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【書籍発売中】転生幼女は教育したい! 〜前世の知識で、異世界の社会常識を変えることにしました〜  作者: Ryoko
第4章 アメリア、ダルーガ伯爵の野望を打砕く

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大陸横断鉄道計画1 〜連邦最高議長視点〜

(連邦最高議長視点)


「むぅ…」


「そちらにとっても悪い話ではないと思いますよ。

 貴国の経済発展という意味もありますけど…

 今のままですと、何かと(議長様への)風当たりも強いのではありませんか?」


「………ッ」


 数日前に(アディ)を紹介したいと我が家にやって来た息子(ルドラ)が、今度は()()を紹介したいとやって来た。

 ふん、随分と歳の離れた友人もいたものだ!

 アミーという名の未成年の少女は、、アメリア公爵。

 目下、わしにとっての最重要取引相手であるセーバの街の領主様だ。

 それが、今わしの目の前に座る少女な訳だが…


セーバの街(うち)としましても、交易路は複数あった方が安心ですし、内陸に領地を持つ方々とも良い関係を築きたいですから」


 こちらの事情は承知の上か…

 セーバ〜ポールブ間の海路が整ったことで、今わしの治めるポールブの街は好景気に見舞われている。

 そして、その皺寄(しわよ)せをもろに喰らっておるのが、魔法王国との内陸の交易路に支配地を持つ領主や商人たちだ。

 奴らにしてみれば、わしに全ての客を奪われたかたちになる。

 別に、わしが何をしたという訳でもないのだから、文句なら海路を整えたセーバと、クボーストの国境の使用を禁じた倭国に言ってもらいたいものだ。

 奴らも逆恨みであることは理解している。

 だが、理屈と感情は別…

 商売は自由競争が原則である以上、表立って文句も言えないだろうが…

 このままこの現状を放置しては、場合によっては内乱や国の分裂もあり得る…

 商売の勝ち組だから、連邦議長だからと、楽観できる状況でもないのだ。


 (この娘、それを分かっていてッ…!)


 アメリア公爵の噂は、勿論聞いていた。

 いや、積極的に情報も集めていた。

 だが、正直なところ、こちらに届けられる噂は眉唾なものばかり…

 10歳(とお)にも満たない、魔力も持たない貴族の娘が、あの羅針盤やウィスキーを自力で発明したという…

 その娘が村の子供達と作った学校は、貴族の子弟が通うモーシェブニ魔法学院以上のレベルだと?

 例の魔石で動くという船も、列車も、全てアメリア公爵が発明した?

 近年、急激に発展したセーバの繁栄と、あのザパド領の衰退が、全て目の前の少女の手によるものだと!?

 そんなもの、ふつう周囲の大人がやっていると思うだろう!

 というか、あの男と小娘ならやりかねん、、いや、むしろ奴らの仕業だろうと…

 過去、連邦でやらかしたあの親娘の所業を思い出し、そう納得していたのだが…

 その割には大賢者(あの男)の名も、アリッサ公爵(小娘)の名も、全く報告に上がってこないのはどういうことかと…

 だが、実際に会って話してみれば…

 報告にあった数々の実績、あれらは確かに目の前の少女、アメリア公爵の手によるものだろうと納得もいった。

 確かに、この娘は賢い。

 その知識は勿論、他国の長を前にしての、この交渉術も度胸も…

 その見た目や年齢、魔力量といった色眼鏡を外せば、その実力は百戦錬磨の大商人に全く引けを取らぬもの。

 たとえ連邦議長(わし)であろうとも、軽々に扱っていい相手ではないことは分かる。

 だが、だからといって! たとえ事情があったとはいえ、堂々と身分を詐称した上で、突然他国の国家元首の元に押しかけてくるのはどうなのだ!?

 おまけに、“連邦の繁栄のため”等といいながら、わしの弱みにつけこんでくるとは…

 本当に、あの男(大賢者)小娘(アリッサ公爵)を思い出す…

 関与はなくとも、血は盛大に引いているということか…

 全く、無理難題を持ち込んでくれる!

 大陸横断鉄道計画…

 これほどの大事業、もしやろうとするなら、わしにかかる精神的、肉体的負担は相当なものだぞ!

 現状でも、国内はダルーガ伯爵に内陸の交易路の衰退、国外は帝国と、何かと心労が絶えないというのに…

 だが、仮にこの鉄道計画が実現するとなると、内陸の交易路の問題は方が付く。

 それに、計画実現のためには、ダルーガ伯爵の抑え込みは必須。

 おまけに、アメリア公爵とダルーガ伯爵は敵対関係にあるという…

 ならば、ダルーガ伯爵への対応をアメリア公爵に押し付けることも可能か…

 問題は… 


「いやぁ、参った、、

 アメリア公爵の噂は聞いていたが、なるほど、噂以上のようだ。

 こうなれば、わしも腹を割って話そう。

 確かに、こちらとしても、内陸の交易路を何とかしたいという考えはある。

 先程の話を聞く限り、確かに連邦(こちら)のメリットも大きい。

 列車というのも、実物を見たことはないが、噂を聞く限り素晴らしいものなのだろう。

 わしとしても、()()()()()アメリア公爵の計画に協力したいのだが…」


「予算、ですか?」


 そう、これが一番の問題だ。

 欲を言えば、連邦国内の鉄道敷設についても、全てセーバの方でやってもらいたい。

 我が国は許可を出すだけ、というのが望ましい。

 後は、利権だな…

 内陸の交易路が復活するのだから、鉄道が通るだけでも連邦には十分利益がある。

 だが、そうかと言って、その鉄道から発生する利益を、全てセーバに持っていかれるのも面白く無い。

 運営は共同で行うとして、そこから発生する利益の何割を引き出せるかが交渉の肝か…


「うむ、我が国は商業の国。

 アメリア公爵の鉄道計画が、如何にこの世界全体の経済発展に貢献するかも理解できる。

 その計画に許可を出すのは(やぶさ)かではない。

 だが、連邦(こちら)としても、金銭的な協力までは…」


 “許可”は出すが、“金”はそちらで用意しろ。

 そう言ったわしに対して、目の前の少女は…


「あぁ、お金は実際に鉄道が通ることになる土地の領主に出させれば問題無いでしょう。

 鉄道の建設と、開通後の運営はセーバ(うち)が引き受けますけど、予算の方は各領地の自己負担で御願いします」


「……はっ?」


 この娘、何を言っておるのだ?


すみません。

長くなりそうなので、一旦切ります。


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