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第4章 アメリア、ダルーガ伯爵の野望を打砕く

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これにて一件落着

 連邦議長が手配してくれていた傭兵部隊の手によって、ダルーガ伯爵が連行されていく。

 議長様曰く、死刑はほぼ確定だとか…

 直接の罪状は他国の王族への襲撃。

 最悪戦争の引き金ともなりかねないダルーガ伯爵の蛮行に対して、流石にどこからも擁護の声は出ない。

 まぁ、王族襲撃自体は意図的に仕向けたわけだけど、今までにダルーガ伯爵がやらかしたあれこれを考えれば、これも当然の結果だと思う。

 証拠がない、裁ける法がないってだけで、ダルーガ伯爵に酷い目に遭わされた人はたくさんいるのだ。

 商売の自由を何よりも尊ぶビャバール商業連邦とはいえ、流石にダルーガ伯爵はやり過ぎた。

 ダルーガ伯爵領も連邦最高議会の預かりとなり、ダルーガ伯爵家は完全にお取り潰し。

 ダルーガ伯爵の研究資料諸々も全て没収。

 議会の管理下に置かれることになった。


「うまくいってよかったですね、アメリアお姉さま」


 私の役に立てたことが嬉しいらしく、満足気に微笑むサラ王女殿下だけど…

 本当は、今回の作戦にはサラ様を連れて来る予定はなかったんだよね。

 いくら議長が手配した傭兵部隊のサポートがつくとはいえ、ほぼ単独での敵地への潜入。

 自分を餌にした囮捜査紛いの作戦だ。

 相手を油断させるためにも、連れて行く人数は最低限。

 何かあっても、自力で対応しなければならない…

 まぁ確かに、王女殿下が一緒ならこの作戦は最大の効果を発揮する。

 私(の知識)に執着しているらしいダルーガ伯爵なら、確実に喰いついてくる。

 既に追い込まれ、冷静な判断力を欠いた今なら、ダルーガ伯爵はこちらの期待通りの行動を取ってくれるだろう。

 その相手が私ではなく、王族たるサラ様ならその効果は絶大だ。

 たとえ公爵とはいえ、他国の一貴族に過ぎない私なら、事は同じ貴族同士の諍い。

 おまけに、私のことを知っているダルーガ伯爵が、私に対してすぐに手荒な行動に出てくれるかは分からない。

 実際、最初の催眠ガスは兎も角、その後の私に対する対応は比較的丁寧だったしね…

 今回、ダルーガ伯爵の領地内、屋敷内でのいざこざに対してその場で重罪認定できたのは、その相手がサラ様であったことが大きい。

 ここまでスムーズに話が進んだのは、ひとえにサラ様の協力あってこそだ。

 とはいえ、一国の王女様を囮捜査の餌役に使うのにはかなり抵抗があったんだけど…

 

『お姉さまとのこのような旅は初めてではありませんから…

 今更国王陛下(お父様)王妃殿下(お母様)も何も言いませんよ。

 連邦へのお忍び旅行は初めてではありませんし、危険というなら火蜥蜴(サラマンダー)やゴーレムの方が余程危険です。

 列車襲撃事件の際には私も命を狙われましたから、ダルーガ伯爵への恨みは私も同じですしね』


 笑顔で言い切るサラ様に対して、何も言えない私…

 不可抗力の部分も多々あるとはいえ、思い返せば自国の王女殿下をかなり危険に巻き込んでいる自覚はある。

 アメリアお姉さまを狙うなんて許せないと息巻くサラ様に、私は何も言い返すことができなかった…


 そんなこんなでダルーガ伯爵の屋敷と研究施設の家宅捜索は順調に進み、発見された顧客名簿等から薬による被害状況等も徐々に明らかになっていった。

 そんな中、私は1年ぶりにラージタニーからやって来た連邦最高議長様との会談に臨んでいる。


「サラ王女殿下、アメリア公爵、この度は我が国の者が大変な迷惑をかけ申し訳なかった。

 ダルーガ伯爵の件については、こちらで責任を持って対処させていただく」


 そう言って、頭を下げる連邦議会議長。


「どうか頭をお上げ下さい。

 こちらも身分を隠してのお忍びでの旅でのこと。気にはしておりません」


 笑顔で連邦最高議会議長からの謝罪を受け取るサラ王女殿下。


 これにて儀式は終了。


「さて、では改めて今後の計画だが…」


 ダルーガ伯爵の排除も無事終わり、最高議会の方の理解も得られた。

 特にダルーガ伯爵の薬被害に遭っていた議会メンバーは好意的で、私の鉄道計画に協力は惜しまないと言ってくれているとか…

 お陰で、計画は急ピッチで進められており、この流れに乗り遅れまいと、早くも鉄道工事の打診がラージタニーに派遣したセーバの使節団に寄せられているらしい。


「今回の件で、ポールブだけでなくバンダルガの港の方も大々的に使えるようになる。

 今までのように隠れて事を進める必要もない。

 今回の鉄道計画の予定地から外れてしまった領地は、何とか自分の領地にも鉄道を引けないかと虎視眈々と狙っておるし、予定地の領主も下手にゴネれば他所に持っていかれるのは分かっておるからな…

 どの領も我先にと準備を進めておる。

 もっとも、今後の発展を見越して駅周辺の土地や建物を買い漁る商人なども出てきておるが…

 まぁ、色々と問題は絶えんが、全体としては連邦(こちら)の方は順調な滑り出しだな」


「それは何よりです。こちらの方も、少し派遣する職人の数を増やさないといけませんね」


 議長様の話だと、連邦国内の鉄道工事は予想以上の速さで進みそうだ。

 そうなると、あとはザパド領の方だけど…

 私達がセーバの街を発った時には、まだクボーストの籠城は続いていた…

 ソフィアさんがやられるとは思わないけど、相手はあのキルケ嬢だし…

 なかなか過激な人みたいだからね…

 うまくクボーストを開放できてればいいんだけど…


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