新たなフィットネス仲間
タチアナがアイナ達によって鉄騎士団医療棟に移送されて数日後、彼女は病室のベッドで一人療養中だった。
(はあ…、どうしてこうなったのかしら…。まあ…、ダイエット小説の題材が一つ出来たとしておきましょう…。ん…、誰かしら…。)
病室のドアをノックする音がした。
「タチアナ、入るよ。」
タチアナはドアを開けて病室に入った。
「ルミナ…。あなた、何しに来たのかしら…?」
「今日はアカデミーが休みだからお見舞いに来たんだよ。そもそもそれ以外に何があんだよ。あと、言いたくないんだが、言うべき事いっぱいあってな…。」
「言うべき事…?」
タチアナはルミナがこれから話す言葉が気になった。
「あんた…、酒の事で団長から大目玉喰らったんだってな。」
「…。」
「休み前にあんだけ酒呑んでたらいずれこうなるとは思ったよ…。まあ、早い分良かったんじゃないか!?」
「…。」
「とにかく、こっちはいい迷惑なんだよ!療養してるあんたの抜けた穴埋めなきゃいけないんだからさ!」
ルミナはタチアナに激昂した。
「!!…ごめんね…、ルミナ…。」
「誰がうちに謝れと言ったよ!?寧ろ謝るべき相手は学徒どもだろ!違うか!?」
タチアナは謝るも、ルミナの怒りの感情は変わらなかった。
「!!…。」
「とにかく、早いとこ治しなよ。じゃ、お大事にな!」
「…。(どうしてみんな冷たいの…。わたしの自業自得なのはわかってるんだけど…、少しくらいは気遣ってくれたっていいじゃない…。)」
ルミナは不機嫌な感じで病室を後にした。タチアナは彼女の辛辣な言葉に涙を流しながら寝込んだ。
一方、AU会館のトレーニングルームではメフレックス指導の元、アイナとエイミーが鍛錬に勤しんでいた。
「よし、暫く休憩ね。」
「うん。」
「はい。」
メフレックスは二人に休憩を伝えた。それから間もなく、アイナにとって聞き覚えのある声がした。
「アイナ!あんたもここにいたのか!(なるほど…、どうりであれをやってのけられたんだな…。)」
何とアーニャがトレーニングルームにやって来たのだ。そして、アイナが何故鋼の台を砕くに至ったのかを納得したのであった。
「ア…、アーニャ…、何であんたがここに来てんだよ…?」
アイナは鍛冶工房で実習している筈のアーニャが何故トレーニングルームに来たのか気になった。
「ああ…、最近は職人達でごった返しだからね。外部に身体を鍛える場所がないかという事でうちもここを利用する事になったんだよ。」
アーニャは工房に職人が結構増えてきた為、鍛錬の場にAU会館のトレーニングルームを選んだのだ。
「そうか…、じゃあ改めて宜しく、アーニャ。それからこの人は…」
「鉄騎士団直営ティーンアカデミー仕官科五年のエイミーよ。宜しくね。」
「うちは同じアカデミーの産業科五年のアーニャというブリジット族の女さ。宜しく頼むよ。」
アイナ達は改めて自己紹介をした。
「わたしはメフレックス。鉄騎士団団長にて白き女傑隊長も兼ねているの。アーニャだったわね。あなた…、見たところ結構身体を鍛えているようね。」
「はい、鍛冶工房で槌を振るう等で鍛えています。基礎体力なら自信がありますが、より高みを目指すつもりです。」
メフレックスもアーニャとお互いに自己紹介をした。
「あなたは経験者のようだから、二人と同じレベルでいいわね?」
メフレックスはアーニャにアイナ達と同じレベルで良いか確認をとった。
「はい。」
アーニャは了解した。
「では、準備運動をしたら三人でいくわよ。」
「はい。」
メフレックスはアーニャに準備運動の指示を出した。そして、アイナ達に新たなフィットネス仲間が一人増えたのだった。




