193話 囮作戦成功
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何体目かもう分からないくらい蜘蛛を倒した
「はぁ、はぁ、喉乾いたー!」
動きまくったせいで水分ゲージがかなり減ってしまった、水自体はアイテム欄に沢山あるがメニュー画面をポチポチ押して水を取り出すほどの余裕が無い
「ん?なんか手に付いた」
ペトッとした感覚が手に感じて見ると蜘蛛から出された糸らしきものがくっ付いていた
剥がそうと別の手で触ろうとして思い出す
「この糸、触ったら取れなくなるんだった」
どうにかして剥がそうと考える暇もなく蜘蛛が襲ってくる
「こうなったらこのまま振り回してやる!」
糸が絡まった手を振り回すと繋がっていた蜘蛛が別の蜘蛛にぶつかったりして大変なことになった
「やべ、木に絡まって動けなくなった」
ひとまず振り回したおかげで近くにいる蜘蛛は全て飛んでいったけど蜘蛛の糸が完全に木に絡まって私が動けなくなってしまった
「完全にさっき囮にした人と同じ状態だよ……」
とりあえず片腕が無事なので水を取り出して水分ゲージを回復する
カサカサと音がするから飛ばされた蜘蛛達が私のところに来るのも時間の問題だよね
「何か糸を切れる物は……」
刃物でも切れないのに切れるわけないかぁ
そもそも刃物すら持ってないし――ん?
シャドウスパイダーミニの鎌×12
なんかドロップ品に刃物になりそうなアイテムあるじゃん、使ってみよ
「これで切れないかなー」
現れたのは果物ナイフくらい小さな黒色の鎌
『いや、絶体絶命なのに呑気だなw』
『ゆっくり水なんて飲んでるから蜘蛛がもうすぐそばまで来てますよ』
『何取り出したの?』
絡まっている糸に鎌を当てて切ろうとするが普通に張り付いて動かなくなった
「やっぱりこんなのじゃ切れないね……」
すぐそばまで襲いかかってきた蜘蛛に新たに取り出した鎌で刺してみると一撃で倒せた
この鎌、意外と強いじゃん。あいつがたまたま弱ってただけかもしれないけど
「なんとかして抜け出さないと……はっ!あの方法なら抜け出せる!」
私は確実にこの拘束から抜け出せる方法を思いついた
実行するのにちょっとだけ躊躇ったが死ぬよりはマシなので直ぐに行動した
「絶対に痛いけど……しょうがないよね!」
さらに取り出した鎌で拘束されている手首を思い切って勢いよく切り裂く
「痛ああぁぁ!うぐぐ……痛い」
普段の刃物と違って蜘蛛の鎌だからギザギザでかなり痛い、切れ味も良くないからスパッといかずにノコギリみたいに切ったから相当痛かった
『何するかと思えば自分の手首切りやがったw』
『嘘だろ……』
『絶対痛いじゃん』
『確かに糸は切れなくてもそっち切れば拘束は抜け出せるのか』
拘束から抜け出した私は痛みに耐えながら襲いかかってくる蜘蛛を殴ったり蹴ったりして応戦する
そしてだいぶ数が減るまで戦い続けた
「あと、少し……!」
あれ?よく考えたら全部倒さなくてもこれだけ倒せたなら逃げれそうじゃない?
HPも心許ないし逃げよう!
「あーもう、ラビリルめ!囮にして逃げるなんて許さないか、ら……え?」
なんか目の前でさっき蜘蛛の巣に引っ掛かって囮にした人が現れたんだけどこの人の初期リスポーン位置ここなの?
「ラッキー!じゃあ、後は任せた!」
「ちょ、またぁぁぁ!」
状況が理解出来ていないうちに足を引っ掛けてこの人を転ばせつつ私は全力で逃げた
『不運なプレイヤーだな』
『可哀想』
『お疲れ様です』
『咄嗟に転ばせる判断すこ』
2度目の囮作戦により完全に逃げ切ることに成功した
次回は7日、お昼12時に投稿します




