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【WEB版】底辺探索者は最強ブラックスライムで配信がバズりました! ~ガチャスキルで当てたのは怠惰な人気者~  作者: 御峰。


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第61話 ちゃんと引いてやるから

 宙に浮く紫色のカプセル。


 手を伸ばすと、パカッと開いたカプセルの中から現れたのは――――、一枚の紙だった。



《筋力上昇チケット:ギフト【ガチャ】を持つ者の筋力ステータスを上昇させる。》



 そして、すぐにその場からサラサラと灰になって消えた。


『初SSR灰になって草ww』

『もうちょっと演出ないのかよww』

『てか、ただの紙がSSR? 内容は?』


「どうやら俺しか適用されないチケットだったみたいだ。名前は筋力上昇チケットで、俺の筋力ステータスとやらを上げてくれるらしいけど、どれくらい上がったのか、上がって何がどうなるのかは分からない」


『一応当たり? おめでと~』

『そんなことよりも、後ろのゾンビを何とかしろww』


 コメントに我に返って後ろを見ると、ゾンビ化したシホヒメが、絶望的な表情を浮かべて、白いカプセルを必死に開けようとしている。


 カプセルは俺が開ける意思を示さないと開かないんだよな。


「シホヒメ~開けるぞ~」


「枕あああ~!」


 開けるを念じると、白いカプセルが次々と開いた。


 中から現れるのは、高級なお肉や野菜セット、お酒がまた登場。


 肉野菜はいいけど、酒はいらないんだよな……今度、リリナ達にでもあげるか。


 …………そういや、リリナ達から迫られた答え、まだ返せてないな。てか……付き合うってどうするんだよ……女子と付き合ったこともないし、手を握ったことも…………シホヒメはあるか。むしろ抱きかかえたこともあるわ。


 必死に最後の白いカプセルを開けようとしているゾンビヒメ(・・・・・)が見える。


 なんか、誰と誰が付き合うとか、そんなことどうでもいいというか、ゾンビヒメをシホヒメに戻すのが俺にしかできないというか。


「シホヒメ。俺が直接開けるよ。多分枕出る気がする」


 凄まじい形相で俺を見つめたゾンビヒメ、白いカプセルを持ってカサカサってガニ股で走ってきた。


「枕ぁ……枕ぁ……」


「はいはい。ちゃんと引いてやるから、そうゾンビゾンビすんな」


 ゾンビヒメの頭を撫でてあげて、白いカプセルを手に取り――――両手で捻って開いた。


 中から光と共に現れたのは――――夢にまでみたU字作りの枕。つまり安眠枕だ。


「枕あああああ~!」


 ゾンビヒメがぴょ~んと飛んで、俺が手に持っていた枕にダイブする。


「うわっ!? それはまずい! ここで寝るな!」


 だがしかし、時すでに遅し。手に持っていたせいで透明化しなかった枕に、ゾンビヒメがダイブして眠りについてしまった。


「うわぁ……せめて風呂に入ってから寝ろよ」


 スヤ~と幸せに眠るシホヒメの顔を見て、少し安堵する。


 まあ、いっか。


『ちゃんと引いてやるから』

『ちゃんと引いてやるから』

『ちゃんと引いてやるから』

『ちゃんと引いてやるから』

『ちゃんと引いてやるから』


「や、やめろおおおお!」


 俺の台詞がコメントに大量に流れた。




 ◆




 枕を抱きかかえたまま眠ったシホヒメを、リンが俺の背中に付着させてくれて、家まで連れて帰った。


「あら~志保ちゃんは寝ちゃったんだね~部屋に運んでおくわね~」


「えっ? 大丈夫ですか?」


「問題ないわよ~」


 そう話した美保さんは、シホヒメを軽々と持ち上げて二階に持って上がった。


 美保さん……見た目と違って、めちゃくちゃ力持ちなんだな。最初シホヒメを担ぐとき、片手で持ってたぞ……。


 それからは美保さんが用意してくれた食事を食べて、今日獲得した肉やら野菜やらを美保さんに渡して、いつもの風呂に入る。


 最近毎日風呂に入れるのも非常に嬉しいというか、以前住んでいたアパートはシャワーくらいだったからな。水代というよりはめんどくささが勝ったからなんだけど、こうして毎日湯船を作ってくれる美保さんには、感謝しても感謝しきれない。


 ただ一つ。いい加減、俺のことを「エム様~」と呼ぶのはやめて欲しいけどな。


 風呂から上がって、眠るシホヒメ以外でアイスを食べて、少し談笑してそれぞれの部屋に戻った。




 何とか安眠枕一つ取れたし、明日も出たらいいな。


 てか、試練の効果、あまりにも高すぎない? もし次、試練があったら、安眠枕がより出なくなるってことだろ? そうなったら一千連に一つ出るとか……シホヒメにとっては地獄の地獄だな。


 永(続安)眠枕が出てくれたらいいけどな。あるか知らんけど。


 部屋の電気を付けると、何故か俺のベッドがモコッとなってる。


 まさか…………。


 布団を退かすと、いつの間にか着替えさせられたシホヒメが俺のベッドで眠っていた。


 いやいや、美保さん!? ここ俺の部屋なんですけど!?


 このままシホヒメの部屋に運ぶか……?


『やだ……ここ……ご主人しゃまの部屋……』


「いやいや、そういうことじゃなくて、シホヒメをだな」


『このままで……いい……』


 あ~これ聞かないやつだ……。


 その日は仕方なくシホヒメと同じベッドの中で眠りについた。


 ちょっとだけシホヒメの優しい香りがして、気が付けば一瞬で眠りについた。

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