192話 囮作戦失敗?
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「お、なんかある」
森を適当に進んでいると白い……糸のようなものが見えた
あれは……蜘蛛の巣?引っかかったら大変そう
近づいてみたらなんか蜘蛛の巣がモゾモゾと動いているような気がした、どう考えても蜘蛛だろうけど様子を見にさらに近づく
「あ、どうも……」
「・・・」
蜘蛛の巣にいた……というか引っかかっていたのは女のプレイヤーだった
『先客いて草』
『蜘蛛だと思ったわ』
『この人、どうもとか言ってる場合じゃないだろ』
『しっかり引っかかってるの笑える』
蜘蛛の巣にはこの人だけではなくウサギっぽいモンスターが引っかかっていた
「何してるの……?遊んでる?」
「こんな楽しくない遊びなんてしないって……」
この人の話を聞くにお腹が空いてモンスターを探してたら蜘蛛の巣に引っかかってるウサギを見つけ、奪おうとして自分も引っかかってしまったらしい
「短剣で糸を切ろうとしたら切れずに引っ付いて、それを剥がそうとしたら……みたいな?」
「確かに近くに二つの短剣が引っかかってるね」
この蜘蛛の巣、刃物でも切れないくらい頑丈なんだ。触らなくて良かった
一度引っ付いたら取れ無さそうだもんね
「助けてくれません?お礼ならそこのウサギをあげます!」
「別にそのウサギは貴方のじゃないでしょ……それに助け出す手段がない」
「そんなぁ!」
筋力が低いし刃物も持ってない、どうやっても蜘蛛の巣から助けられる気がしない
ということでこの人には可哀想だけど放置することにしよう、お腹が空いていたとか言ってたしそのうち餓死してリスポーンするでしょう
「「あ」」
何てこと思っていたらすぐ近くにこの蜘蛛の巣の主が帰ってきていた
シャドウスパイダー Lv8
『あ』
『あ』
『終わったw』
『あ』
『さようなら』
真っ黒な蜘蛛が私の方をじっと見つめていた
レベル8……かなり強い、それにこんなに近づかれて何にも音がしなかった
戦ったら勝てるかな……?まあ、負けてもキャンプ場に戻されてデスペナとアイテム落とすくらいだし戦おうかな
アイテムだって木材と水ばっかりだし――ちょっと待って、水中呼吸のスキル落としたらまずくない?!
ただでさえ泳ぐの遅いのに陸まで息が続くか謎だね。うん、負けちゃうダメだ
――――よし、逃げるか!
「じゃ、お達者で」
「ちょ、ちょ!見捨てないでぇ〜!」
ここで負けたらまずいと判断して速攻で逃げた
「ヒィ!私を食べても美味しくないからこっちくるなー!」
背後からは大きな悲鳴が聞こえた
・・・
・・
・
「ふぅ、危なかった」
あの人を囮にする事でなんとか逃げ切った
ノリであんな変なところにキャンプ場設置したけどこんなデメリットがあるとは今の今まで気づかなかった
『あの人、大丈夫かなw』
『ナイス囮』
『良いやつだったよ……』
気を取り直して食べ物探しを……ん?
カサカサと至る所から何かが動く音がした
「うわぁ、もしかして逃げ切れてない?」
シャドウスパイダーミニ Lv1
シャドウスパイダーミニ Lv1
シャドウスパイダーミニ Lv1
・・・
・・
・
さっきの真っ黒な蜘蛛が小さくなった感じのやつが私を囲むように沢山現れたら
私は別に虫とか嫌いじゃないし大丈夫だけど見る人によってはかなりキツイよね、あの花畑の蜂と同じ感じかな?蜘蛛の方がキツい?
『多い多い多い』
『なんか鳥肌が凄い』
『絶体絶命』
『子分的なのに追われてたか』
これだけ囲まれてたら逃げれないし戦うしかない……!
しかもハンマーを振れるほどの広さじゃないから素手で戦うことになるね
「あの親?蜘蛛が来る前に倒さないと本当に死んじゃいそうだし戦おう!」
背負っていたハンマーをポイッと捨てて拳を構えた
そして1番近くにいた蜘蛛を殴ってみる
「あ、意外と柔らかい」
硬い外殻に覆われているかと思えばグニャッと凹んで飛んでいった
私の筋力だと一撃で倒せる事は無いけどあと数発殴れば倒せそうなくらい弱そう
「って危な!」
突然、木の影から蜘蛛が飛び出てきた
もしかしてこの蜘蛛達、影を移動出来るの?!
そりゃ、私が逃げれるわけないじゃん。ここ森だし影沢山あるもん
「ということは……」
私が思っていた通り、そこら中の影という影から小さな蜘蛛達が現れて襲ってきた
瞬時に殴ったり蹴ったりして反撃するが数が多すぎて噛みつかれたり爪で切られたりした
「ダメージは本当に微量しか減ってないけど微毒に微麻痺が……」
状態異常をかなりの確率でしてくる
微毒ではほとんどHP減らないし微麻痺も若干動きにくいかな?程度
効果時間は10秒程度だけど上書きされて実質無限
『頑張れ!』
『状態異常キッツ』
『ラビリルなら勝てるって信じてる』
『ユニークスキルあれば……!』
みんなの期待に応えるためにも頑張らなきゃ!
次回は2日、お昼12時に投稿します




