184話 初心者潰れる
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「みんな聞いてよ」
バキッと細い時計塔をへし折りながらカメラに向かって話す
『聞いてる』
『そんな簡単に折れないだろw』
『悩みでもあるんか?おじさんで良ければ聞いたるで』
『一般プレイヤーが時計塔に潰されてますよ』
あ、本当だ。なんか初心者っぽい人が潰されてる
「最近、アップデートの影響でどんどん建造物が固くなってさー!全然壊せないの」
『ついさっき簡単に壊してませんでした?』
『ちょくちょく建造物の耐久力を強化しましたみたいな謎アプデはいってたもんな』
『そんなこと考えたことも無かったw』
『それはおじさんでも解決できそうにないわ』
潰された初心者さんが起き上がってキョロキョロと辺りを見渡していた、犯人を探し中?
私と同じかもっと小さな背丈の男の子だね
「そりゃ、このくらいの大きさだったら力を込めれば折れるよ。でも例えばこの噴水……」
始めたての頃によく壊していた噴水、その噴水を思いっきり殴ってみた
しかし壊れるどころかヒビすら入らずびくともしないしなんなら私の手首が大変な事になった
「いたた……こんな感じで多分反射?されるようになっちゃってるんだよ」
『なるほど……?』
『手首折れてますよ』
『痛覚100%とは思えない行動w』
『普通、いたた程度では済まない』
『俺だったら悲鳴あげて強制ログアウトだわ』
『てことはもう壊せないの?』
『手首痛そう……』
痛いは痛いんだけど殴っているって感じで気分は良くなるから我慢できる
「壊せないことは無いと思うよ、全力でスキルを使えばなんとかなると思う。壊せない建物とかアイテムは最近殴ったらメッセージ出るようになったし」
イベント必須アイテムとか壊したら詰むもんね、少し前にぶっ壊したユウリの教会?みたいな建物も見に行ったら治ってたし
ただ中には入れなかったんだよね、扉を壊そうとしたら壊せなくなってた
「おい、さっき僕を潰したのはお前か?」
「ん……?あ、さっきの初心者の子」
キョロキョロと探し回っていた初心者の男の子が後ろから話しかけてきた
私より背が低いと思ったんだけど意外と私より少しだけ大きかった
『潰されてた奴w』
『街中にいるラビリルからは離れろってこのゲームでは約束事だが初心者だし知らんのか』
『誰でも潰されれば怒るわw』
『ほら、ラビリル!謝りなさいw』
え、街中で見られているとやけに私から離れていくのはそういうことだったの?!
とりあえずこの男の子には謝っておこう
「えっと、潰しちゃって?ごめんなさい」
「ふん!そんな簡単に謝ったって僕は許さないからな!」
許してはくれないらしい、めっちゃ怒ってるっぽいけど全く怖くない
「ちょっと凄そうな装備してるから調子乗ってるだけでお前自体は強そうには見えないな!どうせ媚び売って強いプレイヤーから装備を貰ったんだろ!」
「はぁ、違うけど。この装備はお金を払って作ってもらったやつ」
何?この装備が羨ましいの?スカートだけど……?
『実際、ラビリルが媚び売ったら誰でも装備くれそう』
『媚び売りwラビリルなら脅迫だろうに』
『ラビリルの装備ってちょっと凄そうではすまないほどの強さだろうに』
『ラビリルに喧嘩売るクソガキ』
脅迫って……みんな私の事なんだと思ってるの?!そんなことしないって
「嘘だな!どうせレベルも僕と同じかそれより低いくらいなんだろ?」
「ちなみに君は何レベなの?」
「聞いて驚くなよ?……8レベルだ!」
「8レベ……」
「どうだ!凄いだろ!」
あーうん、確かに初心者を抜け出しそうなレベルではあるね。
『8レベルは草』
『このクソガキ面白すぎるw』
『貴方、配信映ってますけど大丈夫ですか?』
『ドヤ顔』
私のレベルは66レベルだね、イベントで色々と倒したし沢山レベルが上がった
「どうしたら許してくれる?」
「そうだな……じゃあ僕と決闘しろ!」
「決闘?それでいいの?」
仕返しとして弱者(仮)の私をボコボコにしようってことかな?
『ユウスケが決闘を申し込んできました』
この子の名前、ユウスケって言うんだ。本名……では無いよね?
「僕が勝ったら有り金全てだ!」
「私が勝ったら?」
「ありえないことだが僕の有り金全てだな」
「よし決まり」
ぽちぽちと承認ボタンを押した
『こいつ終わったなw』
『有り金ぼっしゅー』
『手加減してやれよw』
『ラビリルの有り金全てってどれくらいだろう……』
私の所持金はちょくちょく食べ物やらに使ってるからそこまで無いよ、300万くらい?
普通に大金だった
『決闘開始まで残り10秒……』
アナウンスと共にユウスケは剣を抜いて構え始めた
プレイヤーも沢山集まってきた、多分私の配信からだよね
『ユウスケLv8 VS ラビリルLv66 の決闘を開始します』
次回は26日、お昼12時に投稿します




