エイミーの経歴
士官科の紹介役の発表が始まった。
「士官科は、基礎体力訓練に勤しむ傍ら、地勢学に法学や用兵学等について学び、国境なき騎士団をはじめとする軍事、治安、警備職を目指す科です。士官科五年級長のエイミーは、ミドルガルドのニュートラルの留学生で、文武両道の者です。彼女のレポートの質も結構高く、何より四年の時に『マッスルゴーレムコンテスト』で新人賞を受賞した経験もある程、ブリジット族女性並の身体能力も持っております。以上で紹介を終わります。」
(…マッスルゴーレム何とかで新人賞…。うち…、すっごく気になる…。)
紹介役は自分の科と級長の紹介をした。アイナは『マッスルゴーレムコンテスト』に喰いついた。間もなくエイミーの発表が始まった。
「私達士官科の案は、『留学生枠を増やす』事です。このレッドガルドは原始的な環境かつ、重力が他のガルドより大きい為、多くのAUが輩出される程研鑽に最も適した環境です。自らを高める事に貪欲な方々に是非このアカデミーに留学して頂きたいと私達は思います。それだけではありません。留学生の受け入れを増やす事によって異文化への理解を深め合い、見識を広げる事にも繋がると確信致します。どうか、この士官科五年級長エイミーに清き一票をお願い致します。」
エイミーの発表が終わり、会場全体が拍手の渦に包まれた。士官科代表は持ち場に戻った。
「それでは、全科発表が終わりましたので、各担任の指示に従ってご行動下さい。」
全科発表が終わった頃には昼になっていた。学徒達は各担任の指示の元で各教室に戻っていった。
そして、ニュートラル科五年教室でアイナは担任のルミナに他の学徒と共に待機していた。
(…マッスルゴーレム…、終わったらメフレックス姐ちゃんに聞いてみよう…。)
アイナはエイミーが入賞したイベントについてメフレックスに聞こうと考えた。暫くしてルミナの元に他の教員から伝言があった。ルミナは教壇に立ってこう呼びかけた。
「では皆さん、私と共に学徒会館に行きましょう。そこで投票を行います。」
ルミナは教え子全員を学徒会館に案内した。
学徒会館は選挙だけあって厳かな雰囲気だった。
「では皆さん、投票を済ませたらここにお戻り下さい。但し、誰に投票したのかについて聞いたり話したりしてはいけません。」
ルミナは教え子全員に釘をさした。その後、彼女に呼ばれた者から順に投票所に向かった。そしていよいよ…
「アイナ。」
「うん…。」
いよいよアイナの番が来た。果たして彼女は誰に投票するのだろうか?




