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【書籍発売中】転生幼女は教育したい! 〜前世の知識で、異世界の社会常識を変えることにしました〜  作者: Ryoko
第5章 アメリア、世界を巡る

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実験

「いやぁ、死ぬかと思った!」


 ゴム山から助け出したレオ君は、外の新鮮な空気を味わうように大きく息をする。


「そんな大袈裟な。酸素ボンベがあるのですから、それ程苦しくはないでしょうに」


 そんな憎まれ口を叩くのは、レオ君の前に先に救出されたサラ様。

 ちなみに、レオ君が使ったのはダルーガ伯爵の毒煙対策で開発した空気を作り出す魔道具で、サラ様の方はその魔道具の元となった風魔法。

 ゴムで覆われて窒息させられるのは分かっていたからね。

 当然、その対策はバッチリだ。

 直接身体に体液が触れないよう少し隙間のある全身鎧で身を包んで、たとえ体液で動きが封じられても魔法や魔道具は使える状態にしておいた。

 そうして鎧表面に体液をたっぷりかけてもらい、こちらが欲しいゴムを回収するという作戦だ。

 つまり、サラ様とレオ君には餌役になってもらったってわけで…

 私の中でサラ様の扱いがどんどんアレになってきているのは自覚してるよ。

 ダルーガ伯爵の時にも似たようなことをやらせちゃってるけど…

 今回のは、本当に、誤解無く、文字通り、“餌”だからね…

 まぁ、今の扱いにサラ様も不満は無いみたいだし、私自身もうサラ様は身内で妹分って感覚になっちゃってるから、もうこれでいいかって思っている。

 レオ君の扱いは、今更だしね…


「では、次、レジーナお願いね」


 きれいにゴムを剥がされた鎧を今度はレジーナが身につける。

 レジーナの魔力は100ちょっと。

 ギリギリ三桁ってくらいだから、二桁の低い魔力の者に体液攻撃は無いって目安だと、微妙なところなんだよね。

 これでレジーナも襲われるようだと、同じ二桁でも魔力の高めの者は安心できないってことになる。

 で、レジーナに同じように試してもらった結果だけど…

 結論。レジーナへの攻撃は全く無し。

 これで、少なくとも100MP以下の相手なら、ゴムの採取には全く問題無いことがはっきりした訳で…

 そうすると、次は…


「レオ君とサラ様は無理だから… レジーナ、もし攻撃が来たら回収よろしく」


 私は鎧を着込んで、魔石の詰まった袋を手に持ってゴムゴーンに近づいていく。


 ビュッ べちゃ〜


 突然こちらに向かって何かが飛んでくる音が聞こえたと思った瞬間、大量の水を頭からかけられたような衝撃を受けた。

 幸い、鎧のお陰で身体に触れるのは避けられているけど…

 やっぱ、気持ち悪い!

 それに臭いもちょっと…

 そんなことを考えている間に体がどんどん重くなって…

 う、動けない!

 魔力で身体強化しているはずなのに、足も腕も全く動かせない。

 その間も恐らく体液をかけられていると思われる衝撃は断続的に続いて…

 気が付けば着ている鎧はぴくりとも動かなくなっていた。

 それに、外の音も聞こえない。

 風魔法のお陰で呼吸はできるけど…

 なんだか琥珀に入った虫の気分…

 これ、閉所恐怖症の人とかだと瞬間で発狂するな…

 助けてもらえるのは分かっているけど、やっぱりこれは怖いね…

 先にこの気分を味わっていて文句の一つも出ないレオ君とサラ様って、本当にいい子たちだと思うよ。

 そんなことを考えていると視界に影が映り、続いて自分の体が傾いて運ばれていくのが分かる。

 どうやら救出に来てくれたらしい。


「ふぁ〜ッ 助かった! みんな、ありがとうね」


 無事ゴム山から救い出された私は、みんなにお礼を言う。


「いえ、ご無事なようで何よりです」


「うん、ありがとう。でも、これで、魔力さえ感じれば生き物でなくても反応するのは分かったね。

 そうすると、次は…」


 その後、今度は大量の魔力を籠めた魔石を一つだけ持っている場合、

 また、ゴムゴーンのテリトリー内に魔石を詰めた袋のみを投げ入れた場合などについても実験を繰り返した。

 こうして様々な実験を繰り返して分かったこと。

 ゴムゴーンは、たとえ生き物ではなくても魔力さえ発していれば何にでも反応するということ。

 そのため、それがただの魔石であっても、強い魔力の気配さえあれば攻撃対象となること。

 ただし、反応するのは表面から感じられる魔力で、いくらたくさんの魔力を含んでいても、表面から発する魔力が極わずかの魔石単体には反応しないこと。

 逆に、魔石に含まれる魔力の総量は少なくとも、たくさんの魔石を詰めた袋に対してはゴムゴーンは反応するということ。

 そう、ここ重要。

 魔石って、いくら大量に魔力を籠めてあったとしても、一度に出力できる魔力量は1MPから多いものでも精々10MPくらい。

 だから、魔石を使った魔道具では大した魔法は使えないってことなんだけど…

 まぁ、それはいいとして。

 魔石一個が発する魔力の気配は極僅かだけど…

 例えば1MPくらいの魔法しか使えない程度の気配だったとしても、それが200個集まっていれば200MP。

 そこそこの魔力の気配になる訳で…

 つまり、袋の中に魔力の蓄積量は極僅かのクズ魔石をたくさん詰めて、それを安全圏からゴムゴーンのテリトリー内に投げ入れれば、ゴムゴーンはそれを敵と誤認して体液攻撃をしてくれるってこと。

 あとは、攻撃が収まったところで魔力の少ない人がそれを回収してくれば、安全にゴム素材の回収ができる。

 一通りの実験を済ませ、勿論回収したゴム素材もしっかり持って、私達はジャオジンの街まで戻っていった。


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