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【書籍発売中】転生幼女は教育したい! 〜前世の知識で、異世界の社会常識を変えることにしました〜  作者: Ryoko
終章 アメリア、常識を変える

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セーバの街の変化

 王国のここ最近の様子はそんな感じ。

 なら、セーバの街はどうなのか?

 元々魔力至上主義なんて考えは欠片もない街だからね。

 王家が出した新しい方針もどこ吹く風。

 そんなの今更って感じだ。

 それよりも、もっと重要な問題がある!

 それは勿論、私のお引越しの件。


 この度、私が国主として正式に旧ダルーガ領に新たな国を興すことになったので、セーバの街の領主も他の人に引き継ぐことになった。

 流石に、王家に任命されて領地を治める貴族が、国を捨てて他国に行くのに、自分が発展させた領地だからってその権利を主張するわけにもいかないよね。

 で、正式に爵位と領地の返還をすることになったんだけど…

 ただ、アメリア商会は一応私が個人的に経営しているものなので、独立後も経営権はそのまま認めてもらった。

 まぁ、これは個人資産扱いだからね。

 あと、セーバの街のセーバリア学園も学園都市の分校扱いで、治外法権が認められることになった。

 セーバリア学園は領地の運営で、最終的な権利は王家にあるのでは?

 私がいなくなるとはいえ、現状世界最先端の教育機関であり研究機関である。

 この学園の運営権については、国王陛下もちょっとごねた。

 でも、最終的にはこちらの条件を全て飲んでくれたよ。

 仕方がないって。

 私がセーバリア学園を手放して新たに学園を作るってなった時、ほぼ全ての生徒、研究者、教員が新たな学園への転校を希望したからね。

 生徒や教員にも家の都合はあるし、純粋な研究という意味でも、セーバの海や農地、大森林やモーシェブニ山の魔石と、その土地に根付いた研究をしている者も多い。

 陛下も予算は惜しまないって言ってくれているし、そのままセーバに残ってもいいと思うんだけどね。

 まだ今後どうなるかも分からない新興国に移るより、このままここで学ぶ方が安心では?って話はしたんだけど、誰も聞いてくれない。

 それどころか、子供が転校するなら自分たちも一緒にって言い出す親が続出して…。

 セーバの街に根ざした仕事をしている人も多いのに、最終的にはほぼ全ての住民が、私が作る新たな国への移住を言い出した。

 このままではセーバの街はゴーストタウンになる。

 現状の魔法王国において、稼ぎ頭であるセーバの街が消えたら、それこそ王国は破産しかねない。

 金の卵を得ようと欲張ってガチョウを殺すことになっては元も子もない。

 そんな訳で、現セーバリア学園は私が作る学園都市の分校として認められ、私が経営する私立校みたいな扱いにすることで落ち着いた。

 それと、もう一つ。

 次期セーバの街の領主だけど、なんとサラ様に決定した。

 慣例では、年頃の王家の女子は三侯いずれかの侯爵家に降嫁されるんだけど、今回はそれがセーバ公爵家になった感じだ。

 いや、私が嫁にもらうんじゃないよ!

 私は公爵家を出ていく立場だからね。

 今回は嫁という訳ではないけど、王家と他領との関係を密にするために王家の娘を下賜するという基本的な目的は変わらない。

 そもそもの話、セーバの街を含めたセーバ領は、つい最近まで王家の直轄地だったところだからね。

 跡継ぎがいないなら、王族の誰かがその地位を引き継ぐのに何の問題も無い。


『アメリアお姉さまの街は私が守ります!』


 笑顔でそう言ってくれたサラ様には大感謝だ。

 正直、セーバの街の今後については私もかなり心配だったからね。

 セーバの街のやり方を知ってくれているサラ様なら私も安心だ。

 サラ様はまだセーバの街が小さかった頃からのほぼ初期メンバー。

 街の住民たちにもそれなりに知られているから、サラ様が引き継ぐならということで、住民の大量流出は多少抑えられたみたい。

 それでも、まだ住民の3割くらいは移住を希望しているけどね。

 まぁ、セーバの街への移住希望者は今後も増えるだろうし、セーバリア学園とそれを繋ぐ鉄道や海上ルートもある。

 今後もサラ様が治めるセーバの街との交流は続くだろうから、それほど深刻に悩む必要もないと思うんだよね。

 どちらに住むとかではなくて、両方を頻繁に行き来する人も増えると思うし…。

 それに、レオ君もいるしね。


『レオさんは少々頼りないですけど』


 拗ねたように、照れたように付け足すサラ様がちょっとかわいい。

 そう、サラ様のセーバの街の領主への就任に伴い、サラ様とレオ君の婚約が決まった。

 レオ君のお父様であるアルトさんは、セーバの街の代官だ。

 なんか、影薄いけどね…。

 だから、順当に考えればレオ君はいずれアルトさんの跡を継いでセーバの街の代官になるわけで、女領主の補佐という意味では、ある意味理想的な結婚相手らしい。

 ちなみに、私達がまだ幼い頃は、親たちの間ではレオ君は私の婚約者候補として考えられていたみたい…。

 私が予想外の成長を見せ始めて、その線はさっさと消えたみたいだけど。

 それにしても、最初にその話が出た時、田舎男爵が王女様と結婚って有りなの?って思ったんだけどね。

 王妃様曰く、ある意味理想的らしい。


『下手に身分の高い貴族を婿入りさせたりすれば、サラに替わって自分がセーバの街の実権を、とか考えかねないわ。

 実家の影響も無視できないでしょうしね。

 何より、最優先の指針がアメリアって点は同じだから、領地経営で大きな衝突もないでしょう?』


 そんな経緯もあって、サラ様は今、私と離れてセーバの街を拠点に活動している。

 ちょっと寂しいけどね。

 サラ様も色々と新たに覚えることが多くて大変みたいだけど、セーバの街の商業ギルドに勤めるお友達(サリーさん)が協力してくれているみたいで、なんだかんだと楽しくやっているみたい。

 そう、そのお友達のサリーさん、セーバの街の商業ギルドのギルド長になったんだよね。

 まだ十代のギルド長なんて、前代未聞みたい。

 前セーバ支部ギルド長のルドラさんと秘書のダミニさんが徹底的に鍛え上げた逸材と、商業ギルドでも評判らしい。

 サリーさんは元々サラ様のチューターもしていたし、あの二人ならきっと上手くやっていけると思うんだよ。

 一応、レオ君もいるしね。

 今後のセーバの街の発展が楽しみだ。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

このお話も、この回を含めてあと3話となります。

ということで、明日、明後日と連日投稿します。

ラストまで、今しばらくお付き合い下さい。


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