204話 無双
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「アハハハ!めっちゃたのしー!」
ハイテンション手袋を装備したラビリルは敵の中心部で暴れに暴れていた
ゴブリンを掴んで振り回したり、一角ウサギの角を他のモンスターに刺したり、毒スライムを状態異常などお構なしに踏み潰したり
「うわぁ……」
「……ラビリル、無慈悲」
完全にラビリルの独壇場になってやる事が無くなったノアとスノーピンク
そして空気を読んだのか何故か2人の近くでラビリルを映しているラビリルの配信カメラ
『ハイテンションになるだけで何故こんな強くなるんだろうか』
『楽しそうで何より』
『これ、ステータス上がってるだろw』
『毒とか麻痺とか色々食らってるのに何故平気そうなんだ?』
ずらずらとコメントが流れていくがノアやスノーピンクは見えない。そしてラビリル本人は自分の世界から帰ってこない為、見られる事は無かった
「って!危なっ!」
「……あ」
ラビリルの蹴りでイノシシが吹っ飛んできた
スノーピンクはすぐに気づいて避けるが戦闘能力0のノアは普通に巻き込まれてしまいイノシシの下敷きになった
「まだ壊れてないよねぇ?」
そこにラビリルがイノシシにトドメを刺そうと追ってくる、ご丁寧にもブッ刺す用の一角ウサギを手に持って。
「ちょっ!そこにノアが――」
スノーピンクがなんとか止めようとするがやはり自分の世界に入っているラビリルには聞こえておらずそのままイノシシの頭部に手に持っていた一角ウサギの角を刺した
手で刺すだけではなくさらに足で押し込んでもいた
「あーあ、壊れちゃった」
消えていくイノシシに興味を失ってすぐに次の獲物に向かっていった
「……びっくり」
「びっくりで済むの……?」
ノアは特になんの異常もなくただただ驚いただけ
『レベル1だよ……な?』
『俺、レベル30くらいだけど多分勝てない』
『無意識だろうけど的確に最善手で敵を片付けているよな、戦いが上手すぎる』
『筋力にステータス振ってないはずなんだけどなぁ』
そして数十分後にはほとんどのモンスターがいなくなっていた
・・・
・・
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『警告!警告!一定数以上の感情の昂りを検知しました。あと5分以内に平常値に戻らない場合、強制的にログアウトされます』
うるさい警報が頭の中から響く
はっ!やばい、落ち着かないとログアウトさせられる
「深呼吸……落ち着けー私!」
どうにかして落ち着こうとするが全く落ち着けそうになくすぐにでも何か壊したい衝動が襲ってくる
「ラビリル!手袋を外せ!」
遠くからスノーピンクの声が聞こえてきた
メニュー画面を開きハイテンション手袋を外すとなんとか落ち着く事が出来た
次回は13日、お昼12時に投稿します




