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【書籍発売中】転生幼女は教育したい! 〜前世の知識で、異世界の社会常識を変えることにしました〜  作者: Ryoko
第3章 アメリア、教育改革をする

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王国軍強化

 この国の人材強化。

 それは勿論、学院の生徒に限ったことではない。

 というわけで、今日は王宮に来ている。

 王妃様とのお茶会、じゃないよ。

 今日用があるのは訓練場の方。

 それも、特別の。

 ここは普段王族なんかも訓練に使う場所で、当然一般兵の立ち入りは禁止。

 今ここにいるのも、全員この国を支える上級貴族や軍の指導的立場の人達ばかり。

 勿論、王妃様とお父様による厳しい選別をくぐり抜けてきた人達で、王家と私にとって危険な人物は誰もいない。

 それもそうだよねぇ……。

 訓練には、国王一家も混じってるし……。

 そう、この訓練には、国王陛下、王妃様、それにライアン殿下も参加している!

 私が今後のために、セーバの魔法技術の一部を王国軍にも公開したいという話をしたら、王妃様が真っ先に喰いついた。

 それなら、私にも教えなさい!って……。

 魔法技術は、個人にとっても領地にとっても財産であり防衛の要。

 それを無理やり聞き出そうとするのは、たとえ貴族、王族であっても許されない。

 だから、私が言い出さない限り、無理やりそれを聞き出そうとは王妃様もしなかったんだけど……。

 でも、教えてくれる機会があるなら、遠慮はしないらしい。

 王族の皆様には別に時間を作りましょうかって言ったら、だったら一般の訓練と王族のための指導のどっちも参加するって言い出した。

 教えてもらえる機会は、多いほどいいからって……。

 ちなみに、サラ様はこの場にはいない。

 今頃は研究会の方で、新人教育に励んでいると思う。

 レオ君とレジーナをこちらに連れて来ちゃってるからね。

 だって、流石にこの人数を一人で教えるのは大変だし……。

 いくら教えるのが太極拳と気功の型だけでも、ここにいる全員には流石に目が届かない。

 細かな型の修正とかも考えると、アシスタントは絶対に必要だ。

 それに、2人には試金石の役目もしてもらわないといけないしね。

 ここに集まった貴族は、確かに王家に忠誠を誓っていて、私のことも認めてくれている人達かもしれない。

 でも、それと一般の下級貴族や平民に対する態度は別だ。

 あまり酷いのは流石にいないけど、この国の貴族である以上、平民に対する多少の選民意識は誰でも持っているだろう。

 私だって、相手を実力で判断するところはあるからね。

 だからといって、将来私や私の身内の敵になりそうな人材を鍛えてやる気は無い。

 だから、訓練では私が皆の前でお手本になる型を見せて、それを真似させながら、細かなところをレジーナとレオ君に直させている。

 勿論、2人には私の意図を伝えた上で。

 太極拳や気功の型って、お手本を見て真似るだけでも多少の効果はあるけど、本当に成果を出そうと思ったら、ちょっと見ただけでは分からない注意点がたくさんあるんだよね。

 細かな体重移動や肘のちょっとした角度から、本当に見ただけでは分からないイメージの仕方まで……。

 しかも、人それぞれに体の癖も違うから、誰にでも同じアドバイスが当てはまる訳ではない。

 分かる人間が細かくチェックして、やっと正しい型に仕上がっていくんだけど……。

 レオ君や、特にレジーナの注意って、見ていると本当に真面目に聞く人と聞かない人で、はっきりと分かれるよね。

 2人にも、態度が悪かったり真面目に話を聞かない相手には、適当に教えればいいって言ってあるし……。

 見た目の区別は初心者にはつかないから、自分が手を抜かれてるって事にも気が付かないしね。

 ここの指導も始めて数カ月。

 そろそろ結果に差がついてきてるね。

 レジーナの言うことを真面目に聞かなかった人も、表面的な型だけはしっかりと覚えているし、真面目に練習もしてるから、一体何が悪いのか理解できない様子。

 この調子で実力に差がつけば、自然に上層部には身分や魔力に偏見の無い人材だけが残ると思う。


 そんなことを考えつつ、ざっと周囲を見渡すと……。

 女性陣の方が優秀かなぁ……。

 この訓練には、軍属ではない文官や家庭に入った女性貴族も参加している。

 たとえ文官や女性であっても、上級貴族である以上魔力量的には大戦力だからね。

 非常時に備えるなら、訓練しておいて損は無いだろう。

 というわけで、王妃様が自分の派閥の女性貴族にも声をかけたんだけど……。

 予想以上に希望者は多かったらしい。

 結婚して家庭に入ったはいいけど、毎日魔石に使わない魔力を溜めるだけで、魔法など使う機会は全く無い。

 旦那は女性が危険な戦地に立つ必要は無いって言うけど、このままではせっかく学生時代に鍛えた魔法の腕も鈍ってしまう。

 何より、偶には自分も大魔法を使ってスカッとしたい!

 そんな有閑マダムの退屈しのぎで参加したご婦人方の進歩が、予想外に凄いね……。

 理由は思いつくけど……。

 普段から魔法を使う機会の多い軍属の男性貴族と違って、彼女達には魔法を使う際の変な癖がついていない。

 だから、魔力の流れもとても素直だ。

 訓練の成果に対してのプレッシャーも無いから、みんな肩の力を抜いて楽しんでいる。

 こと太極拳の練習において、リラックスできるかどうかはとても重要な要素だ。

 女性陣に関しては、本当に王妃様と気が合う相手にしか声を掛けてないから、平民のレジーナに偏見を持つような人もいないしね。

 試しに使ってみた攻撃魔法が、軍属の旦那さんの魔法より遥かに強力だったそうで、戦闘は男に任せておけと威張っていた軍属の男性陣は、相当に焦っているらしい。

 国の危機には澄ましていられた男性貴族も、家庭の危機は恐いってことかな。

 軍の上層部に危機感が生まれたのはいい事だ。

 で、そんなご婦人層のお陰で、特に女性貴族の社交界では、私の評価は爆上がりらしい。

 今までも、セーバ産の精巧でセンスの良いアクセサリー、魚介類を中心とした美味しい料理、便利な魔道具と、私の実績に対する評価はかなり高かった。

 でも、それって、どちらかというと商人とか職人とか、要するに平民カテゴリーでの実績な訳で……。

 評価はするけど、貴族の実績としては素直に認められない。

 そんな感じだったらしい……。

 私はパーティーとかお茶会とかは殆ど行かないから、その辺よく分からないけどね。

 それに対して、今回の訓練。

 その活動は国を守る兵力の強化で、正にこの国の貴族本来の役目!

 非常に貴族社会で受け入れやすい実績らしい。

 それを、女性社交界のトップに君臨するご婦人方が褒めちぎる訳で……。

 今までは褒めるのが王妃様だけだったから、親友の娘に対するフォローって取られていたらしいけど、それに他の上級貴族も加わると話は別ってことで……。

 結果、貴族社会での私の評価はカンスト状態。

 完全に、この国の貴族として認められたらしい。

 これ、きっと今回の仕事に対する王妃様の報酬だよね?

 これで貸し借り無しねって微笑(わら)う王妃様が想像できるもの。

 まぁ、今回の報酬は国王陛下からきっちり貰ってるから、別にいいんだけどね。

 そう、今回の王国軍強化で私が得た報酬。

 大神殿の禁書庫への入室許可!


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