197話 お嬢さん……乗るかい?
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「さて、なに落としたかなー」
ユウスケが消えて落としたアイテムが少し散らばったのを拾う
木の実っぽい食べ物少々、飲み水少々、木材やモンスターの素材少々……
「スキルオーブは?」
辺りを見渡すがスキルオーブなんてものは見当たらない
もしかして既に何回か死んでいてスキルオーブ失くしてるんじゃ……
『スキル無くて草』
『失う物が少ないから死ぬ覚悟でラビリルに特攻したのか』
『スキルオーブ無いのか』
『まあ、ラビリルだって死にかけてたし2日目なら死んでる人沢山いるでしょ』
大怪我を負ったのに手に入れたアイテムが普通にしょぼい、全部サバイバルポイントに変えてもポーション1つ分すら足りない
「左腕、動かせるけど穴空いてるから痛いし今度会ったら容赦なく叩き潰してあげよう」
あのアイテム量的にリスポーン地点ここら辺でしょ
とりあえず食べ物と水を飲んでゲージを満タンにしたらHPは回復し始めたしそのうち左腕も治るよね
「まずはこの森から抜け出さなきゃ」
もう森は飽きた、最初の目的である山に行きたい
……良い事思いついた、木を登って山の位置を確認すれば良いんだ!
「よいしょっ」
高い木をヒョイヒョイっと登っていくとすぐに空が見えた
『え、そんな簡単に登れる?!』
『木登りって意外と難しいはずなんだけどなぁ』
『落ちたら死』
『あの……まだ左腕、穴空いてますけど』
コメントでは私の事を心配してくれている人が多かった
「左腕?痛いけど動かせるんだからどうって事ないよ!」
動かないわけじゃないなら我慢すれば全然いつも通り動かせる
何故かHPが回復しないのはこれのせいじゃないよね?減りもしてないし良いか
「山は……あっちの方ね!」
山の位置を確認出来たから一旦降りてその方向に進む、そしてまた迷いそうになったら木登りで確認してを繰り返して遂に森から抜け出すことに成功した
「おお!見事な平原」
森を抜けると見渡せるほどの平原が広がっていた、そしてその先には大きな山が見える
山までは意外と遠そうであった
「ん?なんか近づいてくる……?」
遠くから動く何かが私に向かって来ているのが見えた、モンスターでもプレイヤーでも無さそう?何あれ
「……車?」
真っ赤な車が近づいてきたと思ったら私の横で止まる
「お嬢さん……乗るかい?」
「へ?」
ガチャリと扉が開いていたのはサングラスをかけたサユ
私は驚きのあまり少しの間、固まってしまった
「あれ?おーい、ラビリル?フリーズした?」
はっ!完全に思考停止してた
いや、なんでサユが車に乗ってるの?!てか運転してるよね?
『カッコいい』
『誰か知らないけどラビリルの知り合い?』
『なんでサバイバルに車があるんだよw』
『たまにラビリルと街中で遊んでる子だ』
とりあえず車の助手席に乗ってみた
「何処まで行く?」
「色々と聞きたいことがあるんだけど……あの大きな山まで」
「りょーかい!」
ブンブンとエンジンを鳴らした車が発進した
運転……大丈夫なのかなぁ
「……ん、また会った」
「ノアじゃん、昨日ぶりだね」
「え、2人とも知り合いなの?!」
なんと後部座席にノアが寝転がっていた
「……釣り仲間」
「うん、大体合ってる」
「私も釣りしたかった!」
サユは運転しながらも何かポーションを飲み続けていた
見た目的にMP回復ポーション……?でも飲んでも飲んでも減ってないしどういう事?
「ラビリルが私の事をジロジロ見てくる……!もしかして惚れちゃった?」
「違うよ?!その飲んでも減らないポーションが気になっただけ!」
いちいちサングラスをクイっとあげて私の事を見てくるけど怖いのでちゃんと前見て走ってください
次回は29日、お昼12時に投稿します




