191話　水中戦（笑）

ボーンフィッシュ　Lv2

なんか食べるところが無さそうな魚が襲ってきた

「スープとか作るならあれで出汁取れるかな？」

問題は水中でどう戦えばいいのかということ、殴るのも全く威力無さそうだし……

こういう時に短剣くらいのサブ武器欲しくなるね、刃物なら水中でも問題なく使えるはず

「そういえばハンマーずっと放置してたし、アイテム欄にしまえば良かった」

でもアイテム欄もイベント用で少ない数しか入らないしなぁ、放置しても誰も奪えないしいいか

なんてこと考えてたらボーンフィッシュが突進してきた

「あっ……ぐへっ！」

案の定、水中で避けることなんて出来ずお腹に直撃した

そこまでダメージは受けていないけどお腹に打撃はちょっと苦しい

『痛そう』

『本来は呼吸出来ないからあの攻撃されたら辛そうだな』

『ラビリル……その調子で水中戦出来るんか？』

確かにこのままで勝て無さそう……

ん？水中戦が勝てないなら陸まで連れてこれば良いんじゃない？

と言ってもどうやって連れてくるのかが問題なんだけど……

ひとまず私はボーンフィッシュを無視して陸へ上がる為に頑張って泳いだ

「ぐへっ！あうっ！痛っ！背中がー！」

私の泳ぐ速度ではボーンフィッシュを撒けるなんてことはなく背中から何回も突進させられた

おかしい、ステータスポイントの半分を俊敏に振ったはずなのに何でこんなにも泳ぐのが遅いんだろう……？

こんなにも突進させられているのにそこまでダメージを受けていないのは防御が高いからなのかボーンフィッシュの筋力が低いのか

何でこと考えていながらも突進させられているとついに陸が見えてきた

「良いこと思いついた！」

まずは相変わらず背中から突進してくるボーンフィッシュに振り向いて上手くキャッチ、受け止める

受け止めて掴んだところで私ごと泳いで逃げそうなので片足を土に向かって思いっきり突っ込んで自分自身を固定した

そして全力でボーンフィッシュを陸に投げる

筋力は低いし水中だから大変だったけどなんとか陸の方に投げる事に成功した

『ゴリ押しすぎるw』

『いや、あの低い筋力でどうやって陸まで投げた？？？』

『発想が凄い』

『なるほど……足を地面に突っ込んで固定するんか』

よし、私も陸に上がって――あれ？

土に突っ込んだ足が抜けない……

力を込めて思いっきり引っこ抜こうとするが固定しようと奥に突っ込みすぎたのか抜けなくなった

「あは、抜けなくなっちゃった！」

『wwwww』

『良い作戦だったと思ったらこんな罠がw』

『草』

『なんかそんな気がしてたw』

『後先考えないからw』

『あらら』

皆んなに笑われながらもコツコツと手で土を掘りながらかなりの時間をかけて足の救出に成功した

「ふ、ふ……待たせたね！これで君は終わりだよ！」

陸に上がるとピチピチと虚しく跳ねるボーンフィッシュが横たわっていた

『まだ生きてて良かったね』

『だいぶ弱ってそう』

『こいつ骨だし呼吸とかあるんか？』

『骨じゃ無かったら多分死んでる』

さて、ハンマーは何処に置いたっけ……？

キョロキョロと見渡すと意外にも近くに転がっていた、大きいから見つけやすかった

「さっきは良くも私のお腹や背中をボッコボコにしてくれたね！言いたいことは……って喋れないか、覚悟〜」

無防備なボーンフィッシュにハンマーを振り下ろす

ボーンフィッシュ自体はほとんど無傷だったが地面にめり込んでいた

「いや、固くない？！無傷じゃん、無傷」

モンスターは体力表示がないから見た目が変わらないとダメージ与えたかイマイチ分からない

このボーンフィッシュは見た目変わらないけどなんか動きは弱っているっぽいんだよね

「まあ、何回も叩いたら倒せるよね」

めり込んだボーンフィッシュを手で引っ張り出して木に叩きつけたり空に飛ばしたり若干遊びながら攻撃した

しばらく遊んでいるとボーンフィッシュのHPが無くなったのか消え去った

ドロップ品……魚の骨×1

「あー楽しかった」

叩いても叩いても壊れないの良いね！

今度あいつが現れたらハンマーじゃ無くて素手で倒してみるのも面白いかもしれない、また運良く陸にあげられたらの話だけど……

さて、ドロップしたのはやっぱり魚の骨ね

『食べられます』

スキルのおかげで食べられるのが分かったから食べてみよう、意外と細めだし

思い切って齧って見ると意外と塩味がきいていて美味しかった、何故塩味がきいているのかは謎

「ちょっと硬いから顎が疲れるけど美味しいね」

さて、魚モンスターを倒すのは私には厳しい気がしてきたしお肉を狙うことにしよう

「お肉探しにしゅっぱーつ！」

魚の骨を食べ終えた私は再度、森の中へと入っていった