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劇場型転生:元ヤン男性、ホラー映画のヒロインになる  作者: 依馬 亜連
第2章

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94/100

88:ポストクレジットシーン

スタッフロールの後にある、オマケ的な。

 ――なお、日本人である高田は知らなかったのだが。

 『フロム・ジ・アビス』ならびに『霊媒探偵ライダー』の監督であるフーパー氏は生前、アメリカで開催されたサブカルチャーイベントこと、コミコンに参加したことがあった。

 それは『フロム・ジ・アビス』が、アカデミー賞を受賞後のイベントであった。


 その際に催されたファンとのトークショーにおいて、彼は一般客からのこんな質問に答えていた。


「あなたの初監督作である『霊媒探偵ライダー』の主人公ライダーの、奥様について教えて下さい」

「マニアックな作品の、マニアックな質問だね! どうぞどうぞ!」

 お気に入り作を話題に挙げられ、フーパー監督ははしゃいでいた。


 質問者は少しはにかみつつ、こう尋ねた。

「奥様は作中で、声やシルエットでの出演ばかりで一切顔が映りませんでした。これはどうしてです?」


 そう。何度かライダー夫人は画面に登場しているのだが、その顔はいつも見えないのだ。

 ある時は逆光になっていたり、またある時は前方の植木鉢が邪魔をしていたり。

 一方で彼の子供たち――息子と娘は、普通に顔出しをしている。ちなみにどちらも、かなり可愛い。


 この徹底した「意地でも奥様を映さない」ぶりは、ファンの間でも語り草となっていた。


 たしかに何故なんだろう、と他の客からも同意の声が漏れ聞こえる中、フーパー監督はふっくらした顔を緩ませた。

「やっぱり気になるよね」

「ええ、そりゃもう」

「あれは色々理由があってね――ライダー夫人には、絶世の美女という設定があったんだ。でも当時の予算じゃあ、理想の俳優に出会えなくて……」


 頭をかいた彼へ、他の客が質問を重ねた。

「なら、ライダーは独身の設定にすればよかったのでは?」

「うん、それも考えていたさ。でもある日、イメージボードの中のライダーが僕に怒鳴り散らして来てね」


 破天荒で耽美(たんび)なホラー表現を得意とする、天才肌の映画監督らしいファンタジーな表現に、参加者も相好(そうごう)を崩す。

「彼はなんて?」

「俺の愛する妻と子供をなかったことにしたら、容赦しないからな!って。こんなの、応じるしかないだろう?」


 いかにもライダーが言いそうな、創造主への遠慮ゼロな不遜(ふそん)過ぎる物言いに、今度は大きな笑いが起こった。

 その波が引いた後、最初の質問者が追加で尋ねた。

「ちなみに、ライダー夫人はどんな女性なんですか?」

 フーパー監督はにっこり微笑んだ。

「黒髪の、それはそれは女神のように美しい孤児院育ちの元シスターさ」


 その人物像に、『フロム・ジ・アビス』を鑑賞済みのファンはにわかにどよめいた。

 あるファンは「これは偶然だろうか?」と、首を傾げる。

 また別の者は「きっと両作には、スタジオの意向によって分断された深い関係性があるに違いない」と推測し。

 はたまた「いやいや。単に監督がシスター好きなだけだろう。別作品でも、シスターがヒロインの映画を撮っていたもの」と、邪推を笑い飛ばす人物もいた。


 にっこり笑ったままの監督は、そのどよめきの全てに対して、正しいとも誤りとも言わなかった。

 曰く

「そこはご想像にお任せするよ。ただ一つ言えるのは、ライダーはとても愛妻家だということだね」

だそうだ。

元ヤン美少女と、陰キャ探偵のお話はこちらでおしまいです。

ここまでお読み下さり、誠にありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
[一言] 連載、お疲れ様でした!最高でしたね!
[一言] 完結おめでとうございました 次作も楽しみに待ってます
[一言] 完結お疲れ様でした! まだまだ二人の活躍が読みたかったです! 外伝や続編を期待してますが まずは次の作品を楽しみにしてます
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