人賞獲ったって聞いたんすが…。」
アイナはエイミーが新人賞を獲ったイベントについて尋ねた。
「ええ、歯車騎士団主催の『マッスルゴーレムコンテスト』、通称『筋肉巨人祭』ね。あれは毎年二の月の九の日にロードガルドのシーマヘイムで開催されるの。人々が日頃鍛えた筋肉を競い合う大会よ。入賞者には歯車の紋章と成績に応じた賞金が貰えるわ。」
メフレックスはマッスルゴーレムコンテストについて説明した。
「賞金!?うお~!燃えてきたぁ~!!」
(筋肉巨人祭…、ドワーフともゴーレムとも似つかぬ感じね…。)
アイナは賞金が貰えると聞き狂喜する一方、タチアナは難色を示した。
「ふふっ…、参加したいのね。いいわ。それからアーニャ、あなたもどうかしら?鍛冶で鍛えたその身体なら大丈夫と思うわ。」
メフレックスは乗り気のアイナに喜ぶと同時に、アーニャにもイベントに参加するか尋ねた。
「私も喜んで参加します。私もブリジット族の女傑の端くれですから。」
アーニャもアイナ程狂喜はしないものの快諾した。
「わかったわ。じゃあ、今まで以上に鍛えてあげるから…、心して臨みなさい。」
「うん。」
「はい。」
メフレックスは二人に心して臨むよう伝えた。そして、二人の筋肉巨人祭に向けての特訓が始まったのだった。




