アイナの発言
「…うち…」
アイナはあがっていた。
(…うち…、一体何を言おうとしたっけ…。)
アイナは何を話そうとしているのかわからなかった。
「おいおい、だんまりかよ!」
「手を挙げんならはっきり喋れよな!」
沈黙しているアイナに対し、一部の男子学徒達のやじが飛んで来た。
「お黙り!!アイナは一生懸命考えてんだ!」
ルミナはやじを飛ばした男子学徒達に言い放ち、男子学徒達はうろたえながらも引き下がった。
「…うち…、この前まで…、自分のやりたい事が…、わからなかったんです…。」
遂にアイナは話し始めた。
「ただ…、流されるまま…、流されるだけの…、毎日でした…。」
アイナは以前までは自分のやりたい事がわからず流されるだけの日々だったと語った。
「案と全然関係ないだろ!」
「昔話なら他所でやれよな!」
一部の男子学徒達はアイナの話が案と無関係な事話すなと非難した。
「関係あろうがなかろうが黙って聞きな!アイナ、続けてくれ。」
ルミナは男子学徒達にまた一喝し、アイナに続きを促した。
「…はい…。メフレックス姐ちゃん…、いえ…、メフレックス様と出逢ってから…、これまでの日々が大きく変わったんです…。」
アイナはメフレックスと出逢って自分の人生が変わったと語った。
「メフレックス様だって!?」
「あの鉄騎士団団長か!?」
「ああ、『女傑王』と呼ばれるだけあって恐ろしい女だって聞くぜ!」
「何で直接会えんだよ!?」
メフレックスの名を聞いて特に男子学徒達は動揺した。中には戦慄する者も出て来た。
「静まり!アイナ、団長と出逢って自分がどう変わったか皆に話してみな。」
ルミナは動揺する学徒達を静め、アイナにメフレックスとの出逢いからどう変わったかを話すよう促した。
「はい…。メフレックス様は…、見た目はかなり強そうでしたが…、とても優しい人でした…。そんなメフレックス様に…、うちは…、身体を鍛えて貰ってます…。身体だけじゃありません…。人としての在り方についても…、色々教えて貰ってます…。…以上です…。」
アイナはメフレックスから色々教えて貰っている事を話した。
「なあ…、結局案と全然関係ないじゃん!」
「流石はアイナ、『脳筋アイナ』は伊達じゃないって感じだな!」
一部の男子学徒達がアイナの話が案と無関係だと一蹴した挙句、『脳筋』と吐き捨てた。
「いや、これは意外な手がかりかもしれないよ!アイナの話からどんな案を出すべきか…、もう答えは出てるんじゃないか!?『マット』、級長のお前ならわかる筈だ!」
ルミナはアイナの話に案の手がかりがある筈だと述べ、ニュートラル科五年級長としてブリジット族の男子学徒のマットに振った。
「…はい…。アイナの話から…、これからのアカデミーは鉄騎士団との交流をもっと深めていく事が重要だと思います。これで僕らが学問に勤しむ目的等、将来のプラスになるならば…、これ以上の案件はありません。」
マットはアイナの話から『鉄騎士団との交流を更に深める』という案件を見出し、学級全体が拍手した。
「はい皆さん、他に案はありませんか?」
ルミナは他に案がないか学級全体に問うも、全員沈黙した。
「ないという事で宜しいでしょうか?」
ルミナが学級全体に確認を取ると、全員頷いた。
「では、ないという事で『鉄騎士団との交流をもっと深める』の案に決まりました。そのきっかけとなったアイナに拍手!」
拍手したのはアイナを蔑んだ男子学徒達以外全員だったが、こうして、ニュートラル科五年のミーティングも無事に終わったのだった。




