学徒王総選挙の後
学徒王総選挙の後、ニュートラル科五年学級ではマット級長が学徒組合幹部代表候補の一人に選ばれ、祝賀会が行われた。
「皆さんも知っての通り、マット級長が学徒組合幹部代表候補の一人に選ばれました。しかし、私はそのお膳立てをしてくれたアイナを称えたいと思います。皆さん、アイナに拍手を!」
担任のルミナは学徒王総選挙でマット級長が当選したのはアイナのお陰であるとしてアイナに拍手を促すも、一部の学徒が異を唱えた。
「先生、何でアイナを褒め称えるんですか?アイナが科と級長の紹介の時に自己紹介なんて趣旨とかけ離れた事しなかったらマットは学徒王に選ばれたと思います。」
男子学徒の一人がアイナの紹介が趣旨とかけ離れていた事を挙げてルミナに疑問を投げかけた。
「いや、私はそうは思わないね。寧ろ他の者だったら当選には至らなかったと思うが。マット、お前はどう思う?」
ルミナはあれで最善だと述べ、マットに振った。
「僕は…、自分の力で当選したんじゃありません…。皆の力で当選に至ったに過ぎません…。何よりアイナがメフレックス様の事を話してくれたお陰で…、自分が何をなすべきかがわかったんです…。だから…、僕は…、アイナに感謝してるんです…。アイナ…、有難う…。君のお陰で…、僕は目的を持つ事が出来たよ…。」
マットも最善だと述べ、アイナに改めて感謝した。
「うん…。」
アイナは頷いた。
「聞いたか?マットはアイナに感謝してるんだ!学徒王総選挙でマットが当選したのはアイナ、そして皆のお陰なんだよ!何故アイナに拍手しないんだ!?」
ルミナはアイナに何故拍手しないのか問いただした。
「あんなヘマされてマットが当選出来たのがまぐれにも等しいでしょうに…。」
男子学徒はアイナのヘマでマットが当選出来たのがまぐれだと主張した。
「まぐれなものか!アイナが流れを作ってくれたおかげでマットは当選出来たんだ!それとも、お前達はアイナの事見くびってるのか!?」
「…。」
ルミナは決してまぐれではないと主張し、アイナの事を軽んじているのではないかと問いただした。男子学徒達は動揺のあまり黙秘した。
「何も言わないって事は、どこかでアイナの事軽んじてた事を認めてるという事だな。まあいい。今回の学徒王総選挙を機に彼女の事を認めるよう努めるんだな。では皆…、改めてアイナに拍手を!」
ルミナは黙秘する男子学徒達が少なからずアイナを軽んじていたと踏み、そして彼女の事を認めてみるよう伝え、改めて学級全体にアイナに拍手するよう促した。今度は皆拍手した。アイナも内心嬉しい様子だ。こうしてアカデミー最大のイベントである学徒王総選挙が無事に終わったのだった。




