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【書籍発売中】転生幼女は教育したい! 〜前世の知識で、異世界の社会常識を変えることにしました〜  作者: Ryoko
第5章 アメリア、世界を巡る

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教育感度

「あ、アメリア様、今日もいい天気ですね」


「お、アメリア様。今日は上等なオーク肉が手に入りましてね。よかったら召し上がっていって下さい」


 ジャオジンの街の通りを歩くいつものメンバー。

 私、サラ様、レジーナ、レオ君。

 ただ道を歩くだけで、結構な人たちに声をかけられる。

 知っている人にも、知らない人にも。

 この街で立ち上げたゴム素材関連施設。

 工場や研究施設以外にも、アメリア商会の支店とか社員教育のための学校とかも作った。

 主に魔力の少ない人たちを中心にかなりの雇用が生まれたことで、街の経済や治安も回復。

 人が集まり景気が回復すれば、屋台や飲食店などのサービス業にも客足が戻る。

 ゴム素材関連事業がカンフル剤となり、街にはかつての活気が戻ってきたという。

 それから、もう一つ。


「レジーナ先生、先日は息子がご迷惑を。よろしかったらこれ皆様でどうぞ」


 元々はうち(アメリア商会)の社員教育目的で作った学校を、一般にも開放することにした。

 最初はゴム素材回収の仕事をしてもらう孤児院の子達に、他の仕事をしている同じ孤児院の子にも一緒に文字や計算を教えてもらえないかとお願いされたのがきっかけなんだけど。

 気が付けば友達の友達がその友達をって感じで人数が増えて…

 まぁ、セーバリア学園のシステムは基本教え合い。

 上の子が下の子を教え、教わったことを更に下の子に教えるってやり方だから、多少人数が増えてもそれ程問題はない。

 そうして育った子の中で、見どころのある子はうち(アメリア商会)でスカウトしたりするから、これも所謂(いわゆる)先行投資だ。

 最初は私たち4人で教えていた子達も今では教える側に回って、他の子達に読み書き計算を教えてくれているしね。

 えっ? まだこの街に来て数ヵ月だろうって?

 レジーナ先生の熱血指導を舐めてはいけませんよ。

 セーバリア学園発足当時から(つちか)ってきた指導力は、もうベテラン教師の域だ。

 多分、指導力では私、既に追い越されてるね…

 それに元々、ここ連邦の人たちは魔法王国の人たちと比べて学習意欲が高い。

 学問の価値を知っているから、それをタダで教えようなんて人は滅多にいないけど、もし学べる機会があるなら是非学びたいって人はかなり多いのだ。

 この街に作った学校に想定外に生徒が増えたのも、自分の子供に教育を与えてもらった親が私たちに非常に協力的なのも、その辺の意識が大きいのだと思う。

 セーバの街で初めて学校を作った時の大半の住民の無関心さを考えると、やはり連邦は王国(うち)よりも進んでいるなと感じるね。

 貴族のお嬢様の道楽で貴重な家の労働力が奪われると、陰口を叩かれた時とはえらい違いだ。

 まぁ、あの頃と今では私の持つ社会的信頼度?みたいのが全然違うから、一概に比較はできないんだけど…

 やはり魔法王国は知的レベル的な意味でかなり後進国だと思う。

 国の権威が暴力(魔力量)だけで維持できた時代なら良かったんだろうけど…

 これが経済戦争とかになったら、今の魔法王国なんてひとたまりもないんだろうね。

 今度国に帰ったら、その辺りのことも一度お父様(宰相)や国王陛下とお話しした方がいいかもしれない。

 もっとも、私が話さなくても、今なら王女殿下(サラ様)がきっちり進言するだろうけどね。

 ただ、それがいつになるかは全くの未定だけど…


「そういえば、サラ様って(たま)には通信で陛下や王妃様とお話したりするの?」


 ふと思いついて聞いてみた。

 私たちの旅の主な移動手段は鉄道。つまり、駅舎に常備されている通信施設を利用できる機会はとても多い。

 私も主に仕事の指示なんかでセーバの街とはよく直接やり取りするし、サラ様も私が知らないだけで国王陛下や王妃様には旅の様子とか伝えているのかなぁ、と…


「えっ、いえ、全然ありませんよ。私の安否確認だけならお姉さまとセーバの街とのやり取りで無事なのは伝わるでしょうし…」


「…いや、そういう問題か? せっかく王都とも直接通信できるんだから、ちょっとは無事な声とか聞かせてやらないと親は心配するだろ」


 そんなレオ君に対して、サラ様は…


「レオさんは甘いです。もし直接お話して、国王陛下(お父様)にその場で帰って来いなんて言われたらどうするんですか?

 文章(てがみ)なら受け取っていないって突っぱねることもできます。旅先での手紙の行き違いや紛失はよくあることですから。

 でも、通信で直接国王陛下から帰国命令を出されたら、もう言い逃れようがないじゃないですか!

 レオさんは自覚が無いようですけど、一応レオさんもアメリアお姉さまもモーシェブニ魔法王国の貴族なんですよ。

 国王陛下(お父様)には一応、建前上ですけど、私だけでなくお姉さまたちにも帰国命令を出す権利があるのです。

 私の迂闊な行動でこの旅を終わらせるわけにはいかないじゃないですか」


 常識人だけど感覚は限りなく平民なレオ君と、王族としては非常識な行動を王族らしい計算高さでするサラ様。

 まぁ、どっちもどっちだけど、私もこの旅が終わるのは困るから、ここはサラ様の意見に賛成ってことで…


「セーバの街経由の報告だと、今は王宮の方も何かと忙しいみたいだから…

 下手に接触してまた厄介事を押し付けられても困るし…

 国のあれこれは大人に任せて、私たちは将来のために見聞を広める旅を続けましょう」


 触らぬ神に祟りなし。

 臭いものには蓋?

 王国内の急激な変化(ほぼ全て私が原因?)に大わらわな王宮の実情には知らぬ存ぜぬを決め込み、私たちは異国の街での一時(ひととき)を楽しむ。

 蓋をした鍋の中身が、だんだんと大変なことになっていくのに気付くこともなく…


明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

m(_ _)m


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