198話 最強スキル?
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「いやー、皆んなごめんねー?ラビリルは私のだから」
「誰がサユの物になったって?」
だから隣にいる私に腕組んでこないで怖いからちゃんと運転して……
車を運転しているせいなのかいつもよりイケイケな気がする――いつも通りな気がしてきた
『ラビリルは俺のだからダメだぞ』
『なに言ってるんだ?俺のに決まってんだろ』
『私のだよ?』
『誰のでもねぇわw』
『皆んなのラビリルだ』
『男に取られるよりはマシか……』
サユに対抗して沢山のコメントが流れていくのが見えた
なんで誰も彼も私の事を私物化しようとするの……?
「……前見なくていいの?」
「え、あ」
案の定、私の方をよそ見していたから目の前に大きな岩がある事に気づかずにそのまま直進しようとしていた
「ノア、もうちょっと早く行ってよー!」
「……戦利品眺めてた」
「そんな話してる場合じゃないでしょ?!ぶつかるって!」
サユが急いでブレーキをかけるが凄いスピードを出していたので完全に手遅れだ
「ごめんラビリル〜脱出!」
サユが扉を開けたと思ったら外へと飛び出していった
車を見捨てて出ていった?!
「……ノアはこのまま寝てるね」
「あ、うん。私は離脱するよ」
ノアはダメージ受けないしそのままでも良いのか……
私は扉を蹴飛ばしてから外へと飛び出した
ゴロゴロと転がりながら勢いを殺してなんとか生き延びる
そして数秒後に大きな爆発音がしたと共に私の所まで衝撃波みたいなのが飛んできた
『見事な爆発だなぁ』
『完全に事故ってて草』
『移動手段が……w』
『車ってあんなに派手に爆発するっけ?』
「いやー、またやっちった!」
「また?!今、またって言ったよね?!」
何度か事故を起こしているって事?どれだけ車持ってるの!
「……げほっ、煙たい」
爆破して焼け野原になった所からノアがテクテクと歩いてきた、ダメージは無いけど煙たいらしい
「じゃあ引き続きドライブ再開しよう!」
いつのまにかサユの隣にさっき爆発したはずの車があった
「どうなってるの?!」
「そういえば説明してなかったね、私こんなスキル手に入れたんだー」
サユはメニューからスキルを表示してくれた
《節約術》……消耗品を消耗せずに使い続けられる
なんてズルいスキルなんだろう……だから永遠にポーション飲み続けてたんだ
『節約術とかそんなレベルじゃないだろ、節約なら数回だけにしとけw』
『やっば』
『イベント限定だとしてもゲームバランスおかしくなるって』
『なんか色んなイベント限定スキル見てきたけどラビリルの水中呼吸、しょぼくない?』
確かに私の水中呼吸しょぼすぎる……
「車も消耗品判定なんだね」
「そりゃ、あれ爆弾だし」
「え?」
サユが無言で車の説明も見せてくれた
☆誰かの車……MPで動く車、ちょっとした衝撃で大爆発を起こす
「ちょっとした衝撃って怖っ!」
「色々検証してみたけど手で叩いたり、運転くらいの衝撃じゃ爆発しないから大丈夫だよ!」
サユに聞いたら毎秒10MP消費するから飲み続けないと運転出来ないらしい
『なんでも倒せそう』
『最強アイテム』
『こえぇ……』
『誰の車なんだろう?』
サユが試しにペシペシ車を叩いていた、大丈夫って言ってたけど一応離れた方がいいかな?
「ほら大丈夫でしょ?そんな心配してたら山着く前に日が暮れちゃうよ!乗って乗って!」
「……ん、時間は有限、ラビリル乗る」
ノアは死なないけどもし私が爆発に巻き込まれたら相当痛いよ?それはそれは痛いよ?
まあ、乗るんだけど
「気を取り直してしゅっぱーつ!」
「……ごー」
新品の車に乗った私たちは不安な運転で山へと向かって進み始めた
次回は6月3日、お昼12時に投稿します




